『秘め事』
赤い実食べたのだーれ?
『秘め事』
使い古した黒いガーターを脱いで
真新しい白い下着に手を伸ばす
いつでもミッションは抜かりなく
完璧を目指すべきと心に言い聞かせ
アタシはどんな時も完璧だった
笑った日も泣いた夜も変わりなく
彼が知るアタシを貴方は知らなくていい
貴方専用の女を用意してあげるから
偽って着飾った夢でも信じれば
いつしか真実味を持って
お互いの目を曇らせてくれる
安っぽいレースもシルクの肌触り
昨日までどんな風に孤独を飼い慣らし
どんな目で生きてきたのかとか
ふんわり匂わせるくらいが丁度いい
知り過ぎれば気まずいだけよ
ゼロ距離で見つめ合う時は
背景とか状況とか気にしないで
こんなものが愛かどうかなんて議論は
味のしなくなったガムを噛むようなもの
アタシが貴方にあげられるのは
熟しきった赤い実ひとつだけ
夢に見るほど溺れられたなら
それはそれで愛に近い何かだから
目を閉じ諦めて受け入れて
陶酔の余韻に浸る時間ならあるわ
寂しい昨日まではもう忘れて
いつか終わる夢を一緒に見ましょ
「赤い実はじけて後に残るは」
『秘め事』