zoku勇者 マザー2編・1
今回の舞台はマザー2です。時期的にはドラクエⅨ編よりも
大分前に書いた物になります。既に内容を忘れている為、
自分でも久々に読んでみたくなり、引っ張り出して来ました。
又長目のお話になると思いますが、宜しかったら又暫くの間宜しく
お付き合い下さいませ。m(_ _)m
旅立ち編
199X年、地球の何処かに有る国、イーグルランド、其処に
ひっそりとたたずむ町、オネット。今回はその街の裏山に隕石が
墜落した処から幕を開ける……。
「はあ、全く……、隕石ぐらいでこんな夜中に駆り出されるとか
冗談じゃないよ、僕らだって決して暇じゃないんだがね」
「まあ、そう言うな、仕事して無駄と言う事はない、どうせ、
落石か何かだろう、それにしても迷惑な話だ」
何やら立ち話をしているのは、この町のオネット警察のお巡りさんである
この警察は何かあるとすぐに道路を封鎖してしまうので有名なのだ。
今夜もサツ総動員で道路を封鎖し、調査の真っ最中。彼らの愚痴は
やがて、仕事そっちのけになり署長の不満、悪口と次第にエスカレート
していった。そんな彼らの前を軽やかに駆け抜けて行く、一匹の豚の様な
少年……。
「お?あっ、こらっ!ポーキーっ!!行かんぞっ、待てっ!!」
二人組のサツの1人がささっと自分達の正面を走って行った
ブタ顔の少年を追い掛けようとしたが、もう一人が首を振って
それを止めた。
「やめとけ、何も見なかった事にしておけ、今のは走るブタだ、
俺達は何も知らない」
「そうだな、見なかった事にしておくか」
太ったブタの少年、ポーキー・ミンチ、通称 ポーキー、オネットでは
その名を知らない者はいない程の超糞ガキである。彼に関わった者、殆どを
キレさせ、不愉快にさせる最恐最悪の悪魔のブタ少年なのだ。
そして……
「何か今、外ですげー落としたけどさ、何なんだろうな?」
「知らないよお、ねえ、ジャミル……、オイラ何で今回犬になってんの
かなあ?」
「知らねえよ、ヘタレな犬なんだからさ、お前にぴったりだろ?通称、
迷犬ダウ犬」
「……グレてやる、ううう~……」
今回のジャミルは、モロお子ちゃま年齢の10歳、ネスのポジションである。
「あ~あ、それにしてもさあ、ま~た、幾ら何でもよう、コレ
年齢下がり過ぎだっつーの、これじゃタバコも吸えねえよ、
勘弁してくれや……」
「まあ、諦めた方がいいよね……」
「だ、黙って吸っちまうか……」
「!!!だ、駄目だよお~!!○p○から苦情が来たらどうすんのっ!!」
これまでのシリーズと変わらず、相変わらずの馬鹿騒動を始めた
二人の処に、突然謎の少女が現れる。
「お兄ちゃん、今の音何だったんだろうね?凄かったねえ~!!」
「は、はあ?アンタ誰……?」
謎の金髪少女はジャミルの方を見てきよとんとして首を傾げた。
「何言ってるの!私はトレーシーよ!お兄ちゃんはお兄ちゃんでしょ!
しっかりしてよ、もう~!!」
「ジャミル、いつの間に……?」
ダウドが冷めた目でジャミルの方を見た、それを見たジャミルは慌てる。
「知らねえってのっ!!あわわわ!!オラ知らね!!オラ知らね!」
「……ジャミル、ほら、アンタの出番だよ、偵察に行ってきな!」
更に又、ファラまで登場……。
「うわわわっ!又ファラまでっ!?」
「今回も一応、母親枠だけど、母親じゃないからね!!ん?何、その顔は!!
オラっ!!とっとと行って来いってのよっ!!」
「ジャミル、いつもご苦労様だよお……」
「ちーーきーしょおおおっ!!まーた前々回の話を組む流れかっ!!
冗談じゃねえってんだよっ!!」
ジャミルは、突然出来た謎の妹を得、赤い野球帽、黄色いリュックを
背負わされ、ファラに自宅から叩き出された。こうしてまた、異世界での
彼の新しい冒険が幕を開ける……。
ジャミルは裏山を登って行くが、何処も彼処もパトカーだらけで
元の世界でアレで何な彼は、パトカーを眺めているだけで心底嫌気が
さすのだった。
「おい、こんな時間に何してる!ガキはとっとと帰れ!」
「知るかよ!俺だってやりたくてやってんじゃねえや!バーカバーカ!」
ジャミルは嫌味で警察にスカシ屁を引っ掛け、不満を爆発させながらも、
更に山を登って行くと途中にプレゼントボックスが置いてあり、開けると
何故かバターロールが入っていた。
「腐ってんじゃねえだろうな……、まあ、いいや……」
食べ物に意地汚いジャミルはバターロールを平気で口に入れると又山を
登って行った。するとやがて汚い山小屋が見えてきた。
「……トレジャーハンター・ライヤー・ホーランドの家……、へえ~」
小屋の前に立て掛けてある看板を眺めていると、小屋の中から、
小屋同じく汚いぼさぼさ頭のおっさんが姿を現す。……おっさんは
何とも言えず、凄い臭いがしたのであった。
「……やあ、ジャミルちゃん、隕石がごおお~って、凄かったねええ~、
俺はね、いつもニンニクを食べて身体を強くしてるから平気だったけどね、
うんうん」
「うえっ!……くっせーな!近寄るなよ!臭うんだよ!!」
「そうかな?いいニオイでしょ、コレ、消臭スプレーなんだけど、
餃子の香り、フローラル……、ねえ、後でこっそりと又俺んとこ来てよ、
見せたい物があるんだよ」
ジャミルはうんざりと顔を背け、さっさと山小屋から離れた。もう暫く
登ると漸く山頂が見えてきたが、其処にもパトカーが既に到着していた。
……何やら揉めているらしかったが、お巡りの側をウロチョロし、調査を
妨害しているブタがいた。……凶悪少年のポーキーである……。
「ポーキー、帰れ!いい加減に帰れっ!!」
「そうはいかない!このポーキー様が隕石の謎を解き明かすのだ!!」
「はあ、何やってんだかよ……」
お巡りはぼーっと突っ立っていたジャミルを見つけると、ジャミルに
急いで声を掛けた。
「ああ、ジャミル、丁度良かった!ポーキーを連れて行ってくれ!邪魔ばかり
して困るんだ!!……お前達、友達なんだろう!?」
「いや、違うし……、んな事言ったってよ……」
ポーキーもジャミルに目を付けると暴言を垂れ始めた。
「何だよ!お前邪魔だぞ!さっさと帰れ!!隕石の謎はこのポーキー様が
説き明かすんだからさ、だから帰れ!!お前みたいなのがいると、警察の
皆さんの邪魔になるんだぞ!!」
「何でもいいよ、そうしたいならそうしてくれや……、んじゃね……」
「!!あっ、おいっ、こらっ!!戻るならこいつも連れて帰れーーっ!!」
「……」
お巡りの吠える声も無視し、欠伸をしながらジャミルは山を下りた……。
家に戻ると入り口でファラが待っていた。
「お帰りっ!ねえねえ、何かあったの?隕石ってどうだったの!?」
「ん~、サツばっかで……、まるでそれどころじゃなかった……」
「そうなんだ、ちょっと残念だね、まあ、いいや、うん、じゃあアンタも
寝なよ……」
「そうする……」
部屋に戻り、夢うつつでジャミルはベッドに入った。
……さらに夜も更けて……
ドンドンドン!!……ドンドドドッドドンドン!!
ドンドンドン!!……ドンドドドッドドンドン!!
……ドンドン…… ほっといたら無限ループ……
「……う~る~せ~ええええええ!!……しばくぞオラぁ!!」
夜中に、物凄い勢いで、玄関のドアを叩く騒音がしたのであった。
寝ていたジャミルは叩き起され、顔は引き攣り物凄い剣幕に…。
手にはいつの間にかボロのバットを手にしていた……。
「わわわわっ!ジャミルっ、お、落ち着きなよおっ!!
……これじゃホラーになっちゃうって!!」
「うるせえ、ダウ犬!!こんな夜中にふざけやがって、……一発
かましたるわ……」
「ホント、誰なのさ、いい迷惑さねえ!!」
「誰がノックしてるのかな?げひんな叩き方だなあ……」
ジャミルはパジャマの袖を捲り、バットを更に強く握りしめると、玄関の
ドアを開けようとするが……。
「うわわわわわっ!?」
……ジャミルが玄関のドアを開ける前に、勝手にドアが開き……、
ブタが飛び出してきた、又もブタ少年のポーキーである。
「た、た、た、大変なんだよ、ジャミルっ!!」
「……」
ポーキーは自分を見つめるファラの視線に気づくと、言葉を返す。
「あ、おばさん、こんばんは、いつもきれいですね、へへへ!!」
「……おばさんだと?このブタが……」
「ファラもっ!落ち着いてよお!!」
どうか穏便に係ダウド、彼は今回も大変なのである。
「さっき、あの後、又例の隕石の落ちた場所にピッキーを
連れてったらさあ~」
ピッキーというのはポーキーの弟である。
「警察はシャーク団が暴れてるからって、そっちに行っちまったんだよ、
そしたらピッキーがいなくなっちゃってさあ、頼むよ、一緒にピッキーを
探してくれよ!!親友って事でさあ、このままじゃ、オレ、父ちゃんに
ケツ100叩きの刑にされちまうんだ!!」
……誰がいつ、テメエの親友になったんだとジャミルは思った。
別にこいつが養豚所に送られようが、ケツを叩かれようが一行に
構わなかった。しかし、いう通りにしないと、こいつは何時までも
此処に居座るだろう。
「ジャミル、行ってあげなよ、このブタはともかく、弟ちゃんが
迷子なんじゃ可哀想だわ、……ダウ犬も護衛に連れて行きなよ」
「え!?や、やっぱオイラもかあ~……」
「仕方ねえな、たくよ……」
「おお!話が分かるな、流石親友だな!!あ、ちゃんとおばさんに
挨拶してこいよ~!!ねえ、お・ば・さ・ん!!」
異様におばさんの部分を強調して喋るので、ファラも顔が引き攣り
始めていた……。
ポーキーは馴れ馴れしくジャミルの肩をバシバシ叩くと、人んちの
リビングのソファに態度もデカく、でーんと座った。仕方なしに
ジャミルは支度を終える……。子供ながらに体重50キロ近くの
危険なデブが座っている為、ソファはギシギシと……聞くからに
苦しそうな音を立てていた。
「お兄ちゃん、私、お兄ちゃんの冒険を応援するね、頑張ってね、
はい、私のクッキーあげる、お腹がすいたら食べてね!」
「ああ、悪いね……、へへ……」
いきなり出来た妹、トレーシーにも、漸く慣れて来た処であった。
と、突然けたたましく部屋の電話が鳴る。ファラが出てよ!と顎を
しゃくり合図するので、仕方なしにジャミルは恐る恐る受話器を取った。
「もしもし……?」
『もしもし、パパだよ!若い時の苦労は勝手でもしろと言う言葉が
あるだろう!!疲れたらパパの処に電話しなさい、それからお前の
銀行口座に30ドル振り込んでおいた、キャッシュカードは
持っているだろう?頑張れよ!!それにパパだってヒーローの
父親に慣れるのなら悪い気はしないからな!!パパは何時でも
見守ってるからな!…ガチャン、ツーツーツー…』
一体誰やねんとジャミルはファラの方を振り返る……、
ファラはあたい知らないよ!と言った表情をした。
「しかも、僅か30ドルかよ……、それに勝手って、……買っての
間違いじゃ……」
こうして、ジャミルはダウ犬、糞豚を連れて再度山頂を目指す。
もう警察とパトカーは何処かに行ってしまった様であった。
……道中では巻き蛇などがジャミル達の邪魔をした。バトル中、
ポーキーは敵に寝返ったり、ジャミルを盾にしようとしたりしたが、
ジャミルも負けておらずポーキーを蹴とばし遠慮なしに囮にする…。
ダウ犬は只管吠えているだけであった……。そんなこんなで、どうにか
又山道を登り終え、山頂に辿り着く。
「……こんな……怖い処だって分かってたらオイラ来なかったよ、
……帰る!!」
薄情なダウ犬、主人を置いてさっさと退場。
「あ、おいっ!ダウ犬っ!……たく、仕方ねえなあ~、本当にあいつは
変わんねえや……」
「ホントだな、主人も主人なら、飼い犬も飼い犬でクズだな、ケケ!!」
「……てめえ、脂身たっぷりコロッケにして油で揚げるぞ……」
ポーキーの頭部にボロのバットを近づけるジャミル……、
すでに2、3発はポカポカ頭を叩いておりコブが
幾つか出来ていた。
「いだ、いだだだだ!!……お!ピッキー!」
「……ポーキー!遅いぞ!お前が逃げちゃったから……心配
してたんだぞ、親も心配してるよ全く、これじゃどっちが
アニキだか分りゃしないよ、もう……」
隕石の側で蹲る少年を漸く発見した。ピッキーである。
「はあ、これでようやっと戻れるか……、おい、そこの豚……、
何してんだよ、帰るぞ……」
急にポーキーがあんぐりと口を開けて空を見上げ立ち止まる……。
「なあ、ジャミル……、さっきからさあ、何かカブトムシが
飛んでる様なブーンブーンて音、聞こえないか……?」
「聞こえねえな……」 (即答)
「きこえろよォ!!」
「はあ、もううるせ……、うわ、何だっ!?……隕石から何かがっ!?……」
突如、隕石が光だし、まだ燃えている隕石の中から現れたのは…、
何とカブトムシ……だった。
「儂はカブトムシでない、名をブンブーン、10年後の未来から
来た者じゃ……」
カブトムシはブンブンブンブンとやかましい音をたてて飛び回る。
そのうるささと言ったらもう、害虫状態で半端無かった。
「未来はもう燦々たるありまさじゃ!ギーグという銀河宇宙最大の
破壊主が何もかもを地獄の暗闇にたたきこんでしまったのじゃ!
……しかし、しかしじゃ……儂のいる未来に不思議な言い伝えが
残っているのじゃ!」
「う~ん、100年後とかならまだ何とか頷けるけどな、10年後とか、
もうすぐだろ?随分せっかちな悪役だなあ~……、んで、お約束の預言書
……って、ヤツかい?」
「口が達者な奴じゃの、いいから黙ってお聞き!」
「……てっ!」
ブンブンーンはジャミルの側まで飛ぶと、額の角で一突き、ジャミルの
おでこを突いた。
少年がそこにたどり着くならば、正しきものは光を見つける。
……時の流れは悪夢の大岩を砕き、光の道ができる。
「その少年がジャミル、あんたなのじゃと言う事が儂の鋭い
直感で分ったのじゃ!」
「どんな直感だよって、……いてっ!!」
「いいから黙ってお聞きと言っておる!!……ギーグの悪の計画は
もう既に地球の一部におよんでいる筈!今すぐに戦いを始めれば
間に合う筈じゃ!!大切なのは智恵と勇気と仲間達……、言い伝えでは
3人の少年と1人の少女がギーグを倒すと言う、詳しい事は後で教える、
行くぞ!」
漸く、ブンブーンの長い台詞が終わった。……ジャミルはもう途中で
居眠り寸前だった。
「とは言う物の、ジャミル、儂の話をちゃんと聞いていたか?長い話を
良ければもう一度リピートするが?」
「わわわわっ!い、いいって!大丈夫……!!」
「ふむ、噂通りの賢い子じゃ!」
「何処がかしこいんだよ、それよりも、3人の少年少女って……、
もしかしておれも入ってるのかなあ……、嫌だなあ、ドキドキ……」
「ひゃははは!安心しろよ、それは絶対にねえから!!心配する
必要全くなし!!」
ジャミルとブタはお互いに罵り合った、黙って聞いていた
ピッキーはオロオロ。
「む?この感じは……、皆、気を付けるのじゃ!!」
「何だありゃ、全身タイツかい……?」
「……久ブリダナ、ブンブーン、ギーグ様ノ計画ヲ邪魔スルコトニ
オマエハ昔カラ熱心ダッタ、シカシモウアキラメロ、オマエナド
エイユウデハナイ、タダのムシケラダ、……タタキツブシテヤル……!!」
行く手に怪しい恰好の変態が出現する、何だかちょっと危ない
ヤツらしい。
「あやつはスターマンの息子、ギーグの手下じゃ!!」
「て、事は、悪人に送り込まれた手先か……、もうこんなとこまで
戦略来てんのか……」
「あんたらは下がっていなさい、此処は儂が相手をしよう……!!」
言うが早いか、ブンブーンはスターマンの息子に突っ込んで行く。
スターマンの息子はPKファイアーを試みたが、ブンブーンが
張ったサイコシールドであっという間に攻撃をかき消された。その後、
容赦なくブンブーンにより、スターマンの息子は倒される……。
「おお、すげーっ!アンタ、唯のカブトムシじゃなかったんだなあ!!」
「だから何回も言うておろう、儂はカブトムシではない……、奴は
儂を消す為に10年後の未来からやってきた殺し屋じゃ、ジャミルよ、
あんたが戦うのはギーグの送り込んだ手下ばかりではない、同じ地球の
悪しき心の人間達もあんたの冒険の旅を妨害するじゃろう、動物たちが
攻撃的になっておるのもギーグの力が彼らの心を刺激しているからに
違いないのじゃ!!」
興奮するジャミル……、そして、物陰に隠れて様子を覗っていた
ブタ兄弟がひょっこり飛び出してくる。
「今のはおれがやったんだ!!陰からテレパシーを使って悪人を
やっつけたんだ!!なあ、ピッキー!!やっぱ兄ちゃんはすごいだろ!?
ははははは!!」
「う、うん……」
「うわ、最悪だ……、この脂肪ブタ……」
(ふむ、どう考えても……、こやつは世界を救う少年少女の1人では
なさそう……、じゃ)
心の中でブンブーンはポーキーがそうでない事を感じていた、
当たり前だが。そして、ジャミルはブタ兄弟を家まで送り届ける為、
ポーキーの実家、アンブラミ・ミンチ家に立ち寄る。もうすでに夜が
空けそうであった。
「一体アンタ達は今まで何処ほっつき歩いていたんだい!!お仕置きだよ!!」
アンブラミ・ミンチ家に入った途端、物凄い顔の剣幕のおばさん……、
ポーキーの母親、ラードナが飛び出して来てブタ兄弟は慌てて家中を
逃げ回る。ピッキーの話によると、ポーキーが脱出した時間帯に
丁度両親は二人とも外出中で、その隙にポーキーは隕石を見に
行ったのであった。
「……ウチのガキ共がどえらい迷惑を掛けたようだね、しかし、
アンタの家……、いい加減に立ち退いちゃくれんもんかね、
アンタの親父さんは我が家に多額の借金をしてるんだよ、
それこそ、何百万億ドル……級に掛けるぐらいのね、
お蔭で我が家は貧乏暮らしだよ」
ポーキーの父、アンブラミ氏は嫌味なツラでジャミルの方を見た。
やはりこの親にして、息子アリ……、である。
「…全くっ!ウチの人のお人好しには呆れるよっ!!正直モンは
損してばっかり、あたしらみたいにね!」
……ブウ~ン、ブウ~~ン、……ブウウ~ン……
「ええええいっ!!小うるさい便所バエだねえっ!!癪に障るっ!!
……死んで地獄に行けえええっ!!」
「!!Oh!!……おおおお……」
ラードナ、ジャミルの側を飛んでいたブンブーンに等々気づき、
蝿たたきを持ち出し……、ブンブーンに必殺の一撃をお見舞いし……、
哀れ、ブンブーン、その場に崩れ落ちる……。
「ブ……、ブンブーンっ、だ、大丈夫かっ!?しっかりしろよ、
おーいっ!!」
ジャミルが慌てて床に落ちたブンブーンを拾い上げた、しかし、
ブンブーンはもう虫の息で……、息も絶え絶えにジャミルに
向かって話し掛けた……。
「うう……、わ、儂は……、思ったよりも……、ずっと弱かった……
ようじゃ……、ジャミル、アンタに……最後に大事な話がある……、
遺言じゃ……」
「分った、外に……」
ジャミルは静かな丘にブンブーンを連れて行く、……周囲も
漸く静かになった処で、ブンブーンが静かにジャミルに語り始めた。
「…よいか、ジャミル、ギーグを倒すには……、地球と……お前の心を
一つにする事が必要じゃ……、 この地球にはお前の力を揺さぶりおこし、
強めてくれるお前だけの場所が存在する……、その一つが……このオネットの
ジャイアントステップに……有るらしいの……じゃ……」
「俺だけの場所だと……?」
「ああ苦しい……、儂はもう死にそうだ……、これを渡しておかねば
なるまい……、これをお前に託そう、音の石じゃ……、地球上に8個所ある
お前だけの場所の音をしみ込ませるグレードなアイテムじゃ……、嬉しい
じゃろう……?……間もなく夜も空ける……、死んでゆく儂には……
関係のない……こと、じゃ……」
ブンブーンはジャミルにそれだけ伝え、静かに息を引き取る。ジャミルは
丘の上にブンブーンの遺体を埋めてやる。丁度埋葬が終わった頃、
ブンブーンを埋めた場所に朝日が差し込む。長い夜が明けたのだ。
ジャミルは自宅に戻る。中に入ると、主人を置いて逃げた薄情な犬、
ダウ犬が出迎えた。
「おかえりーっ!ご苦労様っ!!」
「…おう、薄情な犬、ただいま……」
「だ、だって、仕方ないじゃないかあ!!……オイラもう何処にも
行きたくない、薄情なわんこと言われてもいいよお……」
「あ、お帰りジャミル!……あんた又疲れ切ったツラしてるね、
はは……」
「実はな……」
ジャミルは出迎えてくれたファラに、昨夜の一連の事件を話した。
地球はギーグという謎の異形人に狙われているという事、すでにもう
この地球に魔の手は迫っているという事、そして、自分はこの地球を
救うために選ばれた少年少女の1人なのだと言う事……。
「そっか、それじゃ又行くんだね……、仕方ないね、うん……」
「いつもいつもわりィな、ファラ、心配掛けちまってよ……、
今後も心配掛けまくると思うけどよ……」
「けど、あたいはその1人に入ってないのかなあ~……」
「え……」
「プ、無理無理無理、だってファラは年齢上、おばさんの役……、
んぎゃあああーーっ!!」
ファラはダウ犬にヘッドロックを掛けると大人しくさせ、一撃で
コロっと気絶させた。
「たく、躾の悪い犬だねえ~!バカ犬援護教育センターに
送るか……、あ、あたいの事なら大丈夫だよ、此処でアンタの
無事を祈ってるからね、疲れたらいつでも戻って来るんだよ、
アンタの好物のタバコを沢山作って待って……?」
「……だ、駄目……?……ぎゃあああああーーっ!!」
「………好物を変えろっつーんだよっ!!せめてハンバーガーに
しとけーーっ!!おめえも糞ガキ更生育成センターに送ってやるーーっ!!」
ジャミルもお仕置きでファラにヘッドロックを掛けられる……。
そして一応、この話では無理矢理好物をハンバーガーにさせられ
たのであった。リュックにハンバーガーを沢山詰め込み、いざ、
この世界での新しい冒険の旅立ちへ……。
zoku勇者 マザー2編・1