『シネマトグラフ』

危険は承知で飛び込んだ
愛されるなんて考えは露ほどもなく


『シネマトグラフ』


殺し屋の膝の上で踊れば
アタシはまるでシネマスター
それ程の度量なんてないけれど
この時だけは夢が見れるの

赤い髪を振り乱す様を
冷めた目で見つめる貴方は
どの映画の悪役だろうか
少なくともロマンス映画じゃない

愛を囁くより銃口を押し付けて
これが欲しいのかと問われれば
鮮やかに笑ってみせるから
どうかまだ興味を無くさないで

さっきまでの激しさが嘘みたいに
子供のように甘える貴方も
等しく愛しいのだから重症ね
どこまでも甘く受け入れてあげる

おかしいのもネジが外れてるのも
本当はアタシの方なのに
ぐっすり眠る可愛い貴方は知らない
いつか銃口を突きつけるのはきっと

今はまだ夢の中なの
命のやり取りなんて野暮だわ
貴方より先に起きるアタシに
どうか気づかないでいて



「殺されても殺しても愛は完結できるから」

『シネマトグラフ』

『シネマトグラフ』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-07-16

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