バスケットゴールの方へ
冬か春かを
空はまだ決めかね
夕暮れの田圃のへりで
孤独がバスケットボールに
足踏み 空気を入れている
ボールは太陽のように腫れ
倒れかけた自転車に跨がれば
空はかろうじて正気を保つ
(夕焼けは遠さのなかに)
農村公園の隅に置かれた
ひとつだけのバスケットゴールは
魚の骨がひっかかっていて
まだ名前を知らない孤独は
スリーポイントシュートの練習
つきまとう軌跡は明るい建築学
きっと今日はひとつの道を失い
ひとつのさざんかが砕かれた
のだ
バスケットボールは
(吾無身吾有何患)
迫る夕闇へ 融け
農村のすみずみへ
さらにすみずみの外れの海の
顔へ
星屑を 降らすのだろう
バスケットゴールの方へ