一縷の善性

人に期待するのを諦めないというより
人のもつ一縷の善性を信じたいというような
そういうことが謳いたかった
至るところに悪が蔓延するこの世界で
悪に染まるのに抗おうとする人のことを
励ましたかったし、寄り添いたかった
そういう人だけで集まって生きていけたらなあ
切実にそう思うよ、生きることはかくも
困難だったろうか?自分が悪に染まらずに
生き残っているのが不思議なくらいだ、と
毎日、そう思うよ。わたしの言葉は彼らに
届くだろうか?善性を死守しようとする彼らに
伝わるだろうか?届くまで、伝わるまで
何度だって言葉を送りたい、わたしは
あなたたちの味方だと、あなたたちを
心から誇りに思うと、そう伝えたい
至るところに悪が蔓延するこの世界で
わたしは自分の、人の一縷の善性に賭ける
そうすることでしか生きられない人間も
確かにいるのだから

一縷の善性

一縷の善性

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-09

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