詩終 56 (存在)


何も望まない
それは絶望ではない
私の中の何も読まない
それは逃避ではない
暗号のように見えるものを
解こうとはしない
解かれるべき問いなど
どこにもない
目は覚める
夜は朝になるように
誰も太陽から逃れられない

何も謎ではない
この空間のように
部屋は存在しない
あるのは扉、壁、窓…だけ
部屋はどこにあるのだろうか
部屋は存在しない
わたしのように
その空に満ちているもの

私がどこかに向かって歩きだしても
いつの間にか
どこかではないどこかへただ歩いているなら
それは良い
わたしは勝手に歩く
どこかに向かう私よりも正しく

どこまでも流れてゆけ
果てない流れと共に

詩終 56 (存在)

詩終 56 (存在)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-16

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