詩終 92 (今)
何かに達することはない
目指しても何にもならない
わたしはどこにもいかない
いけない、とも言える
距離は人を駆り立てる幻
蜃気楼を追うためだけに
人は生きているのではない
何のために生きているのでもない
月があんなところにあるから
って、あの月に行くために
誰も力尽きなくていいのだ
誰かがわたしを名付けても
わたしを知らなくても
意味は無いのだ
存在は意味をかき消す
夢は
どこにも無いのだ
意味は夢とともにある
遠い幻のように
何をしても何をしていなくても
ただただわたしはいるのだ
それだけ
そしてそこにあなたが、あなたが、あなたが
いるのだ
ただ意味も無く
寂しいような気もするね
お構いなくただ
今があるだけ
どこまでいっても
わたしがいなくなっても
あなたがいなくなっても
誰もいなくなっても
詩終 92 (今)