『眠れない夜の秘密』

ねえ、僕はいつになったら君を
ちゃんと捕まえられるのかな


『眠れない夜の秘密』


もう少し声を聞いてたいのと
ほんのり落ち気味な甘え声
君からの電話はいつも突然で
真夜中でも遠慮なしだからいけない

僕はチャンスとばかりに
前よりちょっとだけ親密な相槌
寂しいのと涙声になった頃
今度会おうと持ち出すんだ

いつもならひらりと躱す誘いに
君は一秒で飛びついてしまう
何度もこうして密かに僕は
既成事実を作ってるんだよ

本当に何も気付いてない?
君からの電話の頻度が少しづつ
上がっていくことに何の疑問もない?
それとも解っているから泣いてるのかな

こういうのはゆっくり浸透して
気付けば中毒から抜け出せなくなる
依存へと続く道を仄かに照らすだけでいい
いつか夜に縫い留められるんだ

誰かが眉を顰めても関係ない
僕と君というふたりきりの関係性
君を知る人はきっと僕に同情的だろうけど
捕まえるのに苦労した分想いは強くなるよ

君はずっと夜を彷徨い続けて
僕に助けを求めるもんだから
どんどん深くへと潜っていく
危なげな足取りで不安から深く深く

大丈夫だよ、いつ足を滑らせても
底にいる僕が受け止めてあげる
どんな場所でも平静に穏便に
君をあやす手札なら幾らでもあるんだ



「これが僕の最上級の愛し方」

『眠れない夜の秘密』

『眠れない夜の秘密』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted