流るる双炎

「……るる。……好きだよ、愛してる」
「……あのっ……」
 彼女は、夕暮れに沈む二人だけの部屋で、頬を赤らめて視線を落とす。
「……『冷めた』紅茶に、閃に煌めいて溶ける、角砂糖のようにね」
 彼は彼女に唇を重ね、獣のように覆い被さる。
「……あ……あ、あ、あの……竜人さんっ……!」
 彼は止まらない。白糖は血に溶け、身体中に回る。その迸りのように、唇の重なりは固く、舌は滑らかに、何処までも絡みつく。
「……」
 焦っていた彼女は、しかしようやく識(わ)かったようだった。
「……ん」

 微かな喘ぎをもらし、彼女は彼に身体を預けた。

 彼女は、拒絶しなかったが、不意に、彼の両手に、自らの指を交じらせる。
 激しい接吻の最中、彼女は、すっと口を左に寄せる。
 そうして、はっきりと問うた。
「竜人さん」
「何?」
 彼女は、自らの鼓動が収まらぬまま、潤んだ、熱っぽい瞳を下ろす。
「……もうっ」
 そして、絡らませていた両手を離し、彼を強く、華奢な腕で一所懸命、抱きしめる。

 その重なって、重なった、無夜の永劫が終わったのを知るのは、まさしく彼ら二人以外に誰がいるだろうか。

流るる双炎

流るる双炎

#自由詩 #純愛 #濃厚系 #現代恋愛 #夕暮れ #春 #密室 #二人 #AI不使用 #完結

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-03-28

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