『幼心の君』

駄菓子屋で駄々をこね
貴方を困らせてみたかった


『幼心の君』


どこまでも広がる空想みたいに
アタシの両手では抱えきれない
愛情の重さを何かと比べられないわ
ただ溢れて止まらないだけ

カラスが鳴く頃繋いだ手を離し
バイバイを言ってから振り返る
坂道を登って行く後ろ姿
もう会えないような予感

この瞬間を永遠に繰り返して
大人になっていきたいけど
どちらかが先に手を離す
アタシは貴方と言い貴方はアタシと

いつか別つ二つの世界
混ざり合わないから切なくて
どうにか寄り添えないかと
方法を探しあぐねる内に

いつか忘れてしまう物語
それでももしも方法があるなら
貴方と指を絡める未来があるなら
アタシは何だってできるのに

きっと貴方も何だってした
だけどどうしようもないことも
この世にはあると知ってるから
その後ろ姿を永遠にするの



「諦めという罪を犯したのはアタシ」

『幼心の君』

『幼心の君』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-24

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