笑術廻戦~もしも竈門炭治郎が五条悟だったら~
オスカー氏(https://www.pixiv.net/users/29448170/artworks)のもし強くなれる理由を知りすぎたら(https://www.pixiv.net/user/29448170/series/81948)、靡黎莊(ミレイソウ)氏(https://www.pixiv.net/users/3632692)の鬼滅の拳(https://www.pixiv.net/artworks/84189158)、グリーンボーイ氏(https://www.pixiv.net/users/15031176)の炭治郎の奇妙な冒険(https://www.pixiv.net/user/15031176/series/64915)などの『竈門炭治郎別キャラ化シリーズ』に参戦しようかと思います。
ただし、私はイラストが壊滅的かつ致命的に下手なので、同人小説と言う形をとらせていただきます。
予告編
コラボ
それは別物同士が融合して新たな次元を生み出す事である。
そしてそれは、出逢う筈がない者達同士に奇跡的な出会いを齎す場でもある。
故に人々は問う、
「どっちの最強キャラの方が強いのか?」
五条悟
「大丈夫!僕、最強だから」
呪術界最優秀術式、爆誕!
完成した直後に呪詛師の大半に敗北を認めさせた、常勝無傷の最優秀術式。
単独での国家転覆が可能であり、クラスター弾での絨毯爆撃と肩を並べるとされる特級の中でも更に別格な術式、
無下限呪術!
軽薄。馬鹿。個人主義。
だが、言うまでもなく、最強!
無下限呪術の許可無く使用者に触れる事叶わぬ鉄壁の防御力。
あらゆる呪術をいとも簡単に見抜いてしまう魔王の神眼、
六眼!
特級ですら強制的に沈黙を貫かせる、
領域展開・無量空処!
無下限呪術は一体、何を持ちえないのだ?
五条悟
「少し乱暴しようか」
故に平成の世の暮らす人々はこう考える。
『もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな』と言うタグは無下限呪術の為にあるのではないかと。
だが……
明治の世の本当の姿を知る者達にとって……
その考えに対して懐疑的かつ猜疑的であった……
鬼舞辻無惨
「頭を垂れて蹲え。平伏せよ」
食人族全盛明治の世。
平安時代生まれ平安時代育ちでありながら、明治の世に生きる人々を次々と食人族に変える、紛うことなき悪の始祖!
あらゆる剣豪が総力を挙げて挑むも、ただ1人としてトドメを刺す事叶う者はいなかった……
鬼舞辻無惨!
残酷!
残虐!
非道!
正に圧倒的邪悪!
その肉体は時の流れや寄る年波ですら滅ぼす事叶わず、己の願望を叶えるべく多くの者を食らい尽くす暴虐の王。
力以外の序列を知らず、人々を次々と食人族に変えるその血と牙は世の理さえ拒むと言うのか?
鬼舞辻無惨
「私には何の天罰も下っていない。何百何千という人間を殺しても私は許されている。この千年、神も仏も見た事が無い」
彼にとっては、己の生死のみが生きる指針。
もはや意志を持つ災い。
人類生存の道は、|鬼舞辻無惨の機嫌に託された……
例え……平成の世でどれだけ優れた術式が完成しようとも、この事実が覆る事は無いだろう……
勝つのは、
堕天か天才か?
鬼神か神童か?
強さ故の孤独……
原作内で好き勝手やって来た最強キャラが、最も入手に苦労した者、
それは自分と対等な存在!
さあ、
お前は一体、どこまで俺を楽しませくれる!?
最強
対
最強
遂に激突!
竈門炭治郎別キャラ化シリーズ最新作。
『もしも竈門炭治郎が五条悟だったら』
2026年1月8日公開予定……
第1笑:特級が看た惨劇
1人の男性がつまらなそうに街中を歩いていた。
彼の名は『乙骨憂太』。
11歳の時に遭遇した交通事故の後遺症が原因で東京都立呪術高等専門学校への転校を余儀なくされ、そこで掛け替えのない友と出逢い、呪術と呼ばれる超人的な技を学び、憂太は劇的に強くなった。
6年前に力の源と言える『ある者』を失ったが、それから僅か3ヶ月で本来の力を取り戻した呪術の天才。
呪術師は本来、4から1の階級で区別されるのだが、本来なら呪術師のトップでなければならない筈の1級より更に上に登り詰めた異能の超人。
既存の階級制度の枠を飛び越えた例外等級である特級呪術師に君臨した憂太は、かつての恩師である五条悟に次ぐ現代の異能として注目を集めた事もあったが……
それも今は昔……
どう言う訳か危険呪霊(人体から排出された人の想いが具現し意思をもった異形の存在)の発生率が激減し、今はもっぱら呪詛師(呪術を悪用する犯罪者)の取り締まりが主な任務となってきており、物足りな過ぎてかえって特級である憂太の方が呪術界上層部から危険視される体たらくであった。
「ま……コソ泥や湿気た巾着切りを殺すのにクラスター爆弾を使う馬鹿はいないわな」
つまり、特級呪術師や特級呪霊の本気はクラスター爆弾での絨毯爆撃に匹敵する厄災なのである。
お陰で、五条家当主代理に内定しているとはいえ、特級呪術師に君臨している憂太は、呪術界の手に余り過ぎているお荷物なのである。
そんな核兵器並みに危険視されている憂太の横を素通りしようとしている影があった。
だが、至極真っ当で正論な理由で憂太に猫つまみされた。
「待ちなさいお嬢さん。信号、赤だよ?」
その人物は赤みがかった髪がボサボサのボーイッシュな少女で、額に火傷らしき傷痕が有った。
歳は、小学校6年生か中学1年生と言ったところか?
だが、少女は焦っていたのか、憂太の手を振り払おうとしていた。
「ごめんなさい!急いでるんです!」
「急ぐって言われても……」
目の前は車通りが多い道路。下手な横断は自殺行為だ。見過ごす訳にはいかない。
それに、憂太にとって今手を放す事は、11歳の時に遭遇した交通事故の二の舞になる。
「いくら急いだって……死んだら意味無いよ」
だが、
「早く家に戻らないと!嫌な予感がするの!」
少女の必死の涙目を視た途端、憂太は何故か6年前に言った自らの台詞を思い出した。
『僕が、皆の友達でいる為に!僕が!僕を!生きてていいって思える様に!|夏油傑は、殺さなきゃいけないんだ!』
憂太は溜息を吐きながら少女に言った。
「……乗ってくか?」
対する少女はキョトンとした。
「え?」
少女が意味解んないって表情をしているが、憂太は気にせず勝手に話を進める。
「リカ」
『なぁに』
「力を貸して」
憂太の指輪から、最凶の呪霊が現れた。
「何だこいつ!?」
「ん?リカちゃんが見えるの?」
「リカちゃん!?」
少女が驚くのも無理は無い。
鋭い爪を持つ、鬼の如き体。
無数の牙を持ち、目の無い深海魚の様な顔に、長い髪が触手めいて生えていて、それだけが辛うじて少女の面影を残す。
これが、憂太を特級に戻した憂太の切り札、『リカ』である。
「大丈夫。リカは優しいんだ」
と言われましても、その形では恐れない方が無理がある。
だが、少女は意を決してリカの背中に乗った。
すると、リカは一足飛びで横断歩道を渡った。
「うわぁ!?」
「しっかり掴まってて。振り落とされない様に」
そして、リカは少女に言われるまま、街中を突き進んだ。
だが……
「この程度の血の注入で死ぬとは……太陽を克服する鬼など、そうそう作れたものではないな」
竈門ベーカリーを襲った惨劇を観て、少女は愕然としながら正座する形となった。
しかも、惨劇の実行犯はまだ目の前にいる。
「忌々しい耳飾りと太刀筋だ。血の量からして、|竈門炭十郎は死ぬだろうな」
(父さん……母さん……花子……竹雄……茂……禰󠄀豆子……六太……)
一方の憂太は、竈門ベーカリーを血の池地獄に変えた犯人に関するある推測が有った。
「……まさか……お前が『鬼舞辻無惨』か?」
対する犯人は憂太の推測に苛立ちを覚えた。
「鬼舞辻だと?何故その名を知っている?貴様、鬼狩りの残党か?」
憂太は余裕に魅せたい笑みの額に、冷や汗を滲ませる。
「特級呪術師1人殺スノニ、ソレ以外ノ呪術師ガ、何十人必要ダト思ッテル!」
「知るか。この私に出遭ってしまった不幸を呪え。それだけだろ」
(とんでも無い事を言いやがる!)
その時、家族を皆殺しにされた怒りをぶつける様に、少女が犯人に体当たりをした。
「私の家族を返せ……返せ!」
だが、少女は|怪我の功名的な理由で犯人に触れる事が出来ず、寧ろ、犯人が|不本意な理由で少女から遠ざかった。
「何だ!?今の体当たりは!?」
犯人は慌てるが憂太はそれだけで、少女がリカの姿を見る事が出来る理由を今、目にした。
『無下限呪術』。
憂太のかつての恩師である五条悟が生前に使用していた特級術式。それは文字通り、無限と言う概念を現実にする術。五条悟を最強たらしめる規格外の術式である。
(……2年ぶりだな、無下限呪術を間近で観るのは?五条先生が羂索を殺害した時以来か……)
「うわあぁーーーーー!」
その後も犯人を殴ろうと飛び掛かる少女だが、無意識に発動させてしまった無下限呪術のせいで少女は犯人に触る事が出来ない。
物理攻撃は常に、少女との間には無限の距離を置かれて無意味となる。反則じみた鉄壁の防御。
「くそ!何が起こっている!?」
だが、憂太にとってはあまり嬉しい状況ではなかった。
「不味い!このままでは、あの娘が脳死する!」
無下限呪術は規格外な破壊力・防御力を持つからこそ、そのコントロールには原子レベルに干渉する、緻密な呪力操作が必要となる。時空間を支配する程の演算、まともに扱えば脳が焼き切れる負担は免れない。
幸い、少女は犯人がいる前方にしか無限を発生させていなかったので、憂太は簡単に少女の背後に回り込めた。
「今日はこのくらいにしてやろうか?お嬢さん」
少女の首を殴って少女を気絶させる憂太。
「危ない危ない。無下限呪術を習得出来る可能性が有る将来有望を―――」
「逃がすと思うか?」
やっと無限の呪縛から解放された犯人が憂太達に近付く。
「貴様らの様な危険人物を、この私が野放しにすると、本気で思っているのか?」
だが、憂太が犯人斬りかかろうとした時、別の何かが犯人に飛び掛かった。
「うがあぁーーーーー!」
「何!?」
それは、犯人に殺された筈の女性だった。
「何だと!?」
犯人にとっては予想外の事であったが、何時までも殴られ続ける趣味は無く、直ぐに死んだ筈の少女を振り払った。
だが、
「どう言う事だ……貴様は本当に鬼なのか?」
死んだ筈の少女は、身を挺して憂太達を庇った。
犯人にとっては想定外であり、絶対に有り得ない現象だった。
「この私がどけと言っているのだ。なのに何故?」
その理由を、憂太は既に経験していた。
「失礼だな、純愛だよ」
「純愛?何を―――」
リサは遂に痺れを切らして剛腕を振り下ろしてしまった。
『ゔゔゔゔるさい!』
並みの術師や呪霊であれば、リカの剛腕になぶられ続ければどんどん原型を失って逝く。
だが、今回は憂太に本気の舌打ちをさせると言う、リカにとっては不本意な結果となった。
「流石は不老不死を最終目標とする臆病者……リカちゃんですら、取り逃がすとはね……」
だが、憂太にとってはある意味好都合だった。
「そんな事より……あの2人は死なせない!特に五条先生と同じ|高み《ところ》に往ける可能性が有るこの娘は!」
記録―――2023年7月23日、東京。
鬼舞辻無惨による執拗な襲撃により、店長を含む竈門ベーカリー関係者|七名死亡。
憂太は、無意識に無下限呪術を発動させた少女と竈門ベーカリー関係者唯一の生き残りを保護したその足で、呪術界上層部に謁見した。
「無下限呪術の復活だと?」
6枚の障子が六角形に取り囲む、奇妙な造りの部屋。
その中央に憂太の姿があった。
「今更、無下限呪術が必要か?」
「しかし、本人が了承しました」
「だが、羂索どころか夏油傑すらいない。それどころか2級以上の案件が激減したこの状況で、今更いたずらに特級を増やす気か?」
障子から返って来る物言いはどこか、安全を確保しながら自分達の導きたい結果を周囲に押し付ける、消極的で狡い響きがあった。
「ふざけないで頂きたい。鬼舞辻無惨があのまま暴走していたら、町1つ消えていたかもしれないんですよ」
憂太の脳裏に浮かぶのは、無意識に無下限呪術を発動させた少女の鬼の様な怒りの表情……だけではない。
本当に気にすべきは、例の少女がかつて共に過ごし、大切にし、愛した、ただの家族であった頃の竈門ベーカリー。
その調子が気に障ったのか、別の障子の向こうから荒らげた声が聞こえた。
「師匠が師匠なら、弟子も弟子じゃわい!悪い所が似おった!」
「だとしても、やはり鬼舞辻無惨は危険です。逆に、何人食い殺されるか判りません。現に最近は鬼殺隊に関する情報を聴きません。そろそろ僕達にお鉢を回すべき……だとは思いません?」
障子の向こうに居る連中は、保守的な思考の持ち主ばかりだ。
そういう手合いに反論する為には、出来るだけ具体的な根拠を示してやる事がだと、憂太は知っていた。その効果は十分あった様で、障子の向こうからは、しばし思案する様な空気が伝わり……やがて1人が、促す様な台詞を漏らした。
「では、やはり……」
「はい……竈門炭治郎は、五条家で預かります」
だが、全会一致とまではいかなかったのか、憂太の背中に声がかかる。
「ただ強ければ必ず特級に成れる訳ではない事を忘れるな」
「そうなれば、僕が炭治郎側につく事をお忘れなく」
老いてはいても、そこに集まるは呪術界の有力者達。特級の本気がどれだけ危険か解らぬ程暗愚な者はいない。憂太の決意は、それだけで強い警告となる。
黙る上層部達を一瞥して、憂太は部屋を出て行く。
だが……
「ふうぅーーーーー。疲れたぁー」
かつての恩師である五条悟が今まで何と戦ってきたのかを間近で見た憂太は疲れ果てた。
「あれじゃあ、五条先生が嫌がるのも無理ないよ」
だが、今の憂太は弱音を吐いてる場合じゃなかった。
「2年前の羂索暗殺任務で五条先生が亡くなって以来失われていた無下限呪術。それを取り戻すチャンスなんだ。くだらない保守派異見に邪魔はさせない!」
原作との相違点
●竈門炭治郎
・2009年7月14日生まれ。
・竈門家長女。
・実家はパン屋。
・2023年7月23日に乙骨憂太に保護され、憂太の許で約1年8か月ほど修行して無下限呪術と六眼の基礎を叩きこまれた。
●竈門禰󠄀豆子
・2010年12月28日生まれ。
・竈門家次女。
・実家はパン屋。
・2023年7月23日に乙骨憂太に保護され、憂太の暗示(人間は皆家族であり、家族を守り、家族を傷つける鬼を許すな)と反転術式によって人食欲を喪失。
●乙骨憂太
・虎杖悠仁や両面宿儺とは無関係。
・『リカ』と『無条件の術式模倣』の時間制限が無くなった。
・2023年7月23日に炭治郎と禰󠄀豆子を保護し、炭治郎に約1年8か月間の無下限呪術と六眼を習得する為の修行を施す。
・また、炭治郎の訓練期間の間、長期の睡眠に入っていた禰󠄀豆子に人間を守るよう暗示をかける。
・『鬼滅の刃』における『鱗滝左近次』と『冨岡義勇』の役割を果たす。
・公式記録では、2017年12月24日に夏油傑を殺害した事になっているが……
●五条悟
・虎杖悠仁や両面宿儺とは無関係。
・2021年1月20日に相討ちと言う形で羂索を殺害するも、その時の怪我が原因で2021年7月22日に死亡した。
●羂索
・2021年1月20日に相討ちと言う形で五条悟に殺害された。
●鬼舞辻無惨
・令和7年まで生存。
・個人投資家として成功し、悠々自適の生活を送っている。
・気まぐれで(一応あの耳飾りの行方を追ったうえでの行動)竈門ベーカリーを壊滅させたが、その事がきっかけで禰󠄀豆子が鬼と対立する鬼となり、炭治郎が無下限呪術と六眼を習得するきっかけになってしまった。
●竈門炭十郎
・2023年7月23日に死亡。
・竈門ベーカリーの店長。
・無惨相手にヒノカミ神楽で応戦するも日輪刀を持たぬ故戦死。
第2笑:藤襲山7泊キャンプ
2025年3月5日。
竈門炭治郎と乙骨憂太の姿は、藤襲山の中にあった。
「乙骨さん、本当にこの山で7泊するだけで鬼殺隊に入隊出来る時代が在ったんですか?」
「『窓(術師ではないが呪いを視認でき、多業種に潜む協力者)』が回収した資料を視る限りではそう言う事になってるらしいよ」
とは言われても、一見すると藤の花が咲き誇る長閑な山にしか見えない。
何も知らない者から観れば、この様な長閑な山と鬼と呼ばれる危険生物との接点が解らない。
言い出しっぺの憂太も半信半疑だが、1つだけ確信を持って言える事があった。
「ただし、藤の花に守られた2合目より上に泊まる事。それが条件だ」
「ここより上……乙骨さんが以前言っていた『鬼は藤の花が嫌い』と関係があるって事ですね?」
「そう。原因は不明だけど鬼は藤の花に含まれている香りや毒素に弱い。だからなのか鬼殺隊に協力的な家は藤の花の絵を玄関先に飾っていたらしんだ」
炭治郎は1つだけ矛盾点を感じた。
「でも、その藤の花に護られた山に、鬼はどうやって登るんですか?」
その質問に対する答えは……憂太も知らない。
「ゴメン。それは解らない。僕が知っている事は『藤襲山に7泊するだけで鬼殺隊に入隊出来る』。それだけなんだよ」
その答えに炭治郎は納得出来なかったが、とは言え憂太から科せられた試練には変わりないので、とりあえず藤の花に守られた2合目より上に往く事にした。
「では、行ってきます」
「ま、トライ&エラーだよ。もしこの7泊キャンプが鍛錬にならないと言うのであれば、その時は『やらない後悔よりも、やって後悔』をしてから話そうか」
だが、藤の花に護られたエリアを出た途端、藤襲山7泊キャンプと言う試練への猜疑心を後悔する事になった。
(藤の花が無くなったら、急に鬼の匂いが濃くなった!)
そして……1泊目の夜にしてもう藤襲山7泊キャンプの洗礼を|遭ける羽目になる炭治郎であった。
「久方振りの人肉だ!」
「俺の獲物だぞ!」
「黙れ!」
早速2人の鬼が口喧嘩をしながら炭治郎の許にやって来た。
この様子を見て、炭治郎は確信した。
(そうか!鬼にとってこの山は監獄だったんだ!この山に棲み付いてしまった鬼は、2合目より下にある藤の花のせいで行動範囲が制限され、許容範囲内でしか人を食う事が出来ないんだ!)
そしてそれは、炭治郎の鬼への哀れみへと姿を変える。
(乙骨さんの話だと、鬼か死ぬ方法は4つしかなく、老衰や寄る年波ですら鬼を殺す事は出来ない。だとすると、この山に暮らす鬼は永遠とも言える空腹と戦わなきゃいけないと言う事か!?)
炭治郎が目の前の鬼達の生き地獄に対してあれこれ考えている間も、2人の鬼は先鋒を奪い合う為の口喧嘩を繰り返しながら炭治郎の隙を窺っていた。
(怯むな!乙骨さんの教えを思い出せ!)
『僕達が使用する呪術を要約すると、『体内に溜め込んだストレスを消費しながら発動させる超能力』と言ったところかな』
『ストレス?』
『そう。人間は体内で『想い』を生成し、余った『想い』は体内から抜け出て『呪い』となる。だが、僕達呪術師はその『想い』を体内で『呪い』に変えて呪術にする』
『その呪術を使えは、日の出になるまで鬼の猛攻に耐えられる!?』
『そう。先ずは僅かな『想い』から『呪い』を捻出する方法を学びなさい。どっちにしろ、武器が無ければ鬼とは戦えない』
(恐怖に屈するな!想いを呪力に変えるんだ!)
呪力を捻出しながら炭治郎が臨戦態勢をとる。一方の2人の鬼もまた、何時までも口喧嘩を続けても意味が無いと悟ったのか、先手必勝とばかりに炭治郎に飛び掛かった。
(そして……呪力を『無限』に変えろ!)
『『無下限呪術』?』
『そう。君にはその素養がある。君が初めて無惨と戦った時、君は無意識に無下限呪術を使っていた』
『それを使えば、勝てるんですか?無惨に』
『勝てる!けど、険しい道だよ』
『険しい……道……』
『無下限呪術を使いこなすには、先ずは|六眼を習得する必要がある。|六眼が無ければ無下限呪術は武器どころ……使用者の脳を破壊する欠点……弱点となる』
(|六眼よ……起動しろ!)
あらゆる術式を視認し、呪力を高解像度で観測出来る|六眼は、あらゆる呪いを丸裸にする。
「食ってやるぜぇーーーーー!久方振りの人肉をおぉーーーーー!」
「どけえぇーーーーー!俺が食うんだあぁーーーーー!」
(私の『想い』よ!力を貸せ!)
あと少しで爪が炭治郎に触れると言う時に、2人の鬼は突然止まってしまった。
「何だ!?何故当たらねぇ!?」
「触れない!何で!?」
無下限呪術使用者を害する者は無限に阻まれ、近付く程低速化し接触出来ない。特に呪術に関する知識が全く無い無知な力任せ如きでは触れる事すら叶わない。
そうとは知らずに2人の鬼は必死に口を開閉させるが、文字通りの『当たらなければどうということはない!』である。
(乙骨さんの言う通りだった!無下限呪術さえ使いこなす事が出来れば、私は鬼と戦える!)
とは言え、今の炭治郎は|六眼と無下限呪術の基礎を会得しただけに過ぎず、まだ無限を武器に転用する方法を身に着けていなかった。
だから、炭治郎が今出来るのは、目の前の呪いや想いをサーモグラフィーの様に解析する事と無限を盾として利用するのみ。まだまだ武器とは呼べない。
だから、今の炭治郎は無下限呪術以外の方法で鬼を攻撃しなければならない。
「とりあえず……これで!」
突然頭突きされた鬼が思いっきり吹き飛んだ。
(頭が……硬い!)
炭治郎の持ち前の石頭でする頭突きは、人間であれば脳震盪を起こさせる程の威力である。しかも、現出させた無限で守られている為、その威力は更に倍増される。
(人間の癖に何でここまで頭が硬いんだ!?なんだ!分からん!分からねば!)
2人の鬼はなんとしても目の前にいる炭治郎を食べようともがくが、食い殺した人間の数が1桁の雑魚鬼とまだまだ基礎レベルとは言え|六眼と無下限呪術を使える様になってきた炭治郎の実力差は歴然としており、返り血を浴びせる事すら困難と言う体たらくであった。
一方の炭治郎はその隙にリュックから一振りの刀を取り出した。
『もし万が一呪力を使い果たした時の為に、何かの体術を使えるようにした方が良い』
『体術って?』
『なんでも良い。幸い、竈門家にはその為の道標は既に出来ている』
『この本は?』
『君にとって最厄日であるあの日、失礼して竈門ベーカリーから盗んで来た物だ。『ヒノカミ神楽』の事が詳しく書かれている』
『ヒノカミ神楽!?お父さんが毎年大晦日に徹夜で踊り続けていたアレの事!?』
『それなんだけど、日下部先生の見立てでは、これは神楽でも能楽でもダンスでもない……強力な剣術なんだって』
『剣術!?私のお父さんはそれを家内安全を祈願する為の神楽として利用していたと言うの!?』
『……全ての物に理由はある。君のお父さんが何故これ程の剣術を神楽として利用していたのか?そして、この剣術を後世に残そうと本にしたその理由。そこには君のお父さんの想い……思惑があったんだと僕は思う。それに』
『それに?』
『その父さんがお亡くなりになった今、他の誰かが踊り手を務めなきゃいけない。炭治郎ちゃん、君の出番だよ』
それからと言うもの、憂太の元担任である『日下部篤也』と憂太の元同級生である『禪院真希』にヒノカミ神楽の基礎を叩き込まれる毎日であった。
お陰で、炭治郎の剣の腕は実戦で通用する程に上達した。
一方の2人の鬼は久しぶりの人肉が目の前にあるせいか、目の前の圧倒的な力を前にしても引くに引けなくなってしまった。
「余計な真似をするな!大人しく俺に食われろ!」
「俺が何十年人間を食っていないか!貴様に解るか!?」
「知るか。見境無く何でも食うアーバンベアの様な事を言うな」
(それに、私にはやらなきゃいけない使命がある!)
『|六眼と無下限呪術の基礎を習得したら、後は簡単な任務を幾つかこなして貰い場数を増やし、最終的には鬼舞辻󠄀無惨を超える力を手に入れて、君の妹を人間に戻す方法を引き摺り出す』
『出来るんですか!?禰󠄀豆子を人間に戻す方法!』
『僕には解らない。だから探すしかない。だから鬼化の鍵を握る鬼舞辻󠄀無惨に勝つ必要がある』
『きぶつじ……むざん……』
『僕達が鬼舞辻󠄀無惨を倒して鬼化の謎を全て解く。後は、晴れて自由の身だよ。君も、君の妹もね。だから……強くなってよ。僕や無惨に置いて行かれないくらい』
(だから、今は負けてる場合じゃないんだ!)
炭治郎は、未だ懲りずに炭治郎に襲い掛かる2人の鬼の眼前で上段の構えをとる。
(日下部さんとの鍛錬を思い出せ!父さんの動きをトレースするんだ!)
「ヒノカミ神楽!円舞!」
炭治郎が円を描く様に刀を振り下ろした!
それだけで、鬼が真っ二つになった。
ヒノカミ神楽の威力を前にして、斬られていない方の鬼はおろか、実行した炭治郎すら驚きを隠せなかった。
「えーーーーー!?」
「凄い……禪院さんの言う通りだ……」
真希から「その名字を使うな」と厳命されているが、尊敬や恩義の念のせいか真希の事をどうしても『禪院さん』と呼んでしまう炭治郎。
だが……
「ふざけるな!」
両断された方の鬼が両手で自分の頭を押さえると、真っ二つになった筈の身体が合体して斬られる前の姿に戻った。
「やはり駄目か……日輪刀じゃないと……」
「いい加減、さっさと食われやがれぇーーーーー!」
突き付けられた現実に歯噛みする炭治郎だが、2人の鬼がこれ以上炭治郎を襲う事は無かった。
「うっ!?」
(何だ?この腐った様な臭いは!?)
森の中から出て来たのは、全身に幾つもの腕を纏った大玉の様な高身長の鬼だった。
「くそ!あいつがもうきやがった!」
「今の俺じゃあいつには勝てねぇ!ちきしょう!」
2人の鬼が逃げた理由を理解してしまった炭治郎が緊張する中、大玉鬼が炭治郎に質問した。
「そこの娘、今は、しょうわ何年だ?」
原作との相違点
●呪術
・『KEY THE METAL IDOL』の『巳真家に代々伝わる超能力とその原理』を追加させていただきました。
●日下部篤也
・虎杖悠仁や両面宿儺とは無関係。
・とある諸事情(呪術廻戦第269話参照)のせいで、冥冥にシン・陰流の当主を推し付けられた。
・乙骨憂太の指示で竈門炭治郎にヒノカミ神楽の基礎を叩き込んだ。
●禪院真希
・虎杖悠仁や両面宿儺とは無関係。
・大型二輪免許取得済み。
・とある諸事情(呪術廻戦第149話参照)のせいで禪院家大破の実行犯として捕縛されるも、憂太が五条家当主代理の権限を使って罪状を抹消した。
・乙骨憂太の指示で竈門炭治郎にヒノカミ神楽の基礎を叩き込んだ。
●藤襲山
・かつては鬼殺隊の私有地だったが、現在は空き家状態。
・鬼殺隊最終選別の内容も呪術界にはやや曖昧かつ不完全にしか伝わっていない。
●ヒノカミ神楽
・竈門ベーカリーが鬼舞辻無惨に襲撃された日に憂太が盗んだ書物等に詳細が書かれていた。
・日下部篤也や禪院真希が憂太から渡された書物を参考に再現し、これを基に炭治郎がヒノカミ神楽を習得した。
笑術廻戦~もしも竈門炭治郎が五条悟だったら~