刃を持った魚

誰かの思い出の湖

国の北東に大きな湖があった。そこには怪獣と、怪魚がいると聞いた。そこで私は、そこへ行って怪獣と怪魚を見て、できれば話もしたいと思った。
その湖は、国内でかなり大きな業績を残した魔法魔術研究者が、小さい頃によく遊んだ場所だそうだ。そして、彼が研究での功績に対してインタビューを受けた際、この湖での思い出話をして、怪獣と怪魚の情報が国内に広まったのはその時だったらしい。
彼の思い出話に怪獣と怪魚が出た、ということはまたその逆も然り。きっと怪獣と怪魚と話をすれば、彼の昔のこともさらにわかるかもしれない、そう思って私は湖へと向かった。
怪獣はいなかった。けれど、怪魚とは会えた。しかも、出会った時からかなりフレンドリーで、すぐに話は思った方向に展開していった。

昔は湖の近くに小さな村があったらしい。そしてそこに生まれ育ったのがかの研究者であった。村は小さかったが、子どもたちの数はまあまあいたそうだ。みんなと仲良く、幸せに暮らしていた。彼は子どもたちの中で最も頭が良かった。なので将来は城下町に行って、頭の良さを活かせる仕事に就く、皆がそう期待していた。そして、ご存知の通り、実際そのようになって、現代地球のノーベル賞に相当する、またはそれ以上の賞を取った。しかし、その道のりは、皆が想像もしない展開になっていた。

刃を持った魚

刃を持った魚

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-06-25

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