zokuダチ エスカレート編・25

ジャミ公、mii広場に行く・前編

「ジャミル、お手紙よ、チビちゃんが届けて
くれたわ、はい」
 
「ん……、珍しいな、誰から?……また宛先不明……、
こういうお手紙はマナー違反だよお!って、チビが
ぴーぴー怒るんだよ、俺に……」
 
「うん、ぎゅっぴぎゅっぴ、言ってたわ……」
 
「やれやれ……」
 
ジャミルはアイシャが部屋に持って来てくれた手紙の
封を開け、中身に目を通した。
 
『拝啓、ジャミル様へ、この島の生活にはもう
慣れましたでしょうか?私はすれ違いmii広場
担当の者です、今度あなたをすれ違いmii広場へと
ご招待させて頂きたく存じ、この手紙をお出し
しました、是非、お友達をお誘いの上、遊びに
すれ違いmii広場へお越しくださいませ、お待ち
しています』
 
「……だとさ」
 
「わあ!面白そう!ねえ、行こうよ、すれ違い
mii広場に!」
 
「何処にあんの?」
 
「えと、分かんない……」
 
「……」
 
ジャミルとアイシャは困って顔を見合わせる。
広場担当の物よりとは書いてあるが、本当の
差出人は不明。mii広場の明確な場所も何も
書いておらず、地図も無い。実にいい加減な
手紙である。
 
「それは、私がご案内いたします」
 
「うわ!」
 
突如、ジャミルの部屋の押し入れの戸が勝手に
開き、変な生き物……、が、顔を出した。
変な生き物は、頭部に可愛い猫耳を着けているが、
顔は不細工なおっさん。
 
「……まーた何だおめーはっ!人んちの押し入れに
勝手にっ!」
 
「私は、ミーちゃん、mii広場からやって来ました、
もうあなた方をお迎えする準備は整っております、
さあ、行きましょう、すれ違い広場に……、
此処から広場に通じる様になっております」
 
変な生き物……、ミーちゃんは押入れから手招きする、
二人に向ってこっちに来いと。
 
「其処から行けるんですか!?」
 
「……てめっ、勝手に人ん家の押し入れに
変な出入り口作るなっ!」
 
「うるさい人ですねえ~、そちらから来ないの
なら此方から行きます、……ほい!」
 
ミーちゃんが指を鳴らすと……、二人はあっと
いう間に何処かへ飛ばされた。……其処はもう
、ジャミルの部屋では無く、だだっ広い広場で
あった。
 
「何処だよっ!ここはっ!」
 
だからmii広場である。
 
「きゃージャミルっ!」
 
「あんだよ……、って!
 
突如ジャミルの顔を見たアイシャがオロオロ。
ジャミルも逆にアイシャの顔を見て口を
あんぐり開けている……。
 
「ジャミル何だかいつもと顔が違うわっ!
それに身体も何だか変、まるでこけしみたいよ!」
 
「オメーだってそうだぞ!……何だその落書き
みたいな単純な顔は!」
 
二人ともちゃんと自分で状態を確認出来ないので
お互いの言っている事が理解出来ず、何がおきて
いるのかさっぱりで只管ギャーギャー言い争いに
なっている。
 
「あなた方はもう、このすれ違いmii広場に
来られたからですよ……」
 
「あっ!オメーはっ!」
 
「ミーちゃんさん……?」
 
mii広場の案内人らしき、ミーちゃんが再び姿を現した。
 
「此処に来た以上、あなた達は姿形も完全なmiiと
して過ごしてもらいます、……この広場には、
他にも沢山のmii達がいます、是非、色んな方と
すれ違って交流を楽しんで行って下さい……」
 
「げー、何か嫌だなあ~……」
 
「仕方ないでしょ、もう、こうなった以上、
とことん楽しむしかないわよ、何だか
分かんないけど!いけいけごーごー!」
 
「……」
 
……miiになってしまっていても、アイシャはアイシャ、
変わらずであった。
 
「ねえ、ミーちゃんさん、私達、帰ったら
ちゃんと元の姿に戻れるの?」
 
「ええ、それはもう……、大丈夫ですよ」
 
「良かったーっ!なら安心ね、じゃあ、とことん
楽しんじゃおーねっ!」
 
「ちょ、待てや!……だから何処でも勝手に
行くんじゃねーっての!……デコピンするぞおーーっ!!」
 
アイシャは早速どんどこ広場の方へ走って行って
しまう。ジャミルは急いで後を追い、アイシャを
捕まえようとするのだが……。通常モードよりも
更に背丈が縮み、短足になっているジャミルは
どうしても小走りのアイシャに追いつけない。
 
「……ふ、ふぎょ!」
 
……広場には沢山のこけし……、大量のmiiが
ウロチョロ屯しており、ジャミルの妨害をする。
ジャミルがmiiに邪魔をされ、戸惑っている間に
アイシャはどんどん何処かへと行ってしまい
等々姿が見えなくなった。……広場には、芸能人の
miiやら、なんやかんや。アニメキャラのmiiなども
いる様であるが、大体が同じ顔の為、一体誰なのか
名札を書いて貰わないと判別出来ず。
 
「やあ、どうも、こんにちは、僕は東京都の
山田太郎です」
 
「どうでもいいっつーの!」
 
「多羅チャンでーす!おにいさん、何で
おこってるですかあー?」
 
「……もっとどーでもいいっ!」
 
ジャミルは焦る。早くアイシャをとっ捕まえ
ないと……、迷子になる処か、彼女の事なので、
また悪い奴に捕まる可能性もあるからである。
 
「大丈夫ですよ、このすれ違いmii広場に訪れる方は、
悪い方はいらっしゃいません、皆、良い方ばかりですよ」
 
「はははは!それはどうかな!?」
 
突然聞こえてきた、人を小馬鹿にした様な声に
振り向くと、……恐らくこの広場には大量に
いるであろう、ムスカのmiiの一人がアイシャを
捕まえ、小脇に抱えていた。
 
「ははは!遂に手に入れたぞ、飛行石だっ!」
 
「助けてーっ、ジャミルーっ!捕まっちゃったーっ!
私、飛行石なんか持ってないったらあー!」
 
「……ほおー、悪い方はいらっしゃいません……、
ねえ……」
 
ジャミルがミーちゃんを横目で見ると、
ミーちゃんはこそこそと何処かに逃走する
寸前。
 
「はあ、俺、もう疲れたよ、悪ィけどオメーの
面倒はもう見きれねえ、自分でなんとかしな……」
 
「……ジャミル……?」
 
ジャミルは遠い目でアイシャを見る……。そして
アイシャから顔を背けてしまった。
 
「ふははは!遂に負けを認めたか小僧!」
 
「負けも何も……、俺、あんたと何の関係も
ねーっつーの、……アイシャは返して貰うぞ」
 
「……ぎゃすぴー!」
 
ジャミルは短足ながらもムスカの頭部に
蹴りを入れる。……ムスカは一発でその場に
頭からうつ伏せに倒れ、抱えていたアイシャを
手放した。
 
「ジャミル!ありがとうー!やっぱり助けて
くれたんだね!」
 
〔ぴんぴんでこぴん×3〕
 
「きゃーっ!……いったあああーーいっ!」
 
「まーた捕まった罰っ!本日の回数、×3!」
 
「ぶーっだ!」
 
ジャミルは膨れるアイシャを引っ張りながら、仕方なく、
またすれ違いmii広場をのてのて歩いていくのであった。
 
「畜生、早いとこあの猫耳親父を捕まえねえと……」
 
「あーん!おでこが痛いよう!」
 
「お黙りっ!静かにしてねえと、……もう一発やるぞっ!」
 
「ジャミルのバカーーっ!」
 
……二人は無事元の世界に戻る事が出来るのか。

「どーこ行きやがった、糞親父……、あー、
足いてえ……、短足だから余計だわ、
……自分で短足短足言ってて情けなくなるな……」
 
「おでこいたいよう、ぐすん……」
 
ジャミルは項垂れ、アイシャは只管赤くなった
額を押えている。……広場で出くわすのが圧倒的に
多く、すぐに誰だか分るmiiは、ムスカの他に、
やはり、某ハンバーガー屋の基地ピエロ。
 
「……そんな時はっ、パーツをいじって気分
一新!どうですかっ!?」
 
「ミーちゃんさん……、もうーっ!何処行って
たのようーっ!」
 
「おい……、猫耳親父ーーっ!」
 
また突然現れた猫耳の親父、ミーちゃん。
今度はmiiパーツを取り替え気分を変えて
リフレッシュする事を勧めてきた。
 
「私はこのすれ違いmii広場の担当、そして、
mii職人でもあります、思うままにあなた達の
身体を自由自在にあなた方が此処にいる限り、
変えられますよ、よっ!」
 
「オウーーーっ!!」
 
「きゃーー!?」
 
短足短足言ってブツブツぼやいていたジャミ公は、
ミーちゃんの陰謀により、今度は足だけを伸ばされ、
思い切り長くされた。
 
「どうですか?おお、かっこよくなったではないですか!」
 
「……ふざけんなこの野郎!……早く戻せってんだよっ!」
 
「かっこいいのに……、やれやれ、又短足に戻りたいのですか、
仕方ないですね……」
 
ミーちゃんは仕方なしにジャミルの足を元に戻す。
再び短足に戻ったがジャミルはほっと一安心。しかし、
小悪魔といい、……チクチク毒攻撃のグレイといい、
彼方此方で本当に良く玩具にされるジャミ公。
 
「よ、良かったね、ジャミル……」
 
「お嬢さんはどうですか?何処か変えて欲しい部分などは?」
 
「わ、私?えーと、えへ、胸が……」
 
「……やめろってんだよっ!」
 
「やーっ!また叩いたわねーーっ!」
 
アイシャ、本日2度目のデコピン攻撃を
ジャミルに食らった。
 
「もうーっ!……ねえ、ジャミル、折角広場に
来たんだもん、沢山の人とお友達になって
行こうよ!この広場って、遠方の人とでも
気軽にバーチャルで知り合いになれる、
そう言う出会いの場なんでしょ?」
 
「そうそう、そうなんですよーっ!私はmiiの
皆様との良き出会い、ご縁を繋ぐ懸け橋人でも
あります!」
 
と、ミーちゃんは言うが。純粋なアイシャは
これだから困るのである。ジャミルは別に
どっちでもいいのだが、とにかく何でも
とことん楽しみたいアイシャはとにかく困る。
……またうっかり変な奴に騙されて連れて行かれでも
したらと思うと、ジャミルは気が気でない。そして、
疲れたジャミルはもう広場をウロウロしたくなかった。
しかし、アイシャから目を離すわけにいかず。
 
「俺、もう疲れちまったんだよ……」
 
「私、もう遠くに行ったりしないから!ちゃんと
戻って来るよ!だからジャミルは休んでて大丈夫だよ!」
 
「……本当だな、じゃあ、制限時間10分だぞ、もし、
また拉致られたり、守らなかったら……」
 
「はう!わ、分かってるもんっ!じゃあ、
行って来まーす!」
 
「良いご縁をー!」
 
「ケ……」
 
漸く自由時間を貰ったアイシャは、ミーちゃんに見送られ、
広場を再び駈けて行く。……まあ、いいか、と、ジャミルが
思ったのも、矢先。
 
 
「……きゃあああああーーーっ!!」
 
 
アイシャが走って行ってまだ一分も立たず。早くも
約束は破られる事になる。
 
「ジャミルさん、……お嬢さんが大変です!」
 
「分ってるよ、どうせこうなんだろ!あーあ、
分かってますよっ!畜生、また、指鍛えとか
ねえとなあ……」
 
ジャミルはオロオロしているミーちゃんを置いて、
アイシャの悲鳴が聞こえた方向へと、一目散に
短い足でダッシュで走って行った。と、ほぼ同時に、
ジャミルとは逆方向から沢山のmii達が逃げまどい、
走って来た。
 
「おい、どうしたんだよ!」
 
ジャミルは走って来るmiiの一人を捕まえ、
状況を尋ねた。
 
「ああ、アンタももう此処から早く帰った方が
いいよ!あわわわ!出たんだよ、大魔王
田中さんがーーーっ!」
 
「……おい」
 
「は、はい……?」
 
ジャミ公は先程から縮こまり出したミーちゃんに
じりじりつめ寄る……。
 
「なんか、隠してる事があんだろう、アンタ……」
 
「はいーっ!申し訳ありませんでしたあーーっ!」
 
「やっぱり……」
 
ミーちゃんはジャミルに土下座をし出す。そして今回、
ジャミル達を呼んだ経緯を話し始める。
 
「私は、ある時は、mii広場の担当者、またある時は、
mii職人、……そしてまたある時は……」
 
「いいからっ!時間がねえだろっ、まーたあいつが
拉致られちまったんだぞっ!手短に、簡単に説明しな……」
 
「はい……、実は、このmii広場に大魔王田中さんが
現れまして……、強くて非常に迷惑しているので誰か
勇敢な方に其処の広場に来て頂こうと彼方此方へ
招待状を出し、勇者様になってくれそうな方を
探していました……」
 
「内密でだな……?」
 
「はい、直に云うと皆さん、逃げてしまいますので……、
何事にも恐れない強い勇気……、が、ある方はいないかと
じっと観察しておりました……」
 
「ふ~ん?」
 
ミーちゃんはジャミルに近寄ると、ジャミルの手を
ぎゅっと握った。
 
「ジャミルさんっ!漸く見つけました!この広場の
困った性悪悪人、ムスカをいとも簡単に蹴り倒した
その勇気!あなたこそ、真の勇者様でございますうー!
どうかどうか……、大魔王田中さんを倒してこの
すれちがいmii広場の平和をーーっ!」
 
「滅茶苦茶云うなーーっ!大体なあ!」
 
 
『すれ違い伝説、開始。』
 
 
「……おおーーいっ!?」
 
……まあ、この男が滅茶苦茶事に巻き込まれるのは、
ワンパターンであるが。しかし、アイシャが捕まった
事を考えると、拒否する訳にもいかない状況に……。
 
「あいつが捕まってる以上、帰る訳にいかねえもんな、
仕方ねえ……」
 
「おおお!勇者様、引き受けて下さるのですか!?」
 
「の、前に……、アンタ、頭出しな」
 
「は……?」
 
「……いいから頭アーーっ!!」
 
〔げんこつ〕
 
「ゆ、勇者様、……大魔王を倒すには……、この
すれ違い広場にいる、すれ違った勇敢な方々の
力を借りる事が重要です……」
 
「と、言ってもなあ……」
 
ジャミルは辺りを見回す。広場にいる大量のmii達の、
このごちゃごちゃした中で、誰が一体力を貸して
くれると言うのか。しかし、迷っている暇はあらず。
 
「……ダウドとアルも引っ張ってくりゃ良かったなあ~……」
 
「僕、嫌だよ」 アルベルト
 
「オイラもです、御遠慮します」 ダウド
 
そして、適当にすれ違い、仲間になってくれたmii。
 
 
「では、いきましょうかねえ~……」
 
〔グンマー出身 唐沢プーさん 85歳〕
 
「はあ?わしゃ、最近耳が遠くなってのう……」
 
〔グンマー出身 吉田鼻毛さん 98歳〕
 
「ひっひっひ、ひっひっひ……」
 
〔グンマー出身 斉藤ウン子さん 103歳〕
 
 
「……アアアーーー!全部聖地出身の高齢者
集団じゃねえかーーっ!!」
 
※ 作中のmiiは全て空想の人物です。

「あのう~……」
 
「っ!?」
 
聞こえてきた声に後ろを振り返ると、突如モニターが出現。
中には異様に気弱そうな大魔王と、側にはアイシャの姿が。
 
「あっ、アイシャっ!おまえっ、……約束……」
 
「ちょっと待ってったらあ!ほぼ突然に強引
だったんだもの!それに、この大魔王さん、
本当は可哀想なのよ、役柄で強制的に大魔王に
されちゃったの!」
 
「……何ですと?」
 
ジャミルはまたミーちゃんの方を見る。ミーちゃんは
ジャミルから顔を背け蹲っていた。……段々と、この話の
黒幕のオチが分かってしまった様な気がした物の。
それでもジャミルはしゃがみ込んでいるミーちゃんに
声を掛けた。
 
「おい、本当はアンタが……、黒幕……、とかじゃ
ねえだろうな?」
 
「そうですよ……」
 
「やっぱり……」
 
「フフ、ハハハハハ!……小僧!よくもオチを見破ったな!
貴様、やはり只者ではないな!」
 
ミーちゃんは開き折ると自身の姿を大魔王の姿へと
チェンジした。
 
「……あのう~、お話、まだですかあ~……、わたし、
明日、アイドルグループさん、竜巻のライブに行く
予定なんですけど……、早く帰ってねたいんですよお~……」
 
「んだぞ、あやくしろや、おれら、もう、かえりん
たいんだけんど!」
 
「ひひひ、ひひひ、ひっひひひ!」
 
更に後ろで只管出番を待っている、唐沢、吉田、
斉藤……、の、3ババ軍団。帰りたいのは俺だって
同じだよ……、と、思うジャミ公。
 
「ちゃんとした説明もあるんだろ、早くしてくれ……」
 
「そうか、そんなに聞きたいか、ならば説明して
やろう、私の仮の姿、そう、……ある時は、mii広場の
案内人、そしてまたある時は、mii職人、miiとmiiを繋ぐ
懸け橋人、しかし、それは全て真っ赤なウソ、……その
実態はアアアーー!全てのmiiを従え、世界征服を
目論む、悪の大魔王!私がミーチャアーンであるっ!」
 
「ミーちゃん、……ミーチャアーン、本名なのかい……」
 
話を聞くのも本当に疲れて来た様子で、半目になる
ジャミ公。しかし、アイシャが捕まっている以上、
逃げるわけにはいかないのである。
 
「そうだ、貴様に招待状を送ったのも、この大魔王の
奴隷として働かせる為、miiに代えさせ召喚したっ!
すれ違いmii広場を救ってくれる勇者を探していたと
いうのも真っ赤なウソなりっ!本当はこうだ、……ついでに、
召喚した奴らの中から、私は勇者となる奴の存在自体が
厄介なので、何としても探し出して消滅させようとしたの
だっ!しかし、遂に見つけたのだ!ジャミル、即ち、貴様
自体が勇者の資格を持つ者として邪魔な存在だったのだっ!
フハハハハ!」
 
「はいはい、なげー説明、どうもご苦労さんですね……」
 
「あの、僕はいつまでこうしていればいいんでしょう……、
帰りたいんですけど……」
 
「大丈夫ですか?……ジャミル、どうしよう……、
フェイクの大魔王さんが困ってるみたい……」
 
モニターの中のアイシャは困っているフェイク大魔王
田中を必死で気づかっている。困ってんのは俺も
同じだよ……、と、思うジャミ公。
 
「よし、大魔王田中よ、貴様の出番はもう終わりだ!」
 
「ああ~、良かった、帰れるんですねー!」
 
「良かったね、……田中さん!」
 
「はい、アイシャさん、本当にごめんなさい、僕、
脅されていたとは言え、あなたにとんでもない事を
してしまって……」
 
「ううん、私は大丈夫よ、だから気にしないで!」
 
お約束とは言え、どうやらフェイクの大魔王田中は、
真の大魔王に脅され、アイシャを拉致したらしい。
 
「……馬鹿めがあーーっ!貴様ら、私をなめているのかっ!
折角捕えた奴隷をやすやすと返すと思うかーーっ!
だが、田中、貴様はもう用済み、……貴様の失態で
オチを見破られたからな!」
 
「……てめえで勝手にネタばらししたんだろうがよっ!
適当に責任を押し付けんじゃねーっつーの!」
 
「うるさいうるさい!大魔王様の力を思い知れ!」
 
「……あああーーっ!」
 
「……田中さんっ!」
 
モニターの中のアイシャが叫んだ。田中は何と、真の
大魔王の力により、石に変えられてしまった。
 
「てめえっ、何て事をっ!てか、只の適当でいい加減な
魔王じゃなかったのかあ」
 
「うるさいぞっ!では、真の大魔王が今から其方へ
参ろう、よっ!」
 
「きゃーーっ!?」
 
「アイシャっ!」
 
大魔王ミーチャアーンはよっこらとモニターの中に
入る。そして、石化した田中を蹴とばし、強引に
アイシャを捕まえた。
 
「やだーっ!助けてジャミルーーっ!」
 
「やめろっ、くそっ!てめえ、アイシャを放せっ!」
 
「嫌でーす!お姫様は私のモンだもんーん、
悔しかったら此処まで来てみな、……さらば!」
 
モニターは消え、アイシャを救うには本当に大魔王の
いる処まで行かなければどうしようもならない状況に
陥ってしまう……。しかも、現在の仲間は……。あれである。
 
「いい加減にしてほしいですよう~……」
 
「冗談じゃなあよ、ざけてんじゃねえど!」
 
「ひひひ、ひひひ、ひっひひひ!」
 
しかし、本当にあいつは、あっちでもこっちでも、
何回捕まったら気が済むんだよ……、と、アイシャに
デコピン100回噛ましてやりたいのも現実であった。
 
「はあ、あのさ、後は俺一人でやるからさ、もう帰っていいよ……」
 
ジャミルは苦情を言い出す3ババに声を掛けた。正直、
いて貰っても邪魔になるだけだと思った。しかし、気づくと、
先程まで大量に広場におり、逃げ回っていた他のmii達も
いつの間にか姿が見えなくなっていた。一体何処に行って
しまったのか。謎である。
 
「はあ~?聞こえな~い!?」
 
「ハア!?帰り方なんか分るワケがあんべーや!」
 
「ひひひ、ひひひ、ひっひひひ!」
 
「あう……」
 
「冗談じゃねえよ、こうなったらおれらもとことん
ついてぐよ、行くぞ、おら!唐沢、斉藤」
 
「もう~、ばあちゃん、もうつかれました~……」
 
「ふひひ、ひひひ、いっひっひ!」
 
「……勘弁してくれえええーーっ!!」
 
ジャミルは今からでも、此処に強引にアルベルトと
ダウドが降って来てくんねえかな……、と、
思いながら、念を押し、ちらっと空を見上げた。
 
 
「嫌です」 天の声 A
 
「オイラも嫌です」 天の声 B
 
 
「……薄情者オオオーーッ!テメエらもデコピン
100回の刑だああーーっ!!」

zokuダチ エスカレート編・25

zokuダチ エスカレート編・25

SFC版ロマサガ1 トモダチコレクション キャプテン まほプリ ロマサガ3 FF9 わんぷり FF8 コードネームはセーラーV クレしん メタルギアソリッド クロスオーバー バカ どんどん増える変な住人 カオスな世界 ドラクエ オリキャラ 陰からマモル 幻想水滸伝ティアクライス 幻想水滸伝1 テイルズオブハーツ

  • 小説
  • 短編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-07

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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