何もない世界

何もない世界

気づけば、生まれて。
気づけば、生きていた。

青い空に気づいて、日差しの温もりに気づいた。

風は君の髪を優しく撫でて、私には冷たく吹き荒(すさ)む。

何もないこの世界に君は希望をくれた。
何もないこの世界に優しさを教えてくれた。
何もないこの世界に愛をくれた。

猫や犬までへつらうこの世界。
君だけはありのまま。

気づけば、悩んでいた。
気づけば、苦しんでいた。

夜の寂しさに気づいて、月の明かりの不気味さに怯えた。

星の光は君の瞳から溢れ、私はその頬に手を添える。

何もないこの世界に君は真心を教えてくれた。
何もないこの世界に美しさをくれた。
何もないこの世界に思いやりをくれた。

猫や犬まで争うこの世界。

何もないこの世界に君は勇気をくれた。
忘れはしない、忘れはしない。

そう思い、夜空の君に誓う。

何もない世界

何もない世界

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-07-27

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