詩終 51 (場)
シームレス
そこに舞台があるなら
どこからが舞台ではないのか
役はいつはじまって
いつ終わるのか
舞台から降りて役を終えたら そこは
また舞台の上で
慣れ親しんだ役に帰るのだから
移り変わる夢のように
境のわからない夢の記憶のように
その手前
に人はいる
生まれた時からずっと
変わらず
みんな手前にいる
そこで息づいている
そこには温もりがある
そこにドラマはない
そこには空があり星が見える
雲が浮かび鳥が飛んでいる
鳴き声が風の音が水の音がある
川が海へ流れている
木が花がある
何も待たずに
そこにはわたしがいる
そこにはあなたがいる
舞台が夢みたいに消え失せて
役が死んでも
詩終 51 (場)