zokuダチ エスカレート編・19
復讐のゲス・終
しかし、ルーゼに向け、威嚇射撃が飛び、何者かが
魔術を妨害した……。
 
「きゃあっ!?な、何なのっ!?」
 
「……ラグナ?」
 
「へへ、みなさーん!遅くなってごめんよー!!」
 
ラグナがマシンガンを片手に現われ、ゆうなを背負った
マモル、後ろにはゲラ=ハ、ブラウ、シルベン、そして、
無事牢屋から救出された庭師の姿が。
 
「ったくっ!おせーんだよっ!!今まで一体何処
行ってたんだよっ!!」
 
「もうーっ、ジャミっくんてば~、そんなに怒んないでさ~、
俺が屋敷ん中フラフラしてたおかげで、マモルくんと合流
出来たし、こうやって爺ちゃんとトカゲさん達も無事、
救助出来たのよ、だからっ!あんまり怒んないでね!」
 
「そういや、マモルも暫く姿が見えなかったんだな……」
 
「え、へへ……、はは……、ご、ごめん……」
 
ジャミルだけがマモルの素性を知っている為、背中で
すやすや眠っているゆうなの姿を見て彼が今まで単独で
何処に行っていたかは何となく理解出来た。
 
「じいっ……!あああ、無事だったんだっ!良かった……、
うう~、おっさん、有難うー!!」
 
「お嬢様も……、おお、御無事で何よりでした……」
 
「……おっさんて、ケイちゃんにまでおっさんかあ~、
まあいいけどね……」
 
こうして、エントランスに、全ての仲間が再び
集結したのであった。
 
「お、おのれ、ふざけやがって、何処までも私を
小馬鹿にっ!っ、……ああああっ!!……畜生~、
ふざけんじゃねーとよ……」
 
ルーゼが掛けている大人魔術が切れたらしく、再び
ルーゼはロリ魔女の姿へと変貌を遂げる。
 
「ルーゼ、もういい加減諦めろっ!お前は此処までだっ!!
今度こそ、テメエが本当に何企んでんのかちゃんと
説明して貰うぜ……」
 
「ちっ、それでおてえを負かしたつもりかよ、ふっ、
面白くって涙が出るよ、……ふ、ふふふ!」
 
 
エントランスに集合した仲間達は一斉にルーゼを取り囲み、
ルーゼを睨んだ。
 
「……いやだね、おてえは諦めねーよっ!……諦める
もんかーーっ!!出でよ、召喚魔術!サイクロプス!!」
 
「……お、おおおっ!?」
 
ルーゼは残っている最後の魔術を振り絞ると、
凶悪巨人を召喚し、ジャミル達を戸惑わせるので
あった。何処までも根性の汚い魔女である……。
 
「うわ!これ……、こ、こんなの……、今のオイラ達じゃ
絶対無理だよお!……どっちみちもう皆疲れ切っちゃってて
戦えないってばああ~!!」
 
「やってみなけりゃ分かんねえだろっ!……マリカ、
ジェイル、リウっ!」
 
「そうね、私はやる気満々よ!相手になってやるわよ!」
 
「同じく……」
 
「オ、オレは……、正直あんまり、気が乗らな……、
うう~、仕方ないなあ!」
 
「えーと、リウ君……、オイラと一緒にコンビ組んで、
ヘタレ漫才やる?」
 
「いや、遠慮しておくよ、あんたにはちゃんと
パートナーがいるでしょ、へへ、ちょっとおっかしーの!
だけど、オレにもいるからさ……」
 
「何だよ!何話してんだよ、リウっ!後でオレにも
教えろよな!!」
 
リウは笑ってシグの方を指差す。……同じ同種族(ヘタレ)と、
コンビが組めなくて何となく、ちょっと残念そうな
ダウドでもあった。
 
「そうだねえ~、ははは……」
 
 
「よし、私もっ!最後に思いっ切り暴れてやるわよっ!
行くわよ、ユリアン、トムっ!」
 
「ああ……、人を馬鹿にしてくれたその分、倍にして
返させて貰おう……」
 
「よしっ!やるしかないよな、やるしか!……けど、
まだ背中が……、うう……」
 
……ティアクライス、ロマサガ3軍団、闘志満々である。
 
「マモル、君はみらい達女の子と、お爺さんの守りを……!」
「私達も最後まで頑張りますよ!」
 
「分った……、ティル、グレミオ……、君達も気を付けて……」
 
しかし、もうルーゼも元の身体に戻り、力も半減し、
体力も付き掛けている為、いつまでもサイクロプスを
召喚しておく事は出来ず。
 
「ちいいいっ!だ、駄目か、畜生っ!!」
 
ルーゼの魔力はどんどん弱まり、等々サイクロプスも
消滅する。
 
「よし!バケモンも消えた!このままあいつをとっちめるぞ!!」
 
「そうだね、ホーク!へ~え、それにしてもあいつの正体は
ガキンチョの魔女とはね……」
 
「フン、無様なクズめ……、覚悟しろ……、こんな糞つまらん
悪さをするならガキだからと言って俺は容赦せんぞ……」
 
ホーク、バーバラもルーゼの前に出、グレイもアイスソードの
矛先をルーゼに向けた。
 
「……ま、待てっ!お前ら!!」
 
「ジャミ公……、てめえ何だっ!?おい、まさかこいつを
庇うんじゃねえってんだろうな!?」
 
「……切られたいのか?ふざけると貴様も叩き切るぞ……」
 
「そうだよ、下がってなよ!あんた邪魔すんのかい!?」
 
何故かホーク達を止めようとしたジャミルに皆が
戸惑いの表情を見せた。
 
「……ジャミル……」
 
「アイシャも心配すんなよ、……ルーゼ、俺は別にお前に
情けを掛けてる訳じゃねえし、庇う気もねえ、唯、お前の
本当の目的が知りてんだよ、絶対に欲望のエキスとやらだけが
目的じゃねえだろ、……テメエが何考えてんのかどうしても
分かんねえとさ!苛々すんだよ!!」
 
「ま、またそうやって……、ジャミルの悪い癖が出たよお~、
結局あれで……」
 
そして、ダウドの言った通り……。
 
「……いやだね!!これ以上もう何も話す気になんねえな!
バーカ!!」
 
「何だと……?こいつっ!!」
 
「……あ、ああ~!だから~!!」
 
「おてえの遣い魔来いっ!……あ~はははっ!よしよし、
今回も有難ね、アンタだけだよ、おてえを守って
くれんのはさ、アンタしかいないよ……」
 
ダウドが頭を抱える。ジャミルはやや性格的に義理人情な
処が有る為、どうにも敵に隙を見せてしまう処も多かった。
そして、心配した通り……。
 
「これで終わった訳じゃねえからな!さあ、ゲス、お前も来い!
アンタにはまだまだ働いて貰うんだから!……ふふふ、では皆さん、
次回まで、ごきげんよう、さようなら!!」
 
「ゲスゲスゲス……、うへへ……」
 
「……ルーゼっ!待てっ!!卑怯モン!!ちゃんと
説明しろ、コラ!!」
 
ルーゼは何処かに飛んでいったゲスを手元に引き寄せ、
さっさと回収すると、遣い魔のグリフォンに飛び乗る。
……去り際に何となく、ジャミルの方をチラチラと
見ていた様であった……。
 
「……フン、お人好しのアホバカな奴さ、お蔭で
助かったけどな……」
 
 
……そして、ジャミルは……、ルーゼリンチをうっかり
止めてしまった事により、結果的にそれがルーゼを又
逃がす事態になってしまった為……、ホークをはじめとする
仲間達にしっかり仕置きされたのであった……。
 
 
「じゃあ、お父様ももう元に戻ってるの?……本当に?
でも、どうして……?」
 
「うん、僕もゆーながどうしても心配でいてもたっても
いられなくて、危険だって分かってたけど、一人でこっそりと
屋敷内を散策してたんだ、そうしたら、君のお父さんと
偶然会えてさ、不思議ともう洗脳が解けていて、ゆーなを
ちゃんと返してくれたんだ、その後でラグナさんとも
合流出来てね、あ、お父さんはもう部屋で休んでる筈だよ、
行ってあげなよ……」
 
「そうだったんだ、アンタも見掛けによらず結構
無茶するんだね、でも良かった、本当に……」
 
「……お嬢様、良かったですな……」
 
「うん、じい……」
 
「あはは……」
 
かなり苦しい嘘と言い訳であったが、マモルはどうにか、
ゆうなを連れて来られた空想過程をケイに説明した。ケイも
これでどうにか一安心出来る様だった。
 
「マモルさん、これ、お薬です、ゆうなさんに
飲ませてあげて下さい……」
 
「あ、うん、有難う、助かるよ……」
 
みらいがマモルに清涼剤を渡す。本当はもうこっそりと
薬を飲ませているのだが、怪しまれない様、マモルは
みらいから薬を受け取り、行為に甘えみらいに感謝した。
 
「……で、この後始末はどうするんだ?いずれ又あの癖の
悪い魔女は必ず来るぞ、俺は金輪際、奴と係るつもりは無い……、
貴様がきちんと責任を取れ……、冗談じゃない……」
 
「……又何かされん様、気を付けねばならないな……、
ハア……」
 
「んな事言ったってよ、ちぇっ……」
 
「……グレイ、ガラハド……、皆さんも……、本当に
ごめんなさい……」
 
アイシャが又ちょこちょこと前に出て、頭を下げて皆に
謝る。ジャミルの失態を一緒に責任を取ろうとしている
様であった……。
 
「まあ、あんたに謝られちゃ本当に仕方ないね……、
アイシャ、この馬鹿をこれからもきちんと管理して
やんなよ……、ジャミルっ!アンタはちゃんと反省しなっ!!」
 
「ちぇっ、何で俺ばっかり……、ブツブツ……」
 
「……シフ、有難う……、えへへ!」
 
「ま、仕方ねえか……、俺達は結局何処の世界に居ても、
完全な平穏は望めねえって事だな……、ははは……」
 
「ですなあ、キャプテン……、争い、戦いと我らは切っても
切れない関係なんですぎゃね……」
 
「あ~あ、アホらしい……、んじゃ、あたしらは帰って
睡眠不足分の分、寝るとしますか!寝不足は美貌とお肌の
大敵だしね!」
 
「そうね、これで帰れるのね、あら?ゲラ=ハ、どうして
そんなに後ずさりするのかしら?私、何かやったかしら……???」
 
「別に何でもないです、クローディアさん、……ぎゃ……」
 
「ガルル……」
 
「クウ~ン……」
 
「……色々とご迷惑お掛けしてごめんなさいね、ジャミル……」
 
「いや、ダガーも……、元に戻れて良かったな、ジタン」
 
「ホンッと、どうなる事かと思ったけどよ、……んじゃ、
オレ達は先に戻るな、また、マンションで会おうぜ!」
 
「ああ、じゃあな……」
「では、ジャミルさん、皆さん、お先に失礼します……、
ほらほら、ぼっちゃん、立ったまま眠っちゃ危ないですよ!
仕方無いですねえ~、では、このグレミオが負ぶって……」
「!!い、いいよっ!自分で歩け……、……グレミオおおおーーっ!!」
「あの二人にも沢山力貸して貰ったな、ありがとな……、
取りあえず、ゆっくり休んでくれよ……」
  
グレイ、ガラハド、クローディア、獣軍団、シフ、ホーク、
バーバラの加齢臭軍団が引き上げて行き、その後、他の仲間も
疲れた様にゾロゾロ引上げていき、残されたのはジャミル達、
4人組だけになったが……。
 
「とりあえずは、一旦終わったんだねえ~、でも、次はいつ
来るんだろうね、ルーゼ達……、嫌だなあ~……、もう
来ないでって感じ……、もうくんな……」
 
「ふぁあ~、僕も眠いや……」
 
「……」
 
眠っているチビを抱いたアイシャがじっとジャミルの方を
見つめている。何か言葉が欲しい様である……。
 
「ん?あ……、アイシャ……、その……、又庇ってくれて……、
ありがとな、へへ、俺ってバカだな、本当にさ……」
 
「ううん、……私、ジャミルのそういう処、好きだよ……」
 
「!!……アイシャ……、あ、あの、その……、さ……」
 
「……さ、さあっ!アルもダウドもっ!皆でダッシュで帰ろーーっ!!
ダッシュ、ダッシュ!!」
 
「あ……」
 
アイシャはジャミルの言葉が終わらない内に顔を真っ赤にして
屋敷の外に飛び出した。
 
「う、う~ん、……まあいいか……」
 
「……ジャミル……」
 
「ケイ……」
 
ジャミルがポリポリ頭を掻いている処に、庭師とケイが近寄って来た。
 
「今回も色々と本当に有難うね、又マンションの皆とも
いつでも遊びに来てね、怖くて大変だったけど、又友達も
沢山増えたし、あたし嬉しかったよ……」
 
「どうかこれからも、ナンダ・カンダ家と、変らぬ清き
お付き合いを宜しくですじゃ……」
 
「……ああ、またな!領主のおっさんにも宜しくな!」
 
そして、4人は朝日が射す中を歩いてマンションまで
帰宅するのであった。そんな4人を……、こっそりと
見守っていた者がいた。
 
 
???:ど~やら、ぶ~じに終わったみてえだな、
……ぐ~ふふふ!!正義の味方、キュウリマンは
何時でも見守ってるよ~ん!!
 
 
それから丸一日立ち、マンション内は何事も無かった様に
いつもの平穏な日々を取り戻した。昨日は学校も仕事も
何もかも皆ほおりだして、マンション帰宅後住人ほぼ全員、
一日中爆睡状態であった。
 
 
 
「♪はーっ!おっはなさーん、まだかな、まだかなーっ!
早く咲いてーっ!」
 
「はーちゃんっ、早く支度しないとっ、学校に遅れるわよーっ!」
 
「はーいっ、リコ、今行くー!シロ、ぶるちゃん、また夕方遊ぼうね!」
 
「アンッ!(今度は知らないおじさんに付いていっちゃだめだよ!)」
 
「ばうーっ!」
 
 
 
学生さんは学校、子供は幼稚園、家計を支えるお父さんは会社、
……RPG出身組者はマンションで自由に寛ぎ、いつもと
変わらない平穏な日々が其処にあった。
 
「今日も、平和だなあ……」
 
「何が平和なのよう!ねえっ、私何だか又1キロ
太ったみたいなの!全然平和じゃないわっ!そういう事で、
さあ、ジャミルっ!一緒に公園に行きましょっ!れっつごー!!」
 
「アイシャ、ま~た、ジャージなんか着てるし……、
1キロも2キロも変わんねえ……、……あいででで!
腕ひっぱんなっつーの!……コラーーっ!!」
 
 
そして、この世界の何処かに有り、誰も知らないひっそりと
佇んでいる誰も近寄る事のない廃墟の家に一人の少女が肩を
落とした様に入って行った。
 
「ルーゼ、どうだったのかな?今回の成果は?その顔だと、
又失敗した様子だな……、一体いつになったら、お前は真面に
人間の欲望をまともに集めてこられるんだ?目的に達する数は
まだまだ足りないぞ……」
 
見た目はまだ若いが、冷たい感じの男が少女に罵声を浴びせる。
……少女は嫌気がさした様に男の顔を見た。
 
「うるさい……、アンタなんかに言われなくたって
分かってんだよ、癪に障るな、もう魔術を使い
切っちまったんだ、次に備えておてえは又暫く
一眠りさせて貰うよ、それから、こいつ……、
ゲスの方の管理も宜しく頼むよ、逃げ出さない様に……」
 
「……フン……」
 
少女は暗闇の地下部屋へと独りひっそりと入って行く。
……そして又力を蓄える為、静かに眠りにつくので
あった……。
 
「生意気な雑魚魔女めが……、しかし、新しく出来た世界に、
一体どんな奴らが潜んでいるというのかな、非常に楽しみな
処ではあるな、お会い出来るその日をね……」
 
男は静かに窓の外を見つめニヤリと笑みを浮かべた……。
 
 
                                                       to be continued……
zokuダチ エスカレート編・19
