貝の世

染まる舌
朱に朱に

ございませ

浮島のお堂の六角に
細く光が漏れ入って
板張りを這うのです

ありましょう
線香の匂いで

或る晩の瓶の夢の
つぶ貝の罪滅ぼし

眩いと目を寄せ
顔をしかめます

ちろちろと
蜜の口吸い

揃えた毛爪の
愛らしきこと

三つ指をついて
お眠りあそばせ

剥け屋根の

貝の世

貝の世

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-07-07

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