失われた寂寥感
ありもしない寂しさを心臓に充填して
手癖と化した手つきで叙情詩を書く
おれには寂しさを感じる器官が
欠損しているのではないか、だが
他人を求めないおれの心は こんなにも自由だ
悲劇は他人を渇望することから始まる
独りでいることを忌避する人間とは
永遠に解り合えないだろう
地獄とは他人のことだと
かのサルトルも言っていたではないか
孤独に耐性がない人間はおしなべて独善的だ
誰もかもが自分の寂しさを打ち消すことしか
眼中にない、それを恥ずかしいとも思わずに
開示し合う、おれにはそんな蛮行はできない
他人に感情を曝すなどおれにはできやしない
ああ、おれはいつまでも欠損したままでいい
おれの孤独はおれだけが理解していればいい
失われた寂寥感