主体的磔刑

いつまで記憶に固執しているのだろう
恣意的に歪められ、美化された記憶なら
持たないほうがましではないのか
何を理由にそんなに大事に抱えているのか

もう原型をとどめていない記憶だ
それは幾度も思い出してきた結果
最初からこうなることはわかっていた
それなのに踵を返そうとはしなかった

生かしてくれるのならば
どんなに歪められてしまっていても構わない
それは記憶に対して礼を失してはいないか
記憶に執着する人間は現実を生きていない

もはや記憶である必要がない
夢想や妄想でもいいはずだ
美化された記憶を愛することに意味はあるのか
その確証を得られぬまま未だにそれをやめられない

主体的磔刑

主体的磔刑

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-04-13

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