日向葵が咲いている。
時は過ぎ、七月。
真夏のジリジリとした陽日が照りつける街道の中、一人の男性が、自転車で順路を急いでいた。
彼はある持病を持っている。
しかし、それに、そして『彼女』に折り合いをつけ、懸命に先へ進んでいる。
ふと、ボロボロの田舎の映画館の軒先に、黄色いポスターを彼は見かけた。少しだけ、彼は立ち止まった。
……東欧地域が舞台の、映画のポスターだ。戦争が始まったっきり、どこでも人気になっていたらしい。
彼は踵を返して進もうとした。
その時、前のほうから風に流れて、可憐な、黄色い何かが飛んできた。
植物の花だ。
「あっ……」
彼は思わず目線で追いかける。
そして、こう、独りごちた。
日向葵が咲いている。
日向葵が咲いている。