『丘の上』

草に寝転ぶ姿が自然で
貴方は一瞬で憧れの的


『丘の上』


本当は素敵だなんて
アタシだけが知っていれば
それでよかったのにな
今ではもう手が届かない

気にかけてくれるのは嬉しいけど
単なる優しさや親切に
胸を高鳴らせる段階は過ぎたの
誰よりアタシが一番見てたのに

石畳の横道で貴方がくれた
小さな約束はまだ手の中に
叶う日なんて来ないと知りながら
捨てることもできずに馬鹿みたい

それでも構い続ける貴方と
叶わないと信じるアタシ
上辺だけで続ける手紙に
何の意味があるのだろうと

いっそ冷たく背を向けて
でもちょっとは優しい嘘とか
そういう甘いのでコーティングして
アタシの涙に救いが欲しい

多くも少なくもない年齢差が
優しい顔をして宥めてくれるけど
近付いても遠く感じて
長く続いた恋心は厄介

可愛い妹という立場に甘んじる
健気なアタシを褒めてね
この痛みでいつか死んでしまっても
貴方を恨んだりしないから



「妹など居ない、過去も現在も未来も君は女だった」

『丘の上』

『丘の上』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-18

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