真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter5

真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter5


真凛は、今日はなんと・・お局の、中本愛華(通称:ラブ子)と残業中である。

今日はせっかく、彼氏の智哉が、イタリアンレストランに連れていってくれるはずだったのにーーー。(キャー、最悪だなあ、帰りたいな。)

ーーーその時、デスクの電話が鳴ったのだ。

いつも智哉は、真凛がスマホをロッカーに置いておくことも多いので、デスクに直接、かけてくることがある。
『き、きっと、、智哉だわ、天の助けね、これを良いことに、帰っちゃおうっと。』
真凛が手を差し伸ばそうとした時、、ラブ子は、さっと自分で電話に出てしまう。

愛華「はい、坂田オフィスです、もう営業は終了しました、誰も残っていないですが。」

たぶん、、智哉なのになんてことを・・!

今日は智哉との初キスの記念日で、、毎年、お祝いしていたのに・・。
このお局さん、恋愛偏差値が低いの、うなずけるわっ。。
他人の恋愛まで邪魔するなんて、、一生、売れ残るんじゃないかしら・・・?
真凛は言葉にはしなかったが、後ろ姿のラブ子に執念を送ったのだ・・。

午後9時を過ぎても、いくら真凛がデイスプレイを修正したところで、ラブ子は細かいところに言いがかりを付けてくる。
真凛は、小さい頃にうるさい姉がいたせいで「立場が上の人に、反抗する」なんて、バカげたことはしないタイプだったのだ・・。

真凛「ねえ、愛華さん、お腹すきませんか?そろそろ、おしまいにしませんか?」
愛華「私なら夕食抜きでも、いつもそうだから、、あと1時間はだいじょうぶよ。」
愛華と一緒に、後1時間もこの部屋で、、デイスプレイの直しをするなんて酷すぎる!

--その時、ドアをトントンと叩く音がしてきた。

あらまあ、たまに廊下で会う感じのいい若い守衛さんみたいで、真凛はほっと溜息をつく。
守衛「お疲れ様です・・・。ずいぶん、遅くまでご苦労様ですね!でも、そろそろあがってください     ね。」

それを聞いて納得したような愛華は、ちょっと考えていたが急に真凛のほうを振り向き、笑顔でこう言ってきたのだ。
愛華「ねえ、私の家はすぐ近くなのよ、家に泊まっていかない?続きのデザインをやっちゃいましょう    よ」
真凛(心のつぶやき)『はあ、なんでラブ子の家に、泊まらなきゃいけないの・・!?
           私は自宅の布団で、ゆっくり寝たいのに。」

「いいから、いいから、」とラブ子は、私を家に泊めることを強制的に実行するつもりみたいだった。
『わっ、まずい、、早く逃げようっと・・』

突然、バタバタとうるさい足音がして、部屋に入ってくる1人の男性の姿が・・。
智哉「真凛、心配したぞ、待ち合わせの場所に来ないからなあ」

残業で居残りの真凛を心配して、智哉がオフィスまでやってきてくれたのだ。
愛華と言うと、急に真凛の彼氏が現れて、呆然としていたが次第にイライラし始めたらしい。
愛華「ここは、オフィスですよ、、プライベートな理由で、入ってこないで!」

まあ、確かにラブ子の言っていることも、つじつまが合っているなあ。
それを聞いて、智哉は一枚の紙を、、ラブ子の前に差し出したのだ。
なんかいつも相撲の話ばかりして、ニタニタ笑っている頼りない智哉だったのに、とってもヒーローに見えるよ、、、智哉、がんばって・・!!

それは一枚のビラで、太い赤文字で次のように書かれている。

   ~ 夜9時以降の、就労は違反になり、罰金を取る~

         坂田オフィス 坂田社長。

な、なんと、真凛もバイトしていてずっと知らなかったが、こういう規則があったみたい。
それを見た愛華さんも、さすがに「罰金を取る」とあったのでしゅんとしてしまい、そそくさと帰り支度を始めたのだ。
智哉「これは、下の守衛さんから貰ってきたんですよ、中本さんも、もう帰ってくださいよ」



それから、3日後。

真凛と智哉は、イタリアンレストランでワインを飲んでいたのだ。
真凛「ねえ、この前のビラを守衛さんに貰ったって、ウソでしょ?」
智哉「ああ、さすがに、真凛は俺の彼女だよね。デマもデマ・・、あれは自分で急いで作って、コンビニでコ
   ピーしただけだよ」         
真凛「へえー、でもなんで、私が残業させられてたって分かったの?」

智哉の話では、愛華さんのこともたまに話題にのぼっていたので、きっと嫌がらせでもされて、真凛のことだから抵抗できないのだろう、と思ってたらしい。。
ラブ子には悪いけど、こんな時は頼りになる彼氏の存在は本当に助かるものなのだ・・・。

真凛は、智哉のためにピザを追加して、今日のお代はご馳走しよう、と心に決めていた。

それから、愛華さんの嫌がらせはタナちゃんの耳にも入り、ラブ子は、、とうとう解雇させられることになったのだ。
もともと女子社員が入ると、恋愛遍歴のコンプレックスから、いつもからかったり無言の圧力をかけていたみたい。

その後、半年後・・。
噂によると愛華さんは、違う会社に行っても女子社員への嫌がらせが悪評になっていて、周りから距離を置かれうまくいってないらしい。

坂田オフィスは新参として、20代の男性社員と60代のバイトのおじさんを、入社させた。
あいかわらず、タナちゃんの優しさに触れながら、2人の男性社員とも真凛は協力してやっていた。

そういう真凛の左のくすリ指には、きらりと光るエンゲージリングがはめられていた。

ーー智哉との挙式も、あと3ヵ月後に控えているーーー


                              END

真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter5

真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter5

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • ミステリー
  • 成人向け
更新日
登録日
2025-12-12

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