zokuダチ エスカレート編・27
逆襲のクズ男・前編
季節は12月。この島も年の瀬が押し迫り、いよいよクリスマスイブも
近くなった間近の真夜中。今年最後の大事件がマンション住人を襲う……。
「ギャー!!!ジャミルジャミルジャミル!!!ジャーーミーー
ルーーううう!!!」
(……んだよ、ダウドだな、たく、それにしても今夜は通常の
倍ぐらいうるせーなあ……)
ドアを開けると、やはり騒いでいたのはダウドだった。
しかし、その顔は何か恐ろしい物を見てしまったかの
様に血の気が引いている……。
「おい、何してんだよ……、しかも今何時だと思ってる……」
「お、お、お、お、オイラの部屋にーーっ!大量に
あれが出たーーっ!!」
「落ち着いて話せ、だから何だよ……」
「とにかくっ!来てよおーーっ!!」
あまりにもダウドがうるさいので、仕方なしに
ダウドの部屋に行くと、其処で待っていた者は……。
なんと、なんと、なんと……。
「……うわああーーっ!?」
……鳥肌が立つ程のゴキちゃんであった、しかも
1匹や2匹ではなく、その数何と……。
「……何でこっちまでこのネタ引っ張るかなーーっ!?
いい加減にしろーーっ!!」
「わわわわわわ!!」
「おいダウド、オメーちゃんと掃除してんのかよ!ええっ!?」
「んだよお!オイラはジャミルと違うよお!冗談じゃ
ないよお!……寝てて目が覚めたら、耳元で異様に何か
ガサガサしてるから……」
「畜生、これじゃホイホイが幾らあっても足りねえぞ、
何とかしねえと……」
取りあえず、どうにもならないので、一旦ダウドに
自部屋に鍵を掛けさせ封印させた。
「……あ、開かずの間……、魔になっちゃったよお!!」
「落ち着け、対策を練るんだ、とにかく俺の部屋に来いよ……」
……きゃあああーーーっ!!
「こ、今度は何だ?」
「みらいちゃん達の部屋の方からだよおっ!」
「まさか、まさか……」
「は、早く行こうっ!!」
ジャミルとダウドは急いで魔法ガールズ達の部屋へと向かう。
悲鳴が聞こえたからにはやはり彼女達にも何かが起きている様である。
「おーいっ!何やってんだー、無事かー!?」
「……たすけてモフーっ!このままじゃ潰されるモフー!」
「……ジャミルさんとダウドさんですか?鍵は掛かってません、
お願い、助け……」
モフルンとみらいの呻き声と悲鳴が聞こえ、急いで部屋に入ると、
巨大ないちごメロンパンの下敷きになった魔法ガールズ達が
今にも押し潰されそうになっていた。
「……は、はーちゃん、あなた又魔法で何か悪戯
したんでしょっ!?」
「はー!してないってば!第一、もうスマホンもずっと
黒子さんに預けっぱなしだもん!」
「苦しいです、お願い……、助けて……」
「モフルン、もうだめモフ……」
急いで彼女達を引っ張り、巨大いちごメロンパンから
救出するが……。ダウドの部屋の大量ゴキブリといい、
何が起きているのかさっぱりジャミル達も
分らなかった。取りあえず、救出した魔法ガールズ達を
自部屋から出させた。
「助かりました、ジャミルさん、ダウドさん、ありがとう……」
「いや、俺にも何がなんだか分かんねえけど、無事で良かったよ……」
「はー……」
「はーちゃんじゃないとしたら何なのよう、こんなの
まるで計算外だわ……」
「マジで何が何だか分かんねえけど、しっかし、ゴキブリと
いちごメロンパンとじゃ大分差があるな……」
「何だよおお!!」
「私達、お部屋を追い出されてしまったし、今度は一体
何が起きているんでしょうか……」
と、リコが呟いたその時……。
「ああっ!ジャミルっ、ジタンを助けてっ!お願いっ!!」
「お……、お前らもか……!?」
今度はダガーである。いつもの大人しい彼女と違い
大慌てでパニック状態。此方も何かあったらしい。
すぐにジタンの部屋に向かうと、大勢の巨乳美女に
パフパフをされ捲っているジタンが大量の胸の重圧で
ぎゅうぎゅう押し潰されそうになっていた……。
「……ぐるじい、幾ら何でも……、ごれはじぬっで……」
「バカっ!ほれっ、こっち来いっ!」
「ううう~……」
慌てて巨乳美女からジタンを引っ張ってこっちもどうにか
部屋の外に連れ出した。
「あっ、何するのよっ!この馬鹿っ!!」
「もっともっとー!」
「ああんっ!あんっ!」
ジャミルからジタンを奪われた巨乳美女の集団、
デカ乳をぷるぷる振って抗議する。この部屋にも
鍵をロックしてしまった。
「こ、この場合これで済むの?中で大分暴れてる
みたいなんだけど……」
「俺が知るか……」
「ジタンっ!大体、あなたの日頃の行いが
悪いからこんな事に!」
「おいおいおい、ダガー、そりゃねえよ、君は
オレがあの集団を連れ込んだと思ってんのかい?
幾ら何でもありえねえよ!」
ダウドとジャミルが話している横で、ダガーが
ジタンに説教し始めた……。
「ダガーさん、私達も何がなんだか分からないんです、
寝ていたら、いきなり私たち3人の上に巨大ないちご
メロンパンが……」
「はー!潰されそうになったんだよ!」
「……そうよ、こんなの絶対ありえないわっ!」
「オイラの部屋の大量ゴキもだよおーーっ!!」
「……いや、この話だしよ、もう何が起きても
不思議じゃねえし……」
「ジャミルさんっ!そんな事言ってる場合じゃない
でしょ!開き直らないで下さいっ!!」
リコが呑気なジャミルに食って掛かる。と……。
♪のねー、悪戯楽しいのねー!
♪のねー!
薄暗い廊下から、突如謎の声が聴こえた……。
「……のね?」
「……のね?何か、前にどっかで聞いた事ある声だねえ~……」
「ああ、すっげー、不愉快な声だ……」
「ジャミルさーんっ!大変なんですーっ!」
「おい、またかい……」
ジャミルとダウドが顔を見合わせると、今度は谷口と
イガラシが走って来た。
「お前らも何か部屋であったのか?」
「いや、僕らじゃないんですけど……」
「とにかく早く来てくれる!?たく!寝てらんないよ!!」
谷イガコンビに急かされ、後を着いて行くと、頭部に
巨大なコブを作ったおむすび山と見覚えのあるデブが
廊下に倒れて延びていた。
「これは……」
「さ、殺人事件だよおっ!?」
「いや、まだ死んでません、丸井と近藤君です、悲鳴が
したので急いで廊下に出たら、2人ともこの通りです……」
「何か凶器で殴られた後があるな、……こいつはバットだぜ!」
ジタンが殴られた2人の後頭部を丁寧に観察する。
「……こわあーいっ!!」
「モフーっ!?」
「まあ、なんて事かしら、また、このマンションで何かが
起きているのは間違いはないのね……」
魔法ガールズ達は抱き合い、ダガーは呆然としている……。
「……そうだ!アイシャっ!!」
「ジャミル……?」
ジャミルは泡食って慌て、ダウドの横をすり抜けて彼女の
部屋へと走り、アイシャの部屋のドアをノックし、無事を
確かめた。クソ大事の件も有り、又安否が不安になり、
堪らなくなったのである。
「アイシャ頼む、……いるなら返事してくれっ!!」
「ジャミル?なあに、どうしたの……、こんな夜中に……、
何かあったの?」
「ア、アイシャ……」
アイシャがそっと部屋のドアを開け、ジャミルの方を見た。
……アイシャの無事を確認出来たジャミルはほっと一安心する。
「とにかく、説明するからよ、部屋から出て来てくれ、
お前一人でいたら危ねえんだ……」
「あ、ダウドに、みらいちゃん達に、ジタンとダガー、
それに谷口君達も……、こう皆でお揃いの処を見ると
やっぱりまた只事じゃないのね……」
アイシャは苦笑いしながらジャミルに従い、
自部屋から出てきた。
「ったくっ!何なのさ、こんな夜中にっ!」
「……殺してやる……、ふざけやがって……」
「ん?……バーバラ、シフ……?」
廊下の向こうから苛々した様な声がする。見ると
見覚えのある2人の人物が此方に歩いて来た。
「おや、ジャミ公にアイシャ、それに皆さんもお揃いで、
あれま……」
「集まってる処を見ると、アンタ達も大変だったみたいだね……」
話を聞いてみると、バーバラは部屋で化粧落としを
していた処、突然部屋が停電になり、明かりがついた頃、
鏡を見ると、自分の顔が何者かによって落書きされ捲り、
眉毛がケ○シ○ウ並みに数倍の太さに描かれていたらしい。
一方のシフは自部屋に数十人のムキムキマンが突如
雪崩込んできたが、皆残らず成敗し、バーバラと合流し
此処まで来たとの事。
「……プ、ふひゃひゃひゃひゃ!!」
「ジャミ公、笑うんじゃないよっ!!」
「ふひゃ!……ぎゃががががが!!」
「坊やの部屋にも行ったんだけど、姿が見えなくてね、
どうしちまったのかね……」
「アル……、い、いないのっ!?」
バーバラに成敗されるジャミルの横で、シフがアイシャと
心配そうに会話を交わす。
「私たちも、大変だったんですよ……」
「オレもだぜ……」
「僕とイガラシは大丈夫でしたが、見て下さい、
この2人を……」
何者かに被害にあった過程をそれぞれの被害者の
代表達がシフとバーバラに説明した。
「あれま、本当に何なんだいっ、ったく!」
「まーた、変なのが此処に入り込んだ様だね、いいさ、
誰だって見つけ次第只じゃおかないよ……、ふざけやがって……」
……あ、変なのとはなんなのねえ~……
……あ、変なのとはなんなのねえ~……
「あうっ!……ジャミル、こ、この声……」
ダウドが思い出した様にジャミルを突っついた。
「ああ、まさかとは思うけどな……」
「……ジャミル……」
「アイシャ、大丈夫だ、皆もいる、心配すんな……」
ジャミルはアイシャを庇いながら周囲を慎重に
確認するのであった……。
……変な顔で、同じ顔の2人がジャミル達に向かって
じりじり近づいて来た。zoku勇者出身の基地害兄弟、
その内の子分の2人である。
「ぼくらは大事坊ちゃまに金貰ったのねー!だから
きちんと仕事をこなすのねー!」
「えらいのねー!さあ、其処の赤毛の団子娘!
こっちに来るのねー!坊ちゃまが呼んでんのねえー!
さあさあさあさあ!」
「あっ……」
「そうか、てめらも大事に金貰って動いてたのか、
相変わらず汚ねえ奴らだな!」
アイシャが脅えてジャミルの後ろに隠れる……。
「みんな、アイシャを頼む!俺はこの糞共を
どうにかする!……悪い、戦える奴は力を貸してくれ!
こいつらはとにかく何するか分かんねえんだ、
とにかく非常識で基地害だからよ、行動パターンが
とにかく掴めねえ奴らさ、こんなとこ、余裕で
潜入するのも訳ないか、どうりでな……」
「分りました!アイシャさん、こっちですよ!」
「皆、私の部屋に行きましょう!」
「ダガー、頼んだぜっ!」
「……ジャミル……」
アイシャが不安そうな顔でジャミルを見つめた。
魔法ガールズ、ダガーの女の子組にアイシャを任せると、
ジャミル、シフ、バーバラ、ジタンの4人が対峙する。
「あの、……僕らはどうすれば」
「ああ、自分達の部屋で殴られた2人の介護を
しててやっててくれ、こっちは大丈夫だから……」
「分りました、いつもながらお力になれずすみません……」
「全く!冗談じゃないよ!」
「……,こ、こらっ!イガラシっ!!」
野球馬鹿達は特に自部屋も妨害されていないので
そのまま部屋に入って行った。
「んじゃあ、オイラもみらいちゃん達と……」
「……ああんっ!?ダウド、アンタ今何か言ったかい?」
「いだだ、いたいですっ!シフさん許してーっ!
オイラも参戦しますよーっ!だから頭小突くの
やめてえーーっ!!きゃーー!!」
「悪戯面白かったのね?この、ぼくらのアニキが
作った、悪戯するドンマシンは悪戯する相手に
対して、自動的にそれ相応の悪戯をしてくれる
凄いマシンなのねー!」
「じゃあ、オイラはゴキブリ扱いって事なの……?」
……こいつらは本当は頭がいいのか、それとも
本当の真のバカなのかジャミルには訳が分からず
またまた混乱状態であった。しかし、今はそんな事を
考えている暇はなかった。一刻も早くこいつらを片付けて
大元の大事を取っちめなければまたアイシャを危険に
晒す事になってしまう。そんな事には絶対させまいと
ジャミルは誓う。
「そうはいかないのねえっ!!」
「きゃあーーっ!?」
「はーっ!?」
女の子達の前に隠れていた馬鹿兄弟のカシラが飛び出した。
「や、やべっ!?もう一匹いたの忘れてたっ!!」
「ダガーっ!レディ達っ、今いくっ!!」
「お前らはぼくらが相手なのねっ!……喰らえ!
ど袋さん攻撃っ!!」
「……どぶくろさーん、どぶくろさーん、……上を見上げりゃ……」
「うわあああーーっ!!」
上から突然網が降ってきてジャミル達の上に
覆い被さる。その隙に、馬鹿兄弟のカシラは
アイシャを守っている女の子達の方へと……。
「何よっ!アイシャさんは渡さないわっ!」
「モフモフモフーっ!」
「はーっ!」
「そうよ!アンタなんか怖くないわよ!元プリキュアを
なめないでよっ!」
「私も今日は全力でお相手致します!」
「ええいっ!うるせーこの邪魔野郎なのね!
定番だけどこれでも喰らいやがれなのね!!」
カシラが女の子達に向け、アイシャにだけ当らない様に
胡椒弾バズーカを発砲する。喰らってしまった女の子達は
クシャミが止まらず苦しむ……。
「くしゅっ!……ア、アイシャさん、逃げてっ!!
くしゅっ!くしゅっ!」
「モフー!ここにいたら危ないモフー……、……モっくちん!」
「……みらいちゃん!」
「もう~、最低っ!!……くしんっ!くしんっ!」
「はーっ、鼻が痛いよーっ!」
「な、涙が止まらないわ……」
……一方で、網にひっ絡まり、絡まって身動きが
取れないジャミル達はまるで運動会の競技の
障害物競争で網に絡まる選手の様であった……。
「……くそっ!この野郎!!」
漸くジャミルだけが何とか網を潜って張って抜け出す。
他のメンバーは慌てふためき、まだ混乱し網地獄から
身動きが取れない状態に……。
「もうっ!何なんだいっ!邪魔な網だねっ!!」
「……シフう~、重いよお……、オイラの上から降りてええ……」
「ジャミルっ!あたしらの事はいいからっ、早くアイシャと
女の子達を助けに行くんだよっ!」
「悪い、ジャミル……、ダガーを頼む……!」
「分ってる、任せろっ!!」
「そうはいかな……んきゃーっ!!」
「邪魔だっつーのっ!!」
ジャミルは立ち塞がる子分AとBを蹴り倒し、急いで
アイシャ達の元へと走るが……。
「……糞猿、動くんじゃねえのねっ!!」
カシラが女の子達に銃を近づける。どうやら今度は
胡椒弾ではないらしく、モノホンのエアガンであった……。
「テ、テメエっ!?」
「おーほほほ!本気よー!?おい、赤毛の団子!
オメーがさっさとこっちにくりゃ済む事なのね!
早く来いなのね!じゃないと……」
カシラはエアガンを一層じりじりと女の子達の
側に近づける。それを見たアイシャは……。
「分ったわ、私が行けば皆には何もしないのね?」
「……ア、アイシャ駄目だよお!そいつら、絶対
約束なんか守んないんだからっ!」
「ダウドの言う通りだ、行くなよアイシャ!
今助けるからっ!」
しかし、アイシャはジャミルの顔を見て
首を振るのであった。
「ううん、私、行くわ……」
「アイシャっ!おいっ、ふざけてんなよっ!
又デコピンすんぞっ!?」
「私、大事さんとちゃんとお話ししてくるわ、
もうこんな事やめて下さいって……」
「バカっ!話して分る様な相手なら、こんな卑怯な事
しねえだろがっ!頼むからやめろっ!!」
「そうですよっ!アイシャさんっ!お願いだからやめ……
くしゅんっ!」
「ええいっ!うるせー奴らなのねっ!こっちゃ年末で
切羽詰まって忙しいのねっ!こうなったらもう実力行使!
……待たせるとどういう事になるか思い知れ!!もう
撃っちゃうのね、バキューンなのね!!」
「……やめてえーーっ!!」
「のねー!?」
今にも発砲しそうだったのをアイシャがカシラに
飛び掛かりエアガン発射を必死に制御する……。
「お願い、行きます!だから皆に手を出すのは
本当に止めてっ!」
「最初からそうすりゃいいのね、たく……」
カシラはやけに素直に今回はエアガンを下に降ろす。
そして勝ち誇った様にアイシャの顔を見てニヤニヤ笑った。
「……」
「おい、其処の糞猿、僕らだって鬼じゃないのね?
分ったのね、素直にこいつだけ渡して貰えばそれで
いいのんね、さあ、こっちゃ来い来い」
「騙されんな!行くんじゃねーっ!……アイシャっ!!」
「大丈夫、大丈夫よ、大事さんだってちゃんと話せば
分かってくれる筈よ、だから、私……」
アイシャだって大事がそんな正常な人間でない事は
鼻から分かっていたが、それでも自分の為にどうしても
今此処にいる皆にこれ以上何も起きて欲しくなかった……。
(おほほー!金、金なのねー!これで成功すれば
もっとあの糞ボンから……金をもっともっと
たんまり請求出来るのねー!!)
「あああっ!やっぱりアニキはすごいのねえー!」
「かっこいいのねえー!!」
「ちっ!や、やべえっ!?」
ジャミルに蹴られて気絶していた子分共も
ぴょこっと起き上がってしまう。よもや最悪の
状態になり掛けていた……。
「あああーっ!もう駄目だよおーっ!!」
「くそっ!この網さえ外せればっ、何なんだいっ、
んとにもうっ!!」
「のねーっ!!」
「……あ、て、てめえっ!!」
ジタンが叫ぶ、と、同時に、網で動けず
もがいているメンバーの処に、今度は
子分達が近づき、銃を向けるのであった。
「よーし、子分A、子分B、お前らおりこうさん
なのねーっ!!」
「こっちもかよっ!てめえらいい加減にっ……!!」
……ドカ、ドス!!……バキッ!!
「しろ……」
「もうっ!何なのよっ、こんな夜中にっ!
……ふざけんじゃないわよっ!!」
「……のねえ~……」
「のねえ~……」
漸く、騒ぎで目が覚めたシノン4人組、少年が
来てくれたのであった。エレンに力一杯蹴られた
子分共、又も気絶する……。
「おー!何だか分かんないけど、大変な事に
なってるな!」
「……ユ、ユリアン、助けてよお~、この網
外してえええ~!!」
「情けないけど、……頼むよっ!」
「は、早く外しとくれよー!冗談じゃないよっ!!」
「大丈夫ですか、今、助けます!さあ、トムも
あなたも手伝って!」
「やれやれ、こんな夜中につくづく落ち着かない
場所だな、どうしてこう、次から次へと……、
仕方がないが」
「フン……、あんまり構いたくないんだけど……」
「おーっ!サラーっ!いやあー、こんな可愛い子に
助けて貰えるなんてーっ!生きててよかったなーっ!!
うーんっ!!」
「……ジタンっ!!」
ダガーの大声が聴こえた。どうやら女の子達も
どうにか無事な様子。
「よしっ!バーバラっ、ジタン、そしておまけのダウドっ!
あたしらも行くよっ!てめえら覚悟しろ!……お前らこんな事
しといて無事に生きて帰れると思うなっ!!」
「おいさっ!行くよっ、シフっ!!」
「オイラ、おまけえ~……?うーん、仕方ないよね……」
「よしっ!ジタン様、復活うーっ!愛しのダガー、
今いくぜえーっ!!」
調子に乗ったジタンがダガーに投げキスを飛ばした。
それを見たダガーは呆れる。
「もうっ、……本当に調子がいいんだから……」
「うわーっ!みなさん復活ですねえっ!ワクワクもんだあーっ!!」
「♪はーっ!かっこいーい!」
「モフーっ!!」
「計算通りよっ!もう諦めなさいっ!アンタ達悪者に
勝ち目はないのよっ!」
「みんな……」
「くそっ!調子に乗りやがって、なのね、金ズルは絶対
渡さねえのね……」
「よーしっ!アイシャ、もうそのアホのいう事
聞く必要ねえからな!早くこっちへっ!!」
「うん、……ジャミルっ!!」
アイシャは急いでジャミルの元へと戻る。しかし、これで
終わらないのがやっぱりのこの話。もはや逆襲のクズ男より
又もタイトルずれ、逆襲の馬鹿兄弟と化しているのであった。
zokuダチ エスカレート編・27