鳥の夢

鳥の夢を見た。
見上げる鳥の夢を。

私は幸せな鳥だ。
私には帰る籠がある。
そこは安全でご飯もある。
さらに同じく籠で連れられてきたパートナーがおり、子供だっている。

私は幸せな鳥だ。

たまに籠の扉が開き、外にだって出られるのだ。
外に出たら、私は決まって大空が見える窓辺に行く。
大空は限りなく高く、青く美しい。
そんな空にも鳥は飛んでいる。
小さいが素晴らしい飛び方をするもの、大きく安定して飛んでいるもの、ぼろぼろだが楽しそうに飛ぶもの。
皆、一様に目を輝かせている。

きっと楽しいのだろう。
しかし、私は知っている。
空がただ美しいだけではないことを。
黒い雲が蓋をするように覆い、恐ろしい音を立てて風が吹き荒れることを。

あの美しい空に戻る頃にはあんなに楽しそうだった鳥たちの数が減っていることも。

私は幸せな鳥だ。
ここに居れば良いだけなのだから。
しかし、なぜか必ず空を見に行ってしまうのだ。
そういう日々を過ごしていると目が覚めた。

私は幸せな人間だ。
家があり、職があり、家族がいる。
今日も肌にまとわりつくぬるいお湯の中でもがいている。
たまに空の青さに魅入られながら。

そんな見上げる夢を見たのだ。

鳥の夢

読んでいただき、ありがとうございます。

鳥の夢

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-04-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted