詩終 54 (戻れない)


はるか遠くの蜃気楼を見ていた
歩いたら着かないくらい遠くの

自転車に乗れるようになった
乗れないには戻れない
わかった
わからなくはなれない

乗れる、そしたら着く
そこには何もないだろう
そこはただのここだ
誰かはいるかもしれない
もしくはいたかもしれない
それは取るに足らないこと

乗れる、そしたら着く
もういい
自転車を捨てて
道を捨てて

蜃気楼は消えた
遠くは消えた

詩終 54 (戻れない)

詩終 54 (戻れない)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-16

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted