『忘れられるための夏』

歪な三角関係を壊すのは
いつだって君だった


『忘れられるための夏』


アタシだけは第三者として
枠外で静観していようと
ずっと見てて心に決めたけど
巻き込まれてしまえばお終い

それでもどこか冷静に
君の可愛くて悪い笑顔を見てる
今この瞬間だけ切り取れば
いかにも青春で絵になるけれど

途中で投げやりになる癖も
愛しくて眩しいだけだった
夏の日差しに映える肌が
アタシの胸を抉るとしても

君が君臨する季節に平伏して
それでもどうにか悔しいと
抗う気持ちを持ち続けるのは
とても難しいことね

愛そうと思えばそれこそ
どこまでも深く落ちてしまえる
だけど目を逸らして男の子を見る
振りだけでもそう見えるように

すぐ泣くような女の子に
アタシはもうなれないよ
君みたいに天然を装うのも
無理があるって解ってるから

どれだけ頑張っても
どれだけ綺麗になっても
そういうことじゃないんだって
君の存在が証明してくる

逃げ出したくて仕方ないのに
今日も必死に恋を偽る
誰の為でも君の為でもなく
アタシは自分の為に偽り続ける



「可哀想なアタシをどうか覚えてて」

『忘れられるための夏』

『忘れられるための夏』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-06-30

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