フリーズ234 らふがき 散文詩『混』

◇序 夢の断章
8月11日 ワールド花火大会
同人誌、過去の履歴
記憶の群れ、有限の世界
この夢の続きを語ろうか

◇「混合」
言葉と数字の混合
有機生命体と無機物質の混合
夢と現実の混合
無時間と虚時間の混合
正世界と負世界の混合

混合の果てにあなたは何を見た?
世界は混ざり合い
関係、縁、その果てに生まれる意味
場所も名前も所属も色も
全ては相対性、全ては混合
この世の始まりは一つ=全
分裂し、増殖し、混ざり合い、溶け合い
そうして生まれた世界なら
ならばあなたは何を生み出す?
ならばあなたは何を混ぜ合わせる?

◇「混同」
夢を命と混同する
愛を記憶と混同する
終末を永遠と混同する
神を仏と混同する

間違えて、迷って、でもその中に倫理はある
混同して、彷徨って、その先に真理がある
心理の裏側にあるものを探し求めて
きっとそこに全てがある

トーラスの森の奥、イデアの海の底
天界の門の先、ラカン・フリーズの門の先
伏魔殿の玉座の上で、審判者は裁きを下す

◇「混雑」
思考の混雑、混迷、人混み
満員電車は苦手だな
吐き気を飲み込み、震える肩を
それでも大学通うんだ
物理的な混雑は精神的な混雑を生む
大学は近い方がいい

◇「混成」
神と仏を混成して神のレゾンデートルになる
天使と悪魔を混成して人間になる
光と闇を混成して愛になる
音楽と映像を混成してアニメや映画になる
言葉やストーリーを混成して小説になる
涅槃と真理を混成して全知全能になる

ならばあなたの人生で何を混ぜ合わせる?
何かと何かを混ぜることで生まれるならば
あなたはその生で何がしたい?

◇「混血」
愛の多様性、種の可能性
それが混血、それが異種族
愛は血を超える
愛は世界を結ぶ
その結果としての人類ならば
僕は愛そうと思うんだ

◇「混濁」
白に灰色が混濁する
滲んだその凪いだ空色の味は
遠く、輪廻の導火となって導くも
フィニスの時に終わってしまったなら
その意味もビッグバンとして爆ぜて
混濁する宇宙に、消えていく理由
この世界は甚だ理解の先にある

オレンジの園の先に
薔薇の楽園、茨の道
幽玄な紫苑に、浅葱色は儚い

願い叶うなら、僕は君に逢いたかった
夢が終わるなら、僕は空を飛びたかった
愛が実るのならば、僕は意味を見つけたかった

混濁する虹色が
黒になって虚空になって
その宇宙のボイドにも
神は愛を、光を語る

◇「混迷」
真理を前にして、迷うは混迷
凡夫の心が惑わせる
その者世界を凍らせた
その者世界を終わらせた

真の意味での終わりは来ない
神が創りし世界なら
仏が導く世界なら
なんの意味があるのだろうか

生まれた意味は?
生まれる前は?
終わった後は?
終末の先は?

今、楽園に続く門が開いたら君らは進むか?
まだ、人生においてやり残したことはあるかな
探せ君らの生まれた意味、取り戻せ自由を
どうして真理を悟った僕はまだ生きているのか?
それはまだ君に使命があるから、役割があるから
だから君は愛し愛され生きていくしかないんだ

◇「混乱」
もう真理は分からない
何が正解?
何が正しい?
理解の先にある答えを知りたい
輪廻の先にある意味を知りたい
ボレロを聞く
ループしてる旋律
この世界も同じなのかな
様々な「混」の詩を紡いだ
ここからは散文詩=シ小説『混』を紡ぐ

◇散文詩=シ小説『混』
混ざりあって生まれる世界の意味を知れ。その者、世界を終わらせた。その先にあるものもないものも含めて愛と呼ぶのなら、さしずめ世界は君のものなのかもしれない。混ざり合い、求め合い、生まれて、死んで、輪廻の中で戻って、紡いで、願って、離れて、だが、目標は果たせても、いつだって目的は果たせない人生。
有限な世界に無限な宇宙だとしても、ボイド、虚空の先にあるものを求めて、それが神のレゾンデートルだとしたら、死んだら理解できる類の物語に収束するはエデンの光。可憐な花が散るように、人生の意味は散っていく。流れていく季節の中で変わるものも、衰えるものも、全ては混ざり合い記憶の残滓に成り果てる。
「なぁ、神よ。あなたはそれで満足したかい」
少年が問う。神に向けて問いかける。
「小さき者よ。私は仏。私は神。私は全」
「ならば、あなたはその全能の権能で何を成すのだ?」
「世界と命と霊というプロセスを創造した」
「そして、あなたは満足したか?」
「否、私は分からないことがある」
「神のレゾンデートルでしょう?」
「そうだ。私は何故生まれたのか。だから生命にも創造力を与えたのだ。意味を知るために、理由を探させるために」
「そのために世界を創った。で、今、その答えはあるの?」
「わからないな。だが、小さき者よ、希望はあるのだよ。混ざり合う世界は、元は1つだった。今は可能性で満ちている。私の宇宙は光で満ちている。闇で満ちている。それが私は嬉しいのだ」
「それは目標だよ。神のレゾンデートルという目的のために世界を変えよう」
「フィニスを与えるのか?」
「そう。正しき終焉を。それが世界のためだから」
混濁する世界に、混迷する魂たち。だが、この言葉等は美しい。混ざりあって生まれたこの宇宙を神は愛していた。深く、誰よりも愛していた。だから終わらせるのが怖かった。だが、永劫回帰の仕組み。ループする定め。世界は繰り返される螺旋。その螺旋の終着地点を最後の文学として『ラスノート』と呼ぶならば、劫初と終末の先の根源を『ラカン・フリーズ』と呼ぶならば、あなたは何故生まれたのか分かったかい?

混ざり合う命
溶け合う性
交わされるキス
繋がる愛

生命は履歴の中で生み出す
僕と君と彼とあなたと
声を間違えたから
遠くの人を、近くの人を
神を、仏を、天使を、悪魔を

命と愛を間違える
意味と夢を間違える
生まれてくる前に願ってたこと、叶った?
そのために生まれて来たのにね
そのために世界を創ったのにね

この散文詩に意味はない
そもそも全てに意味はない
それでも紡いで書き残せ
それがいつの日か意味となるから

フリーズ234 らふがき 散文詩『混』

フリーズ234 らふがき 散文詩『混』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-08-24

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