zokuダチ エスカレート編・15
復讐のゲス・12
「……は、早くシフさんにお薬を飲ませなくちゃ!」
 
「みらいっ、……駄目だっ!!」
 
しかし、みらいが再びシフに近寄ろうとするのをジタンが制した。
 
「……ジタンさん、どうしてですか?何で止めるの!?」
 
「今までとはもう状況が違うんだよ、あいつの
強さが見て分るだろ?ちゃんと作戦を立てねえと、
君みたいなか弱い子が近づいたら大変な事になっちまう!!」
 
「……私、どうしたら……」
 
「……此処はオレ達に任せるんだ、君はもう安全な
処に隠れていた方がいい、とにかく、一旦気絶
させちまえばどうにか薬も楽に飲ませられるんだ……、
ティル、グレミオも、みらいの援護を頼む……、
みらい、後は任せな、清涼剤はオレが預かる!」
 
「分かった……、みらい、ジタンの言う通りだ、
暫く安全な場所に……」
「みらいさん、此処は私達と一緒に!」
 
「ジタンさん……、ティルさん、グレミオさん……、
でも、私、私……、皆さんを助けるお手伝いがしたい……」
 
 
「ふふ、相変わらず女の子が大好きなのね……、ジタンは……」
 
 
「!?」
 
「まさか……、この声……」
 
「はあ~い、私よ、ジタン……」
 
「……ダガーっ!?」
 
……行方不明であったダガーが漸く姿を現す。しかし、
やはり残念な事に彼女ももう洗脳されている様子で
あった。しかも……。
 
「……どう?私、女王の座に着いたのよ、素敵かしら……?」
 
「な、ななななな……、何て恰好してるん
だああーーーっ!!……女王様違いだああーーーっ!!」
 
ダガーは鞭を持ち、格好はガーターベルト装着で
まるでSM女王であった……。
 
「ほーほほほほっ!あなたが世界中の女を
虜にすると言うのなら、私はこの鞭で全ての
男共を従え、ひれ伏させてみせますわ!
……おーほほほほほ!!」
 
ダガーは高らかに笑うと鞭でぴしっと床を叩いた。
 
「くっ……、オレもやっぱりやらなくちゃ
ならねえのか……」
 
「……ジタンさん……、ダガーさんまで……、
このままじゃ皆さんがどんどん敵として
戦う事になっちゃう……、モフルンっ!
やっぱり私達も立ち止まっていられないよ!
どうにかして皆にお薬を飲まそう!」
 
「モフーっ!」
「……みらい、君の決意は分かった……、グレミオ、
僕達も何とか、洗脳されている皆に薬を飲ませる
援助をしよう、このままじゃ駄目だ……!」
「はい、ぼっちゃんっ!」
「ティルさん、グレミオさん、ありがとうっ!」
 
 
「……ジタンっ!!アルっ!!大変っ!!」
 
「……何だか向こうが大変な事になっているな!
シグ、俺達も行こう!アイシャは此処で待っているんだ!」
 
「ヘッ、言われなくても分かってらあ!」
 
「ユリアン!でも……、あっ!?」
 
……ジタンの援護に向かおうとしたユリアンとシグの前に……。
 
 
「……ユリアン、久しぶりだな、お前はまだ
無駄な抵抗を続けているのか?」
 
「サラはどこ?教えて、隠すと為にならないわよ……」
 
「トム、エレン……、俺の前にも等々来たか……、
やるしかないよ……、な……」
 
 
「マリカ、ジェイル……、リウ……、……って、
お前ら何やってんだよ!いい加減に目を覚ませっ!!」
 
「目を覚ますのはアンタでしょ、……シグ……」
 
「……特大の目覚まし時計を掛けてやる……」
 
「ジェイル、言ってる事が分からない……、だけど、
シグ、もうルーゼ様に逆らうなんて馬鹿な事はやめろよ、
お前もルーゼ様に素直に従ってればオレ達、こんな
仲違しなくて済むんだぜ……、そうだろ?」
 
「何がルーゼだっ!そんなモン、オレらには
全然関係ねーだろがっ!……畜生、お前ら何が
何でもぶっ叩いて正気に戻させてやるかんな……」
 
それぞれの仲間に邪魔をされ、ユリアンとシグも
ジタンの援護処ではなくなってしまい、両者の
相手同志は睨み合い対立する……。
 
「……どうしよう、どうしよう、みんな……、
あ、ああーっ!!」
 
「あれは……、か、怪物っ!?ケ、ケイちゃあーんっ!!
逃げてえーーっ!」
「……ぅシュルシュル……、ぽた、ぽた……」
「ちょ、……やだあーーーっ!あんなのまでーっ!
もうっ!ヨダレ垂らしてるし!ふ、ふざけてんじゃ
ねえよーーっ!!」
アイシャが必死でケイに呼び掛ける。ケイに
襲い掛かったのは天井から、突然現れた、触手の付いた
得体の知れない怪物……。触手を伸ばし、ケイを
拘束してしまおうとしている……。素早いケイは
何とか回避し、逃げ回ろうとするが……。
……エントランスはもはや大パニック状態、
アルベルト、ジタン、ユリアンも、とても
女の子達を助けに行ける状態ではなくなっていた……。
「……っ、此処は僕がっ!右手の力よ……、
ソウルイーター……、僕に少しだけ、力をっ!
……ううっ!」
「ぼっちゃん!いけません!ケイさんは私がっ!」
「!?グ、グレミオっ!」
苦痛に歪むティルが右手の手袋を外そうとするのを
グレミオは必死に阻止し、ティルを宥め、自分はケイを
救おうと怪物の前に飛出して行った……。
 
 「……ケイさん、危ないっ!!早く此処から
逃げて下さいっ!
「いやーっ!?……え、えっ?」
 
「……あああーーーっ!!」
「……グレミオーーーっ!!」
 
「……グレミオさあーーんっ!!ごめん、
ごめんなさいっ!あたしの為にっ!!
どうしようっ!どうしようっ!」
「……い、いいんですよ、……ケイさんが無事
だったのですから……、う、ううっ!!」
グレミオ、再び怪物に触手で拘束される……。
ケイは泣き叫び、ティルは怒り心頭で、遂に
右手の手袋を外す事を決意……。其所に……。
「焦ってはいけません、落ち着いて下さい……」
「黒子……、さん……」
ティルの前に突然現れた黒子。ある物を持ち、
ティルの前に静かに置いた。
「これは、僕達の……」
 
「一時的にお返しします、あんな怪物、あなた方の
愛用の武器で充分です、どうかお願いします……」
「……っ!」
黒子が置いて行った物。没収された、黒い棍と大きな斧……。
ティルは棍を掴んで静かに立ち上がり、怪物の方を
きっと睨んだ。そして、怪物の方に向かってダッシュする。
「……ケイ、離れてっ!」
「ティルさんっ!?」
「……グレミオを……、返せぇぇーーーーっ!!」
怒り心頭のティル、棍をぶん回し、ジャンプすると、
怪物の本体へとクリティカルヒットを叩き込む。
怒りの一撃を食らった怪物は、面食らい、グレミオを
触手から漸く解除、した……。
「シュル、シュル、シュルル……、グエベベ……」
「……あいつは……、消えた……、のか……、
!グレミオっ!」
「うう……、あ、ああ……、ぼっちゃん!」
「良かった、グレミオ……、怪我はない!?」
 「……はい、ぼっちゃん、ありがとうございます……、
でも、その武器は……、わ、私の斧も……」
「うん、黒子さんが急に出て来て置いて行った、
一時的に返すって、……本当に訳の分からない人だね、
でも、これで僕達も皆を安全面でも援護出来るかな……」
「そうですね!」
グレミオも自身の愛用の大斧を手に取る。其所に、
アイシャとみらいも駆け付ける。
「大丈夫っ!?二人ともっ!!」
「……怪我してないですかあっ!?」
「モ、モフーっ!!」
「うん、僕らは大丈夫……、それよりも……、
アイシャ、早くケイを……、安全な
場所に避難を……、このままじゃ、彼女の
精神が崩壊してしまうよ……、君達もだよ……、
みらい……、君の友達は僕達が薬を飲ませるから……、
もう此処から……、屋敷から一刻も早く離れて
マンションに戻るんだ……」
「みらいさん、此処は私達を信じて、任せて下さい……」
「ティルさんっ……!グレミオさん……、でも、私、私……」
 
「ケイちゃん……」
ティルはエントランスの玄関先の扉を指さす。
アイシャはケイの方を見る……。自分の所為で
グレミオを危険に遭わせてしまった事にも
どうしていいか分からなくなっている状態で
身体が震えている……。気の強い彼女が……、
放心状態であった……。みらいも……。けれど、
どうしても自身の手で大好きなリコとはーちゃんを
助けたい、……けれど、これ以上自分が此処に
いれば先程のケイの様に、皆を危険に犯して
しまう事に繋がってしまうと……。
 
(どうしよう……、ジャミル……、お願い早く来て……、
このままじゃ皆が……)「あっ!」
 
「忘れて貰っちゃ困るぜー、……ゲヘヘ、俺も
いるんだけどおー?」
 
「……ゲスっ!!」
 
「ゲヘへ、………おい、あのアホ犬娘とオレンジ
小娘はどうした?俺に恥をかかせてくれたよォーーっ!?
……出せやオラあああーーっ!!」
 
アイシャ達、女の子の前にゲスが出現し、またまた
最悪の状況と化す……。
「ケイちゃんっ、みらいちゃん、早く逃げるのよっ、
此処は私がっ!」
 
「アイシャさんっ!……駄目だよーっ!」
 
「モフーっ!!」
 
「あん?何だあ、テメエ……、ああ、あん時の
ギャーギャーうるせー糞メスか、そうだな、
テメエとあの糞猿小僧にも恨みがあんだな、
丁度いいや、先にてめえからぶっ殺してくれる!!」
 
「何よ、あ、あんたなんか全然怖くないわよっ!」
 
アイシャはみらいとケイを庇いながらゲスの前に
立ち塞がる。2人を守ろうと必死だった。
 
「へえ~、ゲヘヘ、こいつはおもしれえ、やるってか、
俺とやるってか!ほお~……?」
 
「……う、ううう~!」
 
ゲスは笑いながら懐から血の付いたバタフライ
ナイフを取り出す。そしてアイシャへと近づいて
いくのだった……。だが。
 
「……あぎゃああーーーー!?」
「ケダモノめ、……恥をしれっ!」
 
グレミオ、背後から斧の柄でゲスの頭をポカリ……。
一撃でゲスはその場にあっさり倒れた……。
その後、斧をゴルフのパター代わりにし、ゲスを
ボールの代わりに打つ。……ゲスは玄関の扉を
突き破り何処かにかっ飛んで行った……。
 
「あ~あ、……僕も仕置きしたかったなあ……」
「ぼっちゃん、駄目ですよっ!こんな汚いゲス、
ぼっちゃんに触れさせる訳にはいきません!
……汚らわしい……!」
 
「……きゃっ!ま、又怪物よっ!」
アイシャが絶叫、再び天井から怪物が……。
今度はその数、数匹はいると思われる。しかし、
ティルとグレミオは武器を手にすると、怪物達と
再び一戦交え始める覚悟をする。
「アイシャ、……済まない、薬の援護は出来なく
なってしまったけど……、みらい達の事を……!
頼む……!」
「怪物達は私達が食い止めます、お願いします……!」
「……ティルっ!グレミオさんっ!」
「……も、もう……、嫌……、だよ……、こんなの……」
「……ケイちゃんっ!?
「モフーーっ!!」
 
ティルとグレミオは怪物達に立ち向かって行く。
等々二人も、女の子達のガードから離脱してしまう。
それぞれの因縁の相手……、怪物達……。
ケイは再びショックを起こし、意識を失った。
やはり、洗脳されている仲間に薬を飲ませる事が
出来るのはもう自分達しか残されていない……。
しかし、アルベルト達が大切な仲間と戦い、そして、
苦戦してしているのが見え、みらいは心を痛める。
アイシャは気を失っているケイを静かにその場に
寝かせた。
「……ケイちゃん、ごめんね……、後もう少しだからね……、
怖い思いばっかりさせちゃって……、ごめんね……」
 
「……どうしよう、アイシャさん……、私も……、
はーちゃん達を助けようって、頑張ろうって
思ったのに……、何だか怖くなってきちゃったの……、
意気地無しだね、私……」
 
「みらいちゃん!!そんな事ないよっ!」
 
「……アイシャさん……!!」
 
「私も手伝うよ!もう一度、何とか頑張ってみよう!
やっぱり私達だけ逃げるなんて出来ない!
諦めたら駄目だよ!もうすぐジャミルも絶対に
戻って来てくれるから!ほらっ、ダウドも起きてっ!
手伝ってっ!!」
 
「あうう~……、うぎいい~……、牛丼……、
まだですかあ~……」
 
アイシャが倒れているダウドを無理矢理起こす。
寝ぼけてるんだか何だか、ダウドはまだ唸っていたが……。
 
「そうだよね……、皆、大切な友達を
助ける為にあんなに頑張ってるんだもん、
私も頑張るっ!此処から逃げないっ!」
「♪モフーっ!モフルンも一緒モフ!みらい!」
「うんっっ!」
 
アイシャとモフルンに励まされ、みらいももう一度、
立ち上がろうとした、その時。
 
 
「……みらい……」
 
 
「この声……、まさか、まさか……」
 
「み、みらいちゃん……?」
 
「……」
 
みらいの耳に懐かしい声が聴こえ、みらいの胸が
ドキドキし、そして震えだした……。
 
「みらい……、うふふ……、いらっしゃい……」
 
「はーっ!来てくれたんだね、みらい!」
 
「リコ……、はーちゃんっ!!……だ、駄目っ!!
……行けないよっ!!」
 
みらいの目の前にも一番会いたかった大切な
友達が現れる。しかし、今自分の目の前にいる
彼女達は彼女達であって違うのだと、飛びつきたい
気持ちを必死に抑えた。
 
「どうして……?私達、もう友達じゃないの?
……私達の処に来てくれないの?」
 
「はー、みらいって冷たいんだね、私、
見損なっちゃった、もう遊んでくれないん
だね……」
 
「違うよっ!……お願い、どうか優しい2人に
戻ってっ!……モフルン、アイシャさん、ダウドさん、
……力を貸して下さい!!」
 
「よーしっ、まずはリコちゃんとはーちゃん
からだねっ!!」
 
「モフーっ!2人を取り返すモフーっ!!」
 
「……やっぱ、オイラもですかあ~、ううう~……」
 
「……やれるモンならやってみなさい、こっちは
計算通りに済ませるわ……」
 
「はーっ!」
 
……みらいにも来たるべき試練の時が遂に
訪れる。みらいは祈りを込め、小さく
呪文を唱えた……。
 
「……キュアップ・ラパパ……、どうか皆に……、
また笑顔を……」
 
 
そして、影の薄いマモルは……、いつの間にか
皆から離れてある目的の為に、一人単独で
屋敷内を走っていた……。
 
「……僕には僕でやらなくちゃいけない事がある、
必ず助ける、ゆーな、待ってて……」
 
……それぞれの明日は……、そして、何やってんだ、
間に合うのかジャミ公……。それ以上に、元に戻った
ラグナが何をしてるのかと言うと……。
 
「あ、足が……、縺れちまったまま、動けねえ……、
誰か何とかしてよ……、ねえってば、俺、
このままかい……?とほほ~……、情けねえなあ……」
zokuダチ エスカレート編・15
