はきだめ

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自分の言葉も文章も本当に届いてほしかった人には何も伝えられなくて行き場も意味も価値も無くなってしまったけれど、それでも顔も名前も身体も無くたって私が私であるという記号の役目だけはちゃんと果たしてくれていて、その事実だけが救いだった 男だとか女だとかそういう柵から抜けて、人として見てほしいという祈り

10/21

自分の手を触る度に最低限の肉の上に皮を貼り付けただけのような貧相な物で繋がされる人のことが可哀想になる 人の手はいつだってあんなに愛しいものなのに

10/29

ちゃんと呼吸ができるようになりたい その居場所が何者に脅かされることがないという安心に私がここに居てもいいという証明書も付けてね

11/19

こうして書いていると自分は端から救われる気もなく、自分が辛うじて手元に置いてある大切にしたかった物の行き場を少しずつ決めながら死を迎えるのを待っている 自分の人生を思い返してみても人に大切にされてると実感できたことなんてなくて、それに不安を感じるたび人にこんな思いをさせないようにしなくちゃいけないと思う あなたは愛されていいんだよって言ってくれる人間が本の中にしか居ないんだとしたら私が代わりに言ってあげる

12/6

この世界で一番わたしが優しかったということを知って死ぬまで苦しんでほしい それに気付いた時にはわたしに向き合う術を持っていなくて、あなたは待つことしかできないだろうけど でも、いつかわたしが帰ってきたとしても餌の持ち合わせのひとつもないだろうね 悲しみを癒すため他の子を飼い慣らしてるそんなあなたに向かってわたしはニャーと鳴くだけ

12/21

服のこと考えてる時が一番人のこと嫌い 男の服装って薄っぺらいし、じゃあ中身のある装いって何?って考えてみたってそこに居るのはプライドが服着て歩いてるような人だけで、そんな余計なこと考えずに好きなもの着てればいいだけなんだけどあたしは弱いから似合わない服をゴミ袋に詰めてる

12/28

お願いまだ帰らないで、私の手が凍るまで あなたの肌を冷やしたりしないから、そこから私が崩れてく様を見届けて

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遠くの空を見てるとここが何処だか分からなくなる。私は誰でお前は何処?今日の空は赤い?息は白い?風は冷たい?あなたは今も泣いている?平日の昼間から酒を飲むことで救われる魂があっても自分の気狂いが解消されることはなくて、それでも本を読まないといけない気がしたからアルコールで溺れる脳を叩き起こして棚から本を取り出して開いたら男の言葉から始まったのが許せなくて読むのをやめた それは男の書いたものですらなかったのに男として放たれる言葉というだけで許せないのか、と じゃあ私がこうして書いてる言葉はちゃんと男のものになっている?男と女の言葉の境界線は一人称の違いだけ?僕として喋る言葉のすべてが真実だとしたら私として書くすべてが嘘になってしまうね

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人の本棚が私で汚染されてるのを見るたび馬鹿だなって思うけどでも私は馬鹿な人のことが好きだし、馬鹿な人たちもきっと私のことを好きでいるんだろうけどそんなことに意味なんてないよって馬鹿な私は言うの

はきだめ

はきだめ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-05

Copyrighted
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