呼声

人のない謐けさの
夜の海へ行きたい

はしゃぐかもしれないし
黙っているかもしれない

そこには波の音も
ないかもしれない

夜があるだけで

月の落ちた水平線は
境界をなくしている

誰もが寂しくて
微笑む唇を以て
心に溶かすのだ

昨晩の雨の
ささめきを

移ろう優しさを

記憶に灯し
影絵に託し

そっとしまうために
色を閉じて夢を見る

呼声

呼声

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-07-08

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