感情の叛逆

昇華を望まぬ感情もあるということを失念していた
怒りや悲しみは無きものにされたくなかった
それらは無視すれば増幅するということを
解っていなかった、それらは人間に、人格に
欠かせない要素なのだと認識していなかった
雑に昇華された感情は今もなお燻っている
雑に昇華しやがって、と声を震わせている
感情に向き合うべきは誰よりも自分なのに
なぜあのとき看過してしまったのだろう?
なぜもっと寄り添ってあげられなかったのだろう?
後悔が募る、この後悔すらも雑に昇華すれば
私は本当に最低な人間だ、堕ちた人間だ
自分を大事にできない人間の他人への優しさに
価値があるだろうか?それはただの自棄ではないか
私はこれ以上堕ちたくない、今からでも
やり直せるならやり直したい、自分の感情を
認めてあげて守りたい、そのすべてに寄り添いたい
感情を殺すより
感情に殺されるほうがずっとましだ

感情の叛逆

感情の叛逆

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-15

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