自分ではない誰かのための恋の詩

「星空を見て思うこと」
夜中に日記や恋文を書くものではないと
誰かが言った。
夜は人が少し素直で欲深になるから。
昼間は隠している素顔が綴る指先からにじみ出る
きっと我に返った時、いたたまれなくなる
今夜の空には星が少ない
降るほどの星空と違って心細気な暗い空
こんな夜空を、みるとむしょうに君に会いたくなる
星空が好きな君はどうしているかと。
キラキラ星達が君に語りかける時、君はまるで月に住む人のよう。
星を満載した荷車を引っ張りながら夜空を横断する月の住人
そんな君には僕の陳腐な言葉や手紙なんて必要ない
だけど、星のない夜は僕が代わりに君に満天の星空のような今宵を約束してあげたい
君との出会いは砂浜で見つけた砂粒のような星のかけらのきらめきのよう
星空の明るい星は太古の昔の光
それが僕らに届く時
君を満天の星空でも見失わない
ただただ、君が恋しい

「月」
黒い紙に傷をつけたような月
今夜は星がなく
月もおぼろで寂しそう
月を見上げて物思い
月を見上げて流れそうな涙を隠す
月を見上げて手を伸ばす
月を見上げて明日の天気を予想する
明日の夜は君と二人で夜空を、月を、星を見上げたい。
見つめ合うのではなく並んで
同じものを見て
同じ時間の中にいて
違うことを考える
二人の間には少しの距離が必要
これからもずっと一緒にいたいから

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-27

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