テント
テントを張りに行きましょう。
森の奥へと分け入り深く足を進めていく神秘性。
誰もいない森の中には精霊がいます。
森の奥に開けた場所があり、そこにテントを張ろうと算段する。
バックの中からテント用具一式を取り出して地面に開けた。
テントの張り方はいたってシンプルで、シートにポールを通してペグを打って止めて完了です。
シートにポールを丁寧に通して曲げて形状を整えて、地面にペグを叩きつけて全体を固定する。
完了するとテントの中でしばし寛ぐのです。
テントの中は一人孤独な味わいに、深い静謐な空間で自問自答する時間を充逸する。
テントの中は私一人の聖堂で、様々な自己対話をして己をより深く知る。
深くゆっくり静かに考える貴重な時間に酔い知れる。
森の中で静かに座り心が清められ整えられていく。
日常では決して起こらない独特な自己対話に、新しい自分を発見するのです。
森は静まり返り自分しか存在しない神妙な内へと向かう思考。
その深い場所に、私がこれまで築き上げた情報との対話の喜びがあった。
そしてカセットコンロに火を入れてお湯を沸かす。
白い湯気が立ったお湯をコップに注ぎコーヒー豆を混ぜて、あつあつのブルーマウンテンを頂く。
熱い旨いコーヒーが体に沁み渡る開放感。
口腔内がコーヒーの爽やかな苦みのコクを味わい、すーっと気持ちがすっきりとしていく。
熱いエキスが疲れを癒やし、ほんのりと心に火を灯していく。
そして緑をぼーっと見つめ、清涼な気配が立ちこめ心身が安らかに蘇っていく。
清浄な空気に触れて、細胞がぷちぷちと音を立てて復活している。
テントの中でコーヒーを頂く贅沢な非日常の癒やし。
森をじーっと眺めると、木々は一つとして同じものは無く個性があり脈々と生命を謳歌している。
木々に葉が生い茂り溌剌として四方八方に元気よく伸ばして生命を生きている。
空気が爽快で風で葉々が揺れて深く清らかに澄み渡る。
緑を見ていると私の意識が自然に還り全てが脱して重荷が抜けていく。
これからガスバーナーでスペアリブを焼き上げがぶっと喰らう。
ああ原始人になって、人生をリセットして初めからやり直しているようだ。
あつあつのスペアリブをほくほくとして頬張り、旨みをしっかりと噛みしめる。
あーこの旨みを感じ尽くしている時がまさに生きている時です。
自然に還り原始の生活スタイルで食事を摂取する、内なる野性の本能が目覚めるようで生命のコアが非常に近くの位置にある感じがした。
そして食べ終わった後は寝支度をするのです。
夜空を見上げシェルフにくるまり、一人心を落ち着かせて深く深く潜っていく。
意識があり私は私とだけ対話している。ゆっくり深く静かに考える。
生きている事そのものが安心になっていく。
何も悩みや不安が無い状態に一人しばし落ち着いていく。
夜にテントの中で一人寝る事の究極の至福。
雑念が全て取り払われていく解放感。心が透き通りしこりが全く無く澄み渡っている。
これが一番の贅沢な時間なのです。
安心。その心が人生の行き着いた道なのです。
テント