夜の不協和音

夜は苦しみが饒舌になる
魂の膜は引き裂かれて
とめどなく呻吟が溢れ出す
私は自分という空洞に反響する
自分という不協和音を聴いている
自殺は死ねる者だけができる
感情表現なのだ、と書いた人がいた
行為で感情を示す覚悟
死を以て自分を曝け出す決意
それは他人には理解しがたいことだろう
自殺を考えることは優れた慰めの手段だ
そう書いた人もいた
多くの悪しき夜をこれでやり過ごせるのだと
私は眠れぬ夜に途方もない時間を思い
身震いする、これはいつ終わるのかと
行き場のない苦しみと対峙するたびに思う
いつになればこの苦しみと和解できるのかと
まったく夜は感傷的になっていけない
不協和音はいつまでも休符を探している

夜の不協和音

夜の不協和音

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-08-02

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