詩終 29


この世界が本であるなら
人々はあちらこちらを見て
自分を読んでいる
でもこの本には
たとえばわたしのことや
たとえばあなたのことは
書いていない
ただ何かが書いてあるだけだ
それは誰にも読み取られえず
無数の一人歩きが
行き交う

誰も
同じ本の話はできない

詩終 29

詩終 29

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-16

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