捨て鉢の私たち

捨て鉢で明るく振る舞うあなたを前にして、私はどうすることもできなかった。なぜなら、あなたが私にすごく似ていたから。あなただってきっと、捨て鉢で明るく振る舞う私を前にしたら、為す術なく立ち尽くすことしかできないだろう。捨て鉢で明るく振る舞うとはどういうことか?普通、捨て鉢になれば他害的になるものではないのか?そう、普通ならそうなる。だが、常軌を逸した捨て鉢はそうはならない。人は極限まで追い詰められると、へらへらしてしまうのだ。まるで笑えば笑うほど、状況が好転するとでもいうように。だがそう簡単に状況は好転しない。私たちもそれを自覚しているのだ。極限まで追い詰められた人間を救う手立てなんてないことも、よくわかっている。わかっているくせに、往生際の悪い私たちは救いたがり、救われたがる。

捨て鉢の私たち

捨て鉢の私たち

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted