003

物乞いは足の動きで遊んでいる
ああ、つま先の可動域
ああ、体重の体内での動き
(瓶を降ったときの水の重心の移動に似ているね)
星をかいくぐり、どの星にも当たらなかったわたしが掴む霞
霞は何にも満たすことができない のかもしれないけど
夏は湿って 冬は冷たくて 霞は季節だなぁ、って
何も怖いものがなかったはずなんて嘘
掘っていけば怖いものだらけ
当たり前に怖いものだらけ
それを世界人間は馴化しているだけ
手に入れなければいけないものの代わりに何を差し出して
何を封印して
それでも心が動かされるものがあればいいね
これがわたしの焦がれていたものだ、なんて悲しいことを言う前に、わたし自身がどんどん変質してしまおう
歌 歌
振る舞い
すべての臓器を吐き出したらわたしは何者になるのかな
物乞いの歌を知っている
ひとつはお金を得るための歌
ふたつは歌いたいための歌
わたしは野良猫でしかないから、壊れたものを壊れたままに、継ぎ接ぎする術を覚えなければいけない

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-19

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