詩終 100


たとえば電車の座席で
うつむいている その
かたわらで
…朝日がゆっくりと昇る
暗闇は紺青へ空色へ
いつしか外は朝の顔をしている
…まっすぐに差し込む西日の光線
長く伸びた影が走る、走る
光は輝きを失い
青黒く暮れゆきすべてを影にする
…鮮やかな虹が
ずっと、少し向こうに
やがて消える

それはぼくらに
何かをもたらしてくれるのでもなく
ぼくらから
何かを取り去るものだ
手放したっていいものを
はじめはもっていなかったものを
静かに
いつでも手を広げて

詩終 100

詩終 100

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-16

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