パンデミック・ブルー
「わたしだけのものだと、思ってた」
「勝手にわたしが傷ついたり、あいらめたり、見限ったり、そんなふうに青くなっているだけだって」
「だからこそ、君がわたしよりずっと青くなってしまったことはとても、怖くすらある。」
知っていたつもりで知らなかった。「青」は感染するのだ。それは他の色よりもずっとはやく、ずっと深く染み付く。
「わたしを追いかけて、いつしかわたしより不幸になってしまった君を、わたしはどうすればいいのか知らない。だってそんなつもりじゃなかったもの。」
わたしの指先から、唇から溢れ続けた青はいつしか君を染め上げていた。そうして今、震える君の指先からも青が溢れている。わたしとはまた違った深みをもつその色は、わたしの青とくっついてぶつかって、そうして混ざりきることもできずにいる。
「ごめんね。知らなかったの。だから救えない。」
果たして、わたしは本当に知らなかったのだろうか。心のどこかでわかっていたのではないか。それでも尚、シラを切ることしかできない。
多かれ少なかれ、誰しも心に青を飼っている。隠し込んでいる。わたしはそれをわかって欲しかった。聞いて欲しかった。せめてもの償いとして、わたしは誰かの青を享受していくことを決めた。そんな風にもう混じり合わせて、許し合うことしかできないのだから。
パンデミック・ブルー