優しさの廉売

もう誰のことも信じられない
自分のことさえ信じられない
綺麗事を囁く連中にはうんざりだ
綺麗事で腹は膨れない
頭の中には黒々としたものが渦巻いて
少しだけ誰かを傷つけたいと思ってしまう
そんなことをしても満たされはしないのに
満たされないことを進んでしようとするのは
頭が病んでいる証拠か
なぜ俺は性懲りもなく
過ちを犯すのだろう、(わだち)を踏むのだろう
まるでそうしなければ自分を保てないとでもいうかのように
俺は愚行に走る、(よこしま)な考えを巡らす
昔から優しいふりだけは得意で
数えきれない人に嫌われてきた
優しさを安売りする自分にはうんざりだ
仮初(かりそめ)の優しさをありがたがる奴は莫迦(ばか)だが
信じられるもののない俺よりは増しなんだろうな

優しさの廉売

優しさの廉売

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-07-19

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