『終わらせたくなかった話』

昨日は何を食べたの?
そんなどうでもいい会話


『終わらせたくなかった話』


貴女はただ心配するだけで
アタシはただそれを甘受するだけ
ずっとそうだったから
今更変わるなんて無理よ

服の共有もコスメのプレゼントも
貴女だからできたんだって知ってる
他の子に聞いても特別に見えるって
子供の頃から言われてきたから

時の流れって残酷だね
どんなに抗っても別れを突きつけてくる
拒むことのできない運命を前に
貴女はそれでも毎日温かい

アタシが何度裏切って傷つけても
叱って泣いて受け入れてくれる
この心地良さを産まれた時から知ってるの
自分から手放すなんてできないわ

自然の摂理に基づいた別れが来るまで
ずっと一緒に笑ってたいの
世界で最初に愛したんだから当然でしょ?
そう言ったなら笑ってくれる?

まるで宗教みたいに貴女の教えが
アタシの全てに染み付いていて
捨てることもできたのに
そんなこと考えもしなかった

あんなに苦手だった料理も
似た味に作れるようになったのよ
貴女の手が毎日魔法をかけて
それを食べ続けていた所為ね

忘れられない味と匂い
それだけで貴女に近づけるの
アタシって天才かもね
ねえ、だから終わらせないで



「くだらないお喋りを永遠に続けたかった」

『終わらせたくなかった話』

『終わらせたくなかった話』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-06

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