風見鶏が鳴いたから

風見鶏は立っている
誰もこなくても永遠に
風見鶏は回ってる
いつも方向は決められない
風見鶏は見ている
自分に似ている人のことを
風見鶏は知っている
風に吹かれた人の行く末を
風見鶏は聞いている
乱暴に打ち付けられた、言葉の颪を

喉から絞り出された意味のない声を

空に(たか)った救いの声が
ひとりでに堕ちる音を

風見鶏は詠んでいる
風の故郷のお知らせを
暴力的な音が知らせる、一つの終わりを

風見鶏が鳴いたから
きっとその日は音がしない

風見鶏が鳴いたから

風見鶏が鳴いたから

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-26

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