詩終 43
捉えられないくらい素早く、色々なことが浮かんできたり考えたりしながら生きている。ぼくだけではないだろう。
例えば日記を書くとして、すべてをいちいち書いていたら多分歩くこともままならない。しかし、一日が終わる頃にまとめて書いたところで、実に多くのものが思い出せない彼方へと消えている。
もちろん、書き残されるものもある。自分にとって大きな関心事だったり、その日周辺で起こったことなど。でもきっと、後で読めたら素敵なことは、示唆を与えてくれるものは、そうして書かれなどしない些細な(もしかしたら重要な)ことの中にあると思われる。
詩は余白の中にこそある、とか言われたりする。としたら、この書かれないこと、思い出されないその風のような何かこそ、まるで詩のようだ。
詩終 43