窺覗

手紙を読んでいる

お腹が鳴るのを忘れて

手紙を読んでいる

雨が窓を叩く音を消して


貴方の寝息がひとつ、ふたつ。


手紙を盗み見ている

文字を隠す蓑虫を透かそうと

窓の奥の雲の奥の陽の光にかざす


貴方の寝息がひとつ、ふたつ。


意識を取り巻く陰鬱

重くなってゆく

指先の紙質が憂いを帯びて

身体が膜を纏ったみたいだ


目が文面を滑るように

視界の周りが泥濘むように

しいんと音が聞こえるように


まるで、世界の終わりのように。


封をして 箱にしまって

丁寧に紐を結んで


貴方の隣に横になって。

窺覗

窺覗

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-03-02

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