呪われた揺籃期

思いだすのも忌まわしい
呪われた揺籃期(ようらんき)
無責任な言葉を浴びせられつづけ
俺の精神は(いびつ)に変形してしまった
言葉を発し始めた頃にはもう
言葉の無力さを自覚していた
言葉など覚えたくなかった
そんなものがあるから
苦しまなくてもいい苦しみを
強制的に苦しまねばならないのだ
目を開けた時のあの眩しさ、あの光は
祝福などではなかった、あれは
紛れもなく呪いだった
人と付き合う以前から
人に愛想を尽かしていた俺は
どうにもこの世界が生きづらかった
そしてその懊悩(おうのう)を正当化するために
あらんかぎりの復讐心をつぎ込んだ

呪われた揺籃期

呪われた揺籃期

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted