短歌④
肘下より長いナンをかみしめる、覚悟みたいなカレーと一緒に
満月はカスタード饅頭を勧めるけれど 週末のご褒美はアイスに決めた
コーヒーの一杯で機嫌を取ったなら ガラスの長靴でダンスをしよう
砂糖がけの胡麻菓子みたいな山が好き ふたえになるまで目を見開いてる
足が泥だ、搔き捨てられないものが増えたから 晩ご飯にはシチューがいい
お皿のふちの二色に国旗を思うとき この席だけでミラノに行ける
おやつどきの雲の速ささえ相対的だけど今日の私は右だ
今知った こんにゃくの匂い いつからか芋煮を河原でしなくなったから
共鳴を探してフリックは歌う夜 クジラのソナーになれないけれど
凹凸もセンターラインもない道を眩しく歩く 猫になれないぞろ目の日にも
流れない砂時計だけは探せるよ 赤い星の名を呼べなくなっても
雪の粉が置き忘れられて散っていた ハーフパイプの軌跡みたいに
「月の太さで何かが変わるわけがない」 言い切れるのは身体がないから
影の色が緑でも黒でも構わない 内向的だと呼ばれるのさえも
短歌④