『微熱の残響』
汗が顎を伝い貴方に落ちる寸前
その手に制された最後の一線
『微熱の残響』
優しい夢はもう要らない
壊れるくらい激しくして欲しい
アタシの望みはシンプルで
だからこそ厄介だった
苦笑した貴方は中途半端な愛撫で
ただ高めるだけ高めて手を離す
それじゃもう耐えられなくて
貴方の全部が欲しくなったの
19℃設定の部屋なのに汗ばんだ身体
隙間なくぴったりと重ねてみたい
そう望めば望む程遠くなる絶頂
言葉もなく貴方に沈むアタシ
お願いと口にすれば薄い唇は歪み
天の邪鬼な台詞ばかり降ってくる
アタシを反抗的にさせたいの?
素直に求めただけなのに
ねえ、これ以上を教えて
誰かじゃなくて貴方じゃなくちゃ
何の意味も無くなってしまう
白い太股で挟めば花開く蜜
楽しげに苦しげに笑う癖に
どうして性急に奪ってくれないの
柔く吸われる肌が熱を持ち
憎みたくなるくらい貴方が好き
今日も途中経過の蜜事に
冷たい声が終わりを告げる
また明日と言うけれど
アタシはずっと微熱に焼かれたまま
苦しいくらい焦がれているのに
これ以上があると言うのね
貴方はきっと狡くて酷い
悦楽を操る最上級の支配者
「響いて止まない残響にすら炙られる」
『微熱の残響』