zokuダチ エスカレート編・31
短編集・5
ジャミル、今度は伊達巻きにされる
取りあえずは、まだ今月いっぱいは平和な日々……、の筈だった。
マンションの屋根の上で、日向ぼっこをしている変な生き物がいた。
ド○ク○、zoku勇者からの出張生物、モンスターのベビーサタン事、
リトルである。
「あーあ、今度はなーに悪戯してやるかなりゅ、……思いつかんりゅ……、
桃○からの引用で……、ウンチでも降らせてやるかりゅ……」
「こおらあっ!!」
「ぎょえええーーっ!!」
突如、何者かが突然空から舞い降りて来て、凶器で小悪魔の頭を
グサッと刺した。
「なにすりゅーーっ!?げえ!……お、お前は……!?」
「バカ野郎!!んなとこでさぼってんじゃねールうー!オメーはそれでも、
魔界を背負って立つ魔族の王子かル!?」
「誰、お前……?」
「ル……、ざけてんじゃねールうううーー!!」
「みぎゃあああああーーー!!」
もう一匹現れた、謎の生物は持っていた凶器で更に小悪魔の頭部を
グサグサ刺した……。
「これでもまだしらを切る気かル?」
「知らんモンは知らんりゅーーっ!!」
小悪魔が絶叫する。どうやら本当に覚えていないらしい
「まあ、初登場だし仕方ないル……、なら思い出させてやるル、
あんたの許嫁のララル、ル!」
※某電撃宇宙人娘とキャラ被りそうですが、実際にキャラ作ったのは、
まだハグプリ放送中の頃であります。
「い、許嫁?りゅ……、な、なんりゅーーっ!?それにその、どっかの
糞ピエロの口癖みたいな名称は何りゅーーっ!!」
「うるせール!ほっとけル!!」
外観は、ほぼリトルと同じベビーサタンだが、頭部右側のトンガリ
部分にリボン、全身の色はピンク色である。まあ、ア○パ○マ○で言うと、
ドキンちゃん系のキャラに相当する。
「あんたのお父様に頼まれて、ララルが助っ人に来たル!今日から
だらしねえオメーをゲシゲシ扱いてやるからな、覚悟しとけ!……ル」
「何おーー!?リトルはおめえとなんかくまんりゅ、勝手に一人で
や……りゅううううーーー!?」
ララル、持っていた凶器、(恐らくリトルと同じフォーク……)で、小悪魔の
頭部をまたグサグサ刺した。
「さあ、やるル!人間共を恐怖に陥れてやるル!んで、ターゲットの人間共は
何処にいるのル!?」
「りゅ……、この汚ねえ屋根の……、真下……、りゅ……」
「ふんふん、なーるほど、ル、よし、おめえとララル、力を併せて
人間共を成敗すル!リトルとララル、2匹の魔法の力を併せれば
怖いモンなしル!」
「りゅううう~……、え、エライ事になった……、りゅ……」
……
「うう~、さみいさみい、こう糞さみいと便所いくのも
おっくうだなあ~……」
昼寝中のジャミルはベッドで毛布に包まったまま、動こうとせず。
しかし、しっこはもう出る寸前。
「どいつル?オメーがいつもやられてる糞猿言うのは……」
「……べつにリトルはやられてる訳じゃねえりゅ、奴が
非常識の変人すぎるのりゅ……」
「つべこべいってんじゃねえル!早く教えろル!」
「ひい~、そ、其処の部屋の……、伊達巻みたいにアホ状態で
毛布に包まって寝てる奴りゅ……」
小悪魔とララルは窓からぬっとジャミルの部屋を変質者の様に覗き込んだ。
「ふんふん、なる程、成程……、ル!これはおもろいル!どうせなら、
本物の伊達巻に包まれちまえ、ル!」
「りゅ……?」
小悪魔が首を傾げる横で、ララルが窓の外からジャミルに向かって
魔法を掛けた。
「う、う~ん、流石にもう動かないとヤべえかな……、っしょ、
ありゃ?……な、なんだこりゃっ!?……嫌に生ぐせ……、
ええええっ!?」
……どうやら、ララルが掛けた魔法でジャミルはモノホンの巨大な
伊達巻に包まれてしまい、身動きが取れなくなってしまったらしい。
パニくったジャミルはそのままゴロゴロと、ベッドから転倒した……。
「ぎゃーっはっはっは!おもれえルー!!ばかみてえに転がってルー!」
「おめえ、これじゃ普段からリトルがやってる事と、あまりかわんね……、
あてっ!!」
「るせール!ララルの魔法はおめえとは持ちが違うのル!一度掛けたら
そう簡単には解除できないのル!」
「あー、そうですか、りゅ……」
「ぼけっとしてねえで、おめえも早く他の人間共に悪戯してこいっ!ル!
さっさと来いっつんだルーーー!!」
「みぎゃああああーーっ!!」
リトル、ララルに扱き使われ、別の人間をターゲットに駆り出された。
(……畜生、どうもこいつのやり方はいけ好かんりゅ、……リトルにはリトルの
やり方があるりゅ、冗談じゃねえりゅ……!)
とは言っても、あまりどっちもやり方は変らないのであるが
只、ララルの方が魔法の力が本の少し、リトルよりもランクが
上なだけである。そして、物臭をし、トイレを拒否していた
ジャミルは……。
「うわっ!うわっ!漏れるーーっ!……うううーっ!」
「こんにちは、ジャミル、入っていい?」
「ぴい、チビもいるよ!遊びに来たよお!」
其処へタイミングよく、アイシャがジャミルの部屋を訪れた。どうやら
チビも一緒にいる様子。
「……ア、アイシャとチビか?……早く、来てくれーっ!!」
「また何か慌ててるわね、もうっ、今度は何やったのよー!」
アイシャとチビが急いでジャミルの部屋に入るとアイシャは
仰天する……。伊達巻に包まれた間抜けな状態のジャミルがゴロゴロ、
床で転がっていたからである。
「ほ、本当に何してるの……、新春仮装大会……?」
「そうじゃねえよーっ!俺にも何が何だかさっぱりわかんねーん
だよーっ!……小便洩れるーーっ!!」
「きゅっぴ、美味しそう……、チビが全部食べてあげるね!」
チビはそう言うなり、ジャミルを拘束している原因の伊達巻を食べ始めた。
「ぴい、ちょっとしょっぱかったきゅぴ……、御馳走さまでした」
「ふう、助かったよチビ……」
「……多分、リトルの仕業ね……、そうとしか考えられないわ、
気を付けなさいよ、いつ又悪戯されるか分からないんだから……」
「最近、あんの基地害馬鹿兄弟も本格的にこっちで動き出したしな、
ホント、俺らって気の休まる時ないな……」
「ぴ?ジャミル、おしっこいいの?」
「わ、忘れてたあああーーっ!!」
「……」
「きゅぴ……」
チビに言われ、思い出した様に自部屋のトイレに駆け込んで行く
ジャミルであった……。
「はああ~、な、何とか間に合った……」
「ぴい、良かったね!」
「ところで、今日は何の用だ?」
「うん、最近週末にバーバラ達(年増オババ集団)がパーティルームで
お料理教室始めたから、私も教わってるの、それでね、ジャミルにも
作って来たの!はいっ!」
「うげ……」
アイシャはニコニコしながら、ジャミルに風呂敷包みを差し出す。
風呂敷に包まれている時点で、悪臭の様な……、物凄臭いがした……。
やはり、この間作ってくれたような弁当はもう食えないのかと
悲しくなってくるジャミル。
「う……、こ、これ中身なんだよ!……想像つかねえんだけど!」
「……伊達巻」
「もうそれはええっちゅうねん!!」
「……ぶう~!」
そして夕方、小悪魔とララルがジャミルの様子を見に、再び
マンションを訪れた。
「どれ、あの糞ザルはどうなったか、ル?今頃、きっと小便洩らして
珍子プ~ラプラして泣いてル!ぎゃーっはっはっはっは!」
「……はあ、やっぱ、オメーの知能もこの程度か……、りゅ……」
「……んだと、コラルーーっ!!」
「ぎゃぎゃぎゃりゅーーっ!……お、馬鹿猿りゅ!」
「どけどけル!……ル?」
2匹が窓からジャミルの様子を覗うと、昼間同じく、普通に寝ている
ジャミルの姿が……。
「……伊達巻、解除されてりゅよ……」
「んなこたあある訳ねえルーーっ!ララルの魔法は数日は
効果がある筈ルーー!」
「ハン、やっぱりオメーもこの程度……にぎゃあああーーーっ!!」
ララル、フォークで小悪魔の頭部を高速で100回突き刺すと、
咳ばらいをした。
「きょ、今日の処は……、此処までにしといてやるル、今日は初回だから
小手調べル、……あばよーール!」
「あっ、こら待てりゅーーっ!」
慌てて逃げて行ったララルの後を追って小悪魔が飛んで行った。
どうやらまた、この島に厄介な変な奴が来てしまった様である。
邪魔してやルー!
さて、懲りないララル、早くも次の作戦を練り始めていた。
「おい、あのモンキー猿の弱点は何ル?教えル!」
「……モンキーと猿は同じりゅ、……弱点?まあ、しいて言えば、
いっつもあいつにベタベタくっ付いてりゅ、赤毛の団子娘かりゅね、
……何であんな馬鹿猿がいいのりゅ……」
そう言った小悪魔は、言っていて何だか異様に気分がむかむかして来た。
「ふんふん、成程、成程、……けけ、おんもしれえ事思いついたル!」
……
伊達巻騒動から一日、次の日、ジャミルはダウドの部屋のこたつに
座り込んだまま動かず、今日はとても寒い寒波日和であった。
「くう~、相変わらずあったけえなあ~、たまんねーな、これ」
「あのさ、もうお昼なんだけど……、一旦戻ったらどう?」
「やだね、此処で食っていくわ!」
「うわ、ずうずうしス……、悪いけど、今日はオイラんとこ、
出せる物何もないよお!」
「いや、お構いなく、食っていくっつったのは場所の事で、何もオメーに
飯たかろうってんじゃねえから、御心配なさらず、では……」
そう言うなり、ジャミルは持参していた袋からおにぎりを取り出すと
食べ始めた。どうしてもこたつから動きたくない様であった。
「たく、どうしようもない人だねえ~……、いや、分かってるけどさあ……」
……と、其処に又ジャミルを探し回っていたらしきアイシャがやって来る。
「ダウド、ジャミルいるんでしょ?」
「来てるよお!助かったよ、この人座り込んだまま大仏みたいに
動かなくてさあ、困ってたんだよお!」
「うるせー馬鹿ダウ!誰が大仏だっ!」
「もうっ!お客さんだったらっ!久しぶりにお部屋入居希望者ですって、
ずっと待ってるのよ、早く来てよ!」
「ええ~……、しゃーねえなあ~……、たく……」
アイシャに促されて、ジャミル、漸くけつを上げた。やっと動いてくれ、
ダウドはほっとした様子……。
……ブッ……
「……余計なモン落としていかないでよおおーーー!!」
「わりいな、長い事、散々居座っちまったからな、せめてものお礼だ、
今日はボリュームが足りなくて申し訳ねえ……」
「……そんなお礼要らないよおおおーー!!」
ダウドが絶叫する中、後ろを向いてジャミルがダウドの部屋から逃げて行った。
玄関に行くと、アイシャが言った通り、確かにお客さんが待っている。
小柄の14歳ぐらいの女の子である。ヘアスタイルはセミロングで、
右の頭部にはリボンを付けている。
「待たせたな、あんた、入居したいのかい?」
「やっほー!初めましてっ、はーい、あたし此処に入りたいでーっす!
取りあえず今日は下見に来ましたーっ!」
「そうか、まだ決まった訳じゃないんだな、ま、ゆっくり見て行けよ……」
「はあーいっ、そうさせて貰いまーすっ!」
「お、……お?」
女の子はそう言うなり、ジャミルの手を取って腕を組む。
ちょっとジャミルは困っている……。
「あ、まだお名前聞いてなかったよね、私はアイシャよ、宜しくね!
あの、あなたのお名前は……」
「あ?名前……、チ、めんどくせール……、ル……」
「……ル?」
「瑠々……、瑠々だよっ!どうでもいいんだ、んなモン!カーッ!」
「おい……?」
「あっ、おほほー!そう言う名前です、んじゃ、行きましょうカーッ!」
咄嗟にアイシャに悪態をついてしまった女の子。実は人間バージョンの
ララルである。瑠々は慌てて誤魔化す。アイシャは狐に抓まれた様な
表情をしていたが、はっと我に返る。
「な、なんなのよ、……何だかあんまり私、良く思われてない……?
でも、会ったばかりよね……、大丈夫……、だよね……」
突如現れ、入居希望をしてきた謎の少女に不安を抱きつつも、アイシャは
ちょこちょこ2人の後を追うのであった……。
「今ん処、空き部屋は3・4階なんだよ、2階にもあんたと同じ歳ぐらいの
女の子達が集まって住んでるからさ、仲良くしてやってくれよ」
「えー!あたし、1階がいいんですけど、……特にあなたのお部屋の……、
お・と・な・り!」
瑠々はそう言うと、ジャミルの手を引き寄せ、何となく顔を近づける
仕草をした。
「駄目よ、もうジャミルの隣の部屋は前から人が入ってるんだから……」
「んじゃ、追い出せばいいじゃん!」
「おいおいおい……」
「……そんな訳にいかないんだったら!瑠々ちゃんは3階のお部屋よ!」
「うるせーんだよ、おっ、……ばあちゃん!……あらっ、あたしったら、
ごめんよー!おっ、……ばさんだったね、ごめんなさいね、おばん!
ばんばん!ばーんばん!齢食ったらお顔しわくちゃでおばーんばん!」
「おいおいおいお……、な、何なんだよ、こりゃ……」
アイシャの顔がピキピキ引き攣る。ジャミルも段々この場の空気が
おかしくなってきているのをうっすらと感じ取り、……冷や汗が出てきた……。
「私、部屋に戻る……」
「あ、おいっ、アイシャっ!……ま、待てよーっ!」
ジャミルが止める間もなく、アイシャがダッシュで駆け出す。
少し、目に涙を溜めていた様でもあった……。
「おい!今日初めて会ったばっかの奴にっ!……言っていい事と
わりぃ事があんだろうがよ!……お前、本当に此処の皆と仲良く
する気あんのか!?」
「んなモンどうでもいいのル……、んじゃ、大体視察は終わりっ!
かーえりまーすっ!」
「あ、おいっ……!!」
瑠々もさっさと、外に逃走する。玄関を出た処で周囲に誰もいないのを
確かめると、ララルの姿に戻り、空へと飛んで行った。
「けーけけけけけ!」
「なんなんだよ、あいつ、まーた、訳分からん奴がどんどん増えて
困んなあ……」
……部屋に戻ったアイシャはベッドの上で蹲ってしょげていた。
人懐こい性格の彼女はこれまで、会えば誰とでもすぐに仲良く
なれる傾向だったのでこれまでとはタイプの違う、いわゆる
意地悪系の同性の出現にどうしていいか分からず只管戸惑っていた。
「ホントにあの子此処に住むのかな……、何だか、異様にジャミルに
馴れ馴れしかったし……、……わ、私には別に関係ないわよ、ジャミル
なんか、別に……」
「アイシャ、いるんだろ?俺だよ……」
「ジャミル……?」
アイシャが急いでドアを開けると入り口にジャミルが突っ立っていた。
「どうしたんだよ、急に部屋に戻っちまってさ、あんなの気にする
こたあねえだろ、……お前らしくないなあ……」
「べ、別に気になんかしてないわ、用事を思い出したから部屋に
戻っただけ、それより、あの子は……」
「今日は一旦帰ったよ……」
「そっか……、あ、早く中に入ってよ、お茶淹れてあげるっ!」
彼女が帰ったと聞いて、何となくアイシャの心が落ち着いた気がし、
安心するが……。
「はい、どうぞ……、熱いから気を付け……」
「……っちいいいーーっ!!」
「てって、言う前にリアクションしないで……」
(私、……こんなんじゃ駄目だなあ…、ふう……)
お茶をジャミルに出した後、大きな溜息をつくのであった。
「ねえ、ジャミル、今度又、あの子が来たら、私、ちゃんと
仲良くなれるかな……」
「まあ、たまにはウマが合わない奴だっているさ、無理しなくていいよ……」
「そうかなあ……」
「ああ……」
ジャミルにはこう言って貰って励まして貰うが、やはり心の中は
モヤモヤして落ち着かないのであった。
そして、性悪コンビになった小悪魔達は……。
「けけっ!みたかル!気分がいいルー!これが人を陥れルという事ル!
これぞ雅に悪魔の証明だルーー!!けけけけけ!」
「良かったりゅね……」
「はあ、何て気分がすがすがしいのル!何か標的が猿から
団子に変わっちまった気がするが……、とにかく、気持ちがいいルー!
あーゆういい子ちゃん系は見てて反吐とジンマシンがでル!けーっ!
よーし、これからもあのボロ小屋へ乗り込んで行ってとことん
嫌がらせルー!」
(やべえりゅ、このままじゃ、ますます奴がのさばりゅ、調子にのりゅ、
させてたまるかりゅ、リトルもそろそろ本腰入れて動かねーと、りゅ……)
大食いチャレンジ&本日のお客様
「ごめん下さいアル!」
「何だ何だ、また客か?……おお?」
玄関に現れた客を珍しく偶々近くを通りかかったホークが出迎える。
しかし、客の容姿は異常で、大きな体にタラコ唇とビローンと伸びた舌、
まるで人間とは思えなかった。変なのが訪れるのはこの話では
別に珍しくもないが。
「……な、何だ、一体オメーはよ!!」
「ワタシ別に怪しいモンじゃないアル、食の道を極める為、美味しい物
探してるアル、ジタンとダガーの古い友人アルよ!」
「充分怪しいが……、そうか、ジタンとダガー嬢ちゃんの知り合いか、
成程、待ってろ、今呼んで来てやる」
「お願いするアル、2人が此処に住んでるの聞いて、遊びに来たアル」
ホークはいそいそと、ジタンの部屋まで知らせに行った。
「……此処は美味しいもの、食べられるアルかね……」
そして、玄関に珍客が来ている頃、この男は……、部屋で唸っていた。
「金がない、金が……、ううう……」
(……身に染みる、書いてる奴もです。)
「自業自得だよお、みーんな殆どタバコ代で消えちゃうんだからさあ、
いい加減に節約したら?」
「月末の募金零れまでもつかなあ、ううう~……」
「あ、ねえねえ、ジャミル……、これどう?」
「ん?」
ダウドが新聞に入っていた折込チラシをジャミルに見せた。
「……珍珍件、大食いチャレンジイベント開催、20分で超ジャンボ
チャーハン食べ切れたら20000円……、お前人馬鹿にしてんだろ、
食えるワケねえだろ!」
「おんやあ~、上品ぶっちゃってええ~、普段から卑しいんだから
こんなの余裕じゃないのお~?」
「……俺は野獣じゃねえっつんだよっ!たくっ!」
ジャミルはブリブリ怒って自室を出て行こうとした。
「どこいくのさ?」
「残りの金でタバコ……、ヤケだ、全部使い切ってやる……」
「はあ、これだもんね、もう駄目だ、この人……、生活が苦しかろうが
結局は吸いたいんじゃないかあ、その耽美に、ちゃっかりオイラの処に
ご飯集りに来るんだからさあ~……」
「何だ?やけに玄関先が騒がしいな、誰だあいつ……」
エントランスの方で、異様な体系の人物?と、ジタンとダガーが
楽しそうに会話をしているのが見えた。
「よお、誰だい?そ、それ……」
「おー、ジャミルか、オレ達の昔からの友人さ!」
「……友人?」
「こんにちは、ジャミル、紹介するわ、クイナよ、遊びに来てくれたの」
「……」
ジャミルは改めて、ジタンとダガーから紹介された大きい大きい……、
デブ……、異様な容姿の人物?を見上げた……。
「クイナアル、食の道を極める為、美味しい食べ物探してるアルよ、
アンタは誰アルか?」
「マンションの担当責任者のジャミルよ」
「此処のボスあるか?」
「いや、ボスって程のモンじゃねえけど、一番最初に此処に来た手前、
無理矢理管理人を押し付けられたんだよ、……へえ、食の道ねえ……」
「こんにちは、皆さん、お揃いですか?」
「モフー!」
其処へ、タイミング悪くモフルンを抱いたみらいが通り掛かる。
これから買い物に出掛けるらしかったが……。
「♪オホホー!アンタ美味そうな小熊抱いてるアルねー!」
「え……、ええええっ!?」
「モフー!?」
「ク、クイナ、よせっ!モフルンは食いモンじゃねえんだよ!……わりィなあ、
みらい、さあ、早く行ってくれ、ごめんな!」
「は、はい……、すみません!」
前回のブウ子の件も有る為、ジタンが慌ててみらいとモフルンを
クイナから遠ざけさせる。みらいは慌てて買い物に出掛けて行った……。
「クイナ、モフルンはぬいぐるみよ、それに、みらいの大切な
お友達なんだから、……何でもかんでも食べたがっちゃ駄目よ……」
「そうアルか、……食べられないアルか、残念アル……、……?」
ダガーに注意されるが、又何か目を付けた様であった。
「な、なんでぃ……?」
「喋るおにぎりアルーー!もう我慢出来ないアルー!!」
「だからっ!そいつも食いモンじゃねえんだったらっ!」
「クイナっ、や、やめなさいっ!!」
……ジタンとダガー、今度は丸井に食いつこうとしたクイナを必死で止める。
それを見ていたジャミルは、彼?彼女……?が、今回は此処の新規入居者では
なかった事にほっと胸を撫で下ろした。
「うう~、腹減ったアル、何か食いたいアル……」
「……」
ジャミルの頭に悪知恵……、ピコーンと電球が付いた。
(さっきのチラシ、もしかしたらこいつをジャンボチャーハン食べ切りに
参加させれば……、もしかしたら……、もしかしたら……、ふ、ふふふ!
恐らく、食いモンさえ食えれば満足するだろうし、金にはあまり
興味ないとみた!)
「ちょ、ちょっ、……こっちへ……」
「何アルか?」
ジャミルはクイナを呼ぶと、こっそり耳元で話をする。
「……いい話があんだよ……」
「な、何アルか!?美味しい物、食べさせてくれるアルか!?」
「おい、ジャミル、何こそこそ話してんだよ……」
「……良くないご相談かしら……?」
ジタンとダガーがジト目でジャミルを見る。ジャミルは慌てて誤魔化す。
「あ、あのさ、この辺で安くて穴場の美味い店知ってっから、案内して
やろうと思ってさ、な!」
「美味しいモン食べられるならワタシ何処にだって付いていくアルよー!」
「怪しいなあ……」
「ええ、何だかとっても……」
「あ、ジャミル見ーつけたー!あはっ、皆も集まってるー!」
「げ……!」
其処へ風呂敷包みを抱えたアイシャが現れた。……まるでジャミルの
悪巧みを妨害するかの様に……。
「よお、アイシャっ!相変わらず元気だなあ、ねえ、オレとデートしない?」
「……ジタンっ!……こんにちは、アイシャ、紹介するわ、私達のお友達の
クイナです、今、マンションに遊びに来てるのよ」
「オホホー!クイナアルー!」
「こんにちは!私はアイシャです、……うわあ、おっきい……」
(たくっ、アイシャの野郎っ!何で又んな時に限ってっ……、んあ~っ、
もううーーっ!!)
「ん……、アンタ何抱えてるアルか?その包みから美味そうな匂いするアル」
「あ、これ?えへへ、さっき料理教室で作って来たの、ピロシキって
言うんですって」
「!!げげげ!」
「……た、食べていいアルか!?」
「どうそどうぞ、いっぱいあるから、あっ、ジタン達も良かったら……」
「だ、駄目だっ!……お前、……く、食ったら死ぬぞっ!?」
「何よっ!失礼ねっ、ジャミルったらっ!今日はちゃんと作れたもん!
ほらっ!!」
アイシャが怒りながら、風呂敷を解き、中のピロシキを皆に披露した。
確かに今回の見た目は普通で、クイナの言う通り、美味しそうな匂いがする。
「うわあ、美味そうだなっ!さっすがアイシャだな!」
「ホント、美味しそうね、随分と頑張ったのね、アイシャ」
「えへへっ!」
ジタンとダガーも絶賛する横で、ジャミルが不貞腐れている。
「風呂敷から出てきたピロシキか……、んな事言ってる場合じゃ
ねえっつーの!」
「も、もう我慢出来ないアルーー!いただきますアルーー!!」
「あっ……」
もう腹が減って減って我慢出来なかったらしいクイナはアイシャの
作ったピロシキを全て残さず平らげてしまったのだった。
「……ごっそさんアルー!小さいながらに中々ボリュームがあって
びっくりしたアル、あんな小サイズで何故か腹も満杯アル、……今日は
もう食べれないアル!」
「クイナっ!……たくもうっ、アイシャ、ごめんな……」
「折角作ってくれたのに……、本当にもう……」
ジタンとダガーが謝るが、アイシャは片手を振りながら笑顔を返した。
「いいのよ、こんなに美味しく食べて貰ったんだもん、私、すっごく
嬉しいよ!」
(はあ、腹もいっぱいかあ~、やっぱ、わりィ事は出来ねえもんだね~、
ううう~……)
ピー、ゴロゴロゴロ……
「あら?何の音かしら……?」
「こんな真冬に雷かな、最近異常気象多いもんな……」
ジタンとダガーが首を傾げる横で……
……ゴロゴロゴロゴロっ!!ぴいいいいいーーー!!
「違うアル、わ、ワタシのお腹の音アル、は、腹が……、ごっつう
痛いアル……」
「やっぱりな、どうせこうなると思ったよ……」
「何よおっ!ジャミルのバカっ!……ク、クイナ、大丈夫……?」
アイシャが心配してクイナを覗き込むが、クイナは腹を抱えて蹲って
しまい只管唸っている……。
「いただ、いだいアル……、と、トイレアルーーっ!!」
「おい、何処行……そ、そっちは俺の部屋の……よせええーーっ!!」
「……トイレはこっちアルーーっ!!」
クイナは物凄い勢いでジャミルの部屋の方目指して駆け出す。
どうやら使用便所を選ばれてしまった模様……。
「……」
「……」
「えへへ、わ、私も反省しなくちゃ……、ドジだから……」
もう、ドジ以前のレベルではない事態になりつつあるかも
知れなかった。
「ねえ、さっきから、アル、アル、聞こえるんだけど、誰か僕の事、
呼んだかい……?」
アルベルトが部屋からひょっこり現れるのであった。
「……」
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