『深度不明』
泣かない君が泣くのは
いつもアタシの所為だった
『深度不明』
海に沈むみたいにアタシの中に
入り込む君の冷たい優しさ
生暖かくなるまでずっと
独占していたいだけなの
青春なんてとっくに過ぎたけど
手を繋げば空も飛べる気がして
他の誰とも似てないから
誰とも間違わずにここまで来れた
いつかふたりで心中するなら
きっと手を繋いだままね
軽くそんなことを呟けば
ちょっとだけ目を細めるの
今何を思ったの?
アタシには何も分からない
だって愛されてるかどうかさえ
きっと永遠に謎でしかない
素っ気ない振りした優しさも
真夜中触れる手の温もりも
静かに諭す声に滲む感情も
理由は謎のまま受け止める
君のことが大事な理由なんて
アタシには必要ないもの
だけど自分以外の心なんて
結局誰のも分からない
アタシが信じるのは
ふとした時の仕草とか
咄嗟の表情とかそういう
心じゃなく見えるもの
だけどそれで間違ったことは
一度もないんだからいいの
君が信じるものが例え
アタシの心だとしても
「深海で会ったなら、いつもと同じキスをして」
『深度不明』