空隙

自己と世界とのあいだに
空隙がある それに私は懊悩する
私とは 世界のことではなかったか
世界とは 私を指すのではなかったか
いつからこの空隙は生じた?
いつまでこの懊悩は続く?
独我論を越え出た先に
真実の世界があるというのだろうか
私=世界という同一視は
間違っていたのだろうか
この空隙は 客観視の条件なのか
私は他人の目を怖れていた
だから独我論に逃避したのではなかったか?
世界の成立条件は 自意識なくしてありえないと
自分に言い聞かせていた 自意識が
すべてだと信じていた だがそれが
誤りだというのなら 私は何をよすがにして
生きていけばよいというのか
私=世界というトランスを否定された先に
私が私として生きられる道は残されているのか

空隙

空隙

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-28

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